貿易の悪用は容認しない=トランプ米大統領 APEC首脳会議で

APECで演説するトランプ大統領(10日、ベトナム・ダナン) Image copyright EPA
Image caption APECで演説するトランプ大統領(10日、ベトナム・ダナン)

ドナルド・トランプ米大統領は10日、ベトナム中部のダナンで開かれているアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で行った演説で、「慢性的な貿易の悪用」をこれ以上容認しないと述べた。

トランプ大統領は、APEC参加国が「公正な互恵的貿易を行う」限り、協力をする準備があるとし、米国はこれ以上貿易で「利用」されたりはしないと表明した。

アジア歴訪中のトランプ氏はすでに、中国と日本との大幅な貿易不均衡を終わらせると約束している。

太平洋地域の21カ国が加盟するAPECの経済規模は、世界全体の約6割を占めている。

トランプ大統領は今年1月に就任した直後に、米国を含むAPECの主要な加盟国12カ国が交渉してきた環太平洋経済連携協定(TPP)について、米国の経済的利益を損なうとして離脱を決めた。

中国の習近平国家主席も演壇に立ち、自由貿易が「より開放され、より均衡したものになり、より公正で誰もが恩恵を得られるようにすべきだ」と表明した。

演説の内容

トランプ大統領はAPECでの演説で、貿易の国際ルールを決める世界貿易機関(WTO)を強く批判し、すべての参加国が取り決めを守らないかぎり「適正に機能しない」と述べた。

大統領は、米国が市場の参入障壁を取り除き、関税をなくしたのに、ほかの国々は同じ対応をとらなかったとして貿易不均衡に不満を表明し、「こうした慣行によって、我々の国の大勢が損害を被った」と語った。

しかしトランプ氏は、APEC諸国に責任があるとは言わず、むしろ過去の米政権において、流れを変えるための対応が遅れたと非難した。

トランプ氏は、米国が「ここインド太平洋で公正で互恵的な貿易を行うパートナー」と2カ国間協定を結ぶ意志があるが、「相互的な敬意と恩恵に基づくもの」でなければならないと述べた。

トランプ氏は、ダナン入りする前に滞在していた北京でも中国との巨額の貿易赤字について触れた。そこでも同氏は中国のせいにはしないと語っている。

貿易と言葉のバランス

米国と中国の昨年の貿易額は6480億ドル(約73兆4000億円)に達したが、収支は中国が大幅な黒字で、米国側の貿易赤字は3100億ドル近くに上っている。

過去には、トランプ氏は中国が米国の雇用を盗んでいると非難し、中国を為替操作国に認定すると脅していたが、今年4月には中国を為替操作国に認定しないとの立場を明らかにしている。

中国は9日、銀行や保険などの金融業の参入障壁を低くし、自動車に対する関税も段階的に引き下げると発表。習主席は、経済・貿易関係を「健全」で「バランスのとれた」ものにすると約束した。

トランプ氏の訪中時には、米中間で2500億ドル(約28兆3780億円)の商談がまとまったと発表された。ただし、過去の合意や将来見込まれる額がどの程度含まれているのかは不明。一方でレックス・ティラーソン米国務長官は記者団に対し、貿易不均衡の解消において今回の合意が果たす役割は「かなり小さい」と語った。

アジア歴訪で最初に訪れた日本では、トランプ氏は厳しく日本を批判。日本が過去何十年かにわたって貿易で「勝ってきた」と述べた。

APECには安倍晋三首相も出席している。米財務省によると、2016年の日本の対米貿易黒字は690億ドルだった。

トランプ大統領はAPEC後、ベトナムの首都ハノイを国賓として訪れる予定。その後、フィリピンを訪れ、今月13日に12日間にわたるアジア歴訪を終える。

(英語記事 Trump at Apec summit: US will no longer tolerate trade abuses

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