豪メルボルン人質、警察はテロ事件として捜査

オーストラリア・メルボルン郊外のアパートで5日、男が女性を人質にして立てこもった事件で、豪警察はテロ事件として捜査している。
爆発があったとの複数の通報を受け現場に駆けつけた警察は、アパートの階段で男一人の死体を発見。もう一人の男、ヤカブ・カイラ容疑者は女性を人質にして立てこもった。その後、警察と銃撃戦になり、同容疑者は射殺された。
銃撃戦で警官3人が負傷したが、人質にされていた女性は無事救助された。
カイラ容疑者は立てこもっていた際に地元放送局に電話を掛け、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)のために行動したと語った。
ISは系列のメディア、アマク通信を通じて犯行声明を出している。
ビクトリア州警察のグレアム・アシュトン本部長はカイラ容疑者について、2009年にシドニーにある兵舎への攻撃を計画した容疑で逮捕されたものの、後に無罪となっていたと明らかにした。
アシュトン本部長によると、カイラ容疑者には「長い犯罪歴」があり、昨年にはシドニーの攻撃計画とは別件で収監されていたものの、仮釈放されていた。
アシュトン本部長は、カイラ容疑者が海外からの指示を受けて行動していた証拠はないと語った。「彼ら(IS)は、何か起きるたびに、それに飛びついて犯行声明を出す傾向がある」。
「容疑者がきちんと計画していたのか、その場で決めてこのような凶行に走ったのか、依然として分かっていない」
マルコム・ターンブル首相は、今回の事件が仮釈放制度への「深い懸念」を生んだと述べ、制度の再検討を行う考えを示した。同首相は、「この男がなぜ仮釈放されていたのか。暴力行為で多くの前科があった。非常に多くの暴力の前科だ」と語った。
「非常に重要な問題で、安全を脅かす人物が仮釈放されたりしないとオーストラリア国民が安心できるようにしなくてはならない」
同首相はさらに、国内のテロ警戒レベルが5段階の上から3番目の「起こりそうな状態(probable)」で維持されると述べた。