米ロックバンド「リンキン・パーク」のチェスター・ベニントンさん死亡

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ベニントンさんは子供のころに虐待を受けていたと公言していた。写真は6月22日、マドリードの音楽祭で
米ロックバンド「リンキン・パーク」のリードボーカル、チェスター・ベニントンさんが20日午前9時、カリフォルニア州ロサンゼルス郡の住宅で死亡しているのが発見された。検死官当局が明らかにした。41歳だった。
検死官によると、ベニントンさんは首をつって自殺したものと思われる。
1976年にアリゾナ州フィーニックスで警察官を父親に生まれたベニントンさんには、妻と2度の結婚でもうけた子供6人がいる。
長年にわたりアルコールや薬物の乱用で苦しんでいた。子供のころに虐待を受けていた影響で、自殺を考えたことがあると過去にも話していた。
今年5月に同じように死亡した「サウンドガーデン」のボーカル、クリス・コーネルさんと親しかったと言われる。グランジ音楽の一人者だったコーネルさんの自殺後、ベニントンさんは公開書簡で、「あなたには分かりようもないほど、僕はあなたに影響されてきた(中略)あなたのいない世界など想像できない」と書いていた。
20日はコーネルさんの53歳の誕生日となるはずだった。コーネルさんは5月17日、デトロイトのコンサート後に首をつって自殺した。
1996年結成のリンキン・パークは、合計7000万枚以上のアルバムを売上げ、グラミー賞を2度受賞している。「Faint」、「In The End」、「Crawling」などの曲をヒットさせ、ラッパーのJay-Zとコラボレーションするなど、幅広く活躍した。
ベニントンさんは1998年に加入。その2年後にアルバム「ハイブリッド・セオリー」が発表された。
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リンキン・パークの結成メンバー、マイク・シノダさんは「衝撃で打ちのめされているけど、本当だ。まとまり次第、公式コメントを発表する」とツイートし、ベニントンさんの死を確認した
2枚目のアルバム「メテオラ」は2003年のビルボード・チャート1位となり、インディーロック最高峰のアルバムのひとつと高く評価されている。
バンドは来週からワールドツアーを開始する予定だった。
リンキン・パークの結成メンバー、マイク・シノダさんは、「衝撃で打ちのめされているけど、本当だ。まとまり次第、公式コメントを発表する」とツイートした。
リンキン・パークの公式ツイッター・アカウントは、ファンに囲まれて歌うベニントンさんの写真をツイートした。
訃報を受けて、ベニントンさんを追悼する言葉がソーシャルメディアに溢れた。
バンド「イマジン・ドラゴンズ」は「言葉にならない。打ちのめされてる。RIP(安らかに)、チェスター・ベニントン」とツイートした。
今年初めにリンキン・パークとコラボレーションした英グライム歌手のストームジーさんは、「嘘はつけないマジで動揺してる」とツイート。さらに「打ちのめされてるマジでだれがどういうことになってるのかわからない。家族のために祈ってるよ兄弟」と書いた。
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ひとつの時代の声――スティーブ・ホールデン、BBCニュースビート
2000年代初めに思春期を過ごした世代なら、リンキン・パークのアルバム「ハイブリッド・セオリー」を持ってない人間を見つける方が難しかった。
世界中で3000万枚を売り上げ、未だに2000年以降最大のヒットアルバムの一つだ。
リンキン・パークは、メタルやロックの要素をラップやヒップホップと組み合わせて、ニュー・メタルのジャンルを作り上げた。その独特のサウンドが、「Crawling」や「In The End」、「Numb」といった曲に結実した。
何より最大の強みは、チェスターの圧倒的な声だったと言えるかもしれない。彼のしわがれた強力な声は大きくて、スタジアム会場いっぱいの観衆と一緒に歌いあげる曲にぴったりだった。
その歌声は厳しく怒りに溢れていたが、本人は温かく、雄弁で面白い人だった。
最新アルバム「ワンモアライト」では、ポップスの作曲家ジュリア・マイケルズやジャスティン・トランター、英グライム歌手のストームジーと組み、バンドの新しい方向性を示していた。