ベネズエラ、軍基地を襲った武装集団を追跡

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バレンシア市の上空を警戒のため飛ぶ治安部隊のヘリコプター
南米ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は6日、同日朝に軍基地を襲った20人の武装集団のうち、逃走した10人の行方を追跡していると述べた。
同国北西部のバレンシアの軍基地に対する襲撃では2人が死亡、1人が負傷し、7人が逮捕された。
これに先立ちソーシャルメディアに投稿された動画では、制服姿の男たちが「残虐な独裁」に対して反乱を起こしたと語っている。
襲撃後もベネズエラ国内は大方鎮静を保っている。
マドゥーロ大統領は国営テレビで演説し、軍が襲撃制圧に「すぐに動いた」と述べ、「称賛の意」を表明した。
マドゥーロ氏は、「雇い兵」による「テロ攻撃」だったとし、治安部隊が逃亡した襲撃犯を追跡していると述べた。「我々は彼らを捕まえる」。
軍の車両がバレンシア市内や周辺を巡回しており、少なくともヘリコプター1台が出動している。
ベネズエラ政府によると、襲撃時の逮捕者には脱走兵の中尉一人が含まれるが、ほかの逮捕者は制服を着た民間人だという。
マドゥーロ大統領は、襲撃犯らは米国とコロンビアに拠点を置く反政府グループの指導者の後押しを得ていると語った。
ベネズエラ国内では、襲撃を支持するデモが複数起きているもようだが、ほかの地域では鎮静が保たれている。

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バレンシアでは襲撃を受けて反政府デモが起きた
6日に投稿された動画で、フアン・カフアリパーノと名乗る武装集団のリーダーは、男が第41旅団と呼ぶものが「残虐な独裁者であるニコラス・マドゥーロ大統領」に対抗すると語った。
男は、「これはクーデターではなく、憲法の秩序を回復するための民間と軍の行動だ」と語った。
ベネズエラは豊かな石油資源に恵まれるものの食料品や医薬の深刻な不足に直面し、年率700%を越えるインフレに苦しんでいる。今年4月から続く激しい反政府デモでは、100人以上が死亡した。
5日には、先月30日の選挙を経て設置された制憲議会が初の会議を開いた。野党勢力は、新議会の設置は左翼政権を率いるマドゥーロ大統領による政権維持を目指した動きだと批判している。
しかし、マドゥーロ大統領は制憲議会の発足がベネズエラに平和をもたらすと述べている。
制憲議会は憲法改正や、野党が多数を占める国民議会の立法権を剥奪する権限が与えられている。
制憲議会は初会議で、ルイサ・オルテガ司法長官の解任を可決した。オルテガ氏はマドゥーロ大統領の盟友だったが、後に大統領批判の急先鋒となった。