米上院でも対ロシア制裁法案可決 トランプ氏に決断迫る

トランプ大統領はロシアとの関係改善を目指していた

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トランプ大統領はロシアとの関係改善を目指していた

米上院は27日、ホワイトハウスが慎重な姿勢を示していたロシア、イラン、北朝鮮に対する新たな制裁を科す法案を圧倒的多数で可決した。法案への賛成は98票、反対は2票だった。

下院も今週25日に同法案を圧倒的多数で可決している。

両院で可決されたため、ドナルド・トランプ米大統領が署名すれば法案が成立する。

ただトランプ氏はロシアとの緊密な関係を模索しており、政治的に支持される法案に対して、拒否権を行使することもできる。

大統領の拒否権は上下両院で3分の2以上の投票で覆すことが可能。両院で法案に反対した議員は、ごくわずかだった。

ロシアへの追加制裁法案が今回まとめられたのは、2014年のクリミア半島併合をめぐってロシアをさらに罰するためでもある。

ただ追加制裁の議論は、昨年の大統領選へのロシアの介入疑惑をめぐる調査が今も続くなかで行われた。

トランプ氏は、ロシアがトランプ陣営を勝たせようと選挙に介入したことを繰り返し否定している。

だが追加制裁に拒否権を発動すれば、トランプ氏がロシア政府に協力的すぎるとの疑いをさらに強める可能性があると、特派員たちは指摘する。また、新たな法案のトランプ大統領の制裁解除の権限を制限する条項について、ホワイトハウスはとりわけ懸念しているといわれている。

法案では、大統領は制裁解除についてまず議会に相談せざるを得なくなる。

共和党のポール・ライアン下院議長は今週、法案の下院通過を受けて、追加制裁が「米国人の安全を守るため、我々の最も危険な敵への締め付けを強める」と話した。

しかし、ロシアから天然ガスなどを運ぶパイプラインの計画を進める複数の欧州諸国は法案を批判した。これらの国では企業が新たな制裁に違反してしまう可能性がある。

大統領が法案に対して拒否権を行使するかは依然として不明なままだ。

ホワイトハウスのアンソニー・スカラムーチ新広報部長は米CNNに対し、「大統領は今のままの状態でそのまま制裁に署名するか、制裁に対して拒否権を行使しロシアに対するさらに厳しい合意について交渉するかもしれない」と語った。

ホワイトハウスは今週初め、法案を精査しているとしており、「大統領の元に届く最終的な法案パッケージを待っている」と話していた。