米誌タイム、同業メレディスに身売り コーク兄弟が支援

ドナルド・トランプ米大統領はタイム誌の表紙を重視している Image copyright Getty Images
Image caption ドナルド・トランプ米大統領はタイム誌の表紙を重視している

米出版大手のタイムが米メディア大手のメレディス・コーポレーションに全株式を28億ドル(約3120億円)で売却することが26日、明らかになった。

買収は、保守派への多額寄付で知られる富豪兄弟、チャールズ・コック、デイビッド・コーク両氏が後押している。

米中西部アイオワ州に本拠地を置くメレディスは、出版社や放送局を所有しており、過去2回タイム買収を試みたものの失敗していた。

2014年にメディア大手のタイム・ワーナーから分離したタイムは、広告収入の減少を背景に業績が低迷していた。

タイムが今月発表した第3四半期の売上高は9.5%減の6億7900万ドルとなり、アナリスト見通しを6四半期連続で下回った。

タイムのジョン・フェイヒー会長は発表文で、「全てキャッシュによるこの取引と、すぐに実現される一部のメリットは会社と株主の利益を最優先したものだ」と述べた。

メレディスは、「ファミリー・サークル」や「ベター・ホームズ・アンド・ガーデンズ」などの生活情報誌のほか、米国各地の地元テレビ局を所有する。

同社は、タイム誌買収によって7億ドル近いデジタル広告収入を得られるほか、広告対象として貴重な20代や30代の「ミレニアル」世代消費者に「比べものがないほど」アクセスできると、買収の意義を強調した。

買収案の一環として、コーク兄弟の投資会社はメレディスに6.5億ドルを約束した。

コーク兄弟はパイプラインからペーパータオルまで様々製品に関わる世界最大級の民間会社、コーク・インダストリーズを経営。同社サイトには、「何百万人もの米国人にとって『コーク兄弟』と『積極的な政治活動』は一対の言葉だ」と書いてある。

両氏はかねてから、大統領選など米国の選挙で経済的保守派の候補や政治テーマを支持してきた。そのほか、刑事司法制度改革を支援し、アメリカ自由人権協会(ACLU)にも高額の寄付をしてきた。

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Image caption 2013年にコーク兄弟がロサンゼルス・タイムズを買収しようとした際には、編集への干渉を恐れる市民が抗議行動を展開した

今回のニュース雑誌買収への関与で、投資を通じて報道内容を左右しようとするのではないかという懸念が浮上するのは必至だ。

2013年に米紙ロサンゼルス・タイムズと同シカゴ・トリビューンを買収しようとするかもしれないと示唆された際には、その意図を懸念する両都市の読者がデモや署名で抗議した。

しかしメレディスは今回、コーク兄弟はタイム社の役員になることもないし、タイム誌に経営や編集上の影響力を持つこともないと説明している。

タイム社はタイム誌に加え、ピープル、スポーツ・イラストレーテッド、エンターテインメント・ウィークリー、フォーチュンなどの雑誌を発行する。

たとえ近年のタイム社が経営的に苦境に立たされいたとはいえ、タイム誌は今でも相当な社会的・文化的影響力がある。

たとえば90年目を迎える「今年の人」がその一例で、1927年以来「良くも悪くも(中略)今年1年の出来事に最も影響を与えた人物」を選出してきた。過去の「今年の人」には、歴代の米大統領、エリザベス英女王、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世、マハトマ・ガンジーなどが含まれる。またヨシフ・スターリン、アドルフ・ヒットラーも過去に選ばれている。

今年の「今年の人」については、ドナルド・トランプ米大統領がタイムの「今年の人」を辞退したとツイートしたのに対して、同誌が「大統領は正しくありません」と否定するやりとりが週末にかけてあった。

トランプ氏は24日、「タイム誌は、僕が多分、去年みたいに『今年の男性(人)』に選ばれると電話をかけてきたんだが、取材と大がかりな写真撮影に応じなきゃならないと言うから、僕は多分じゃ駄目だと断ったんだ。それでもありがとう!」とツイートした(太字はツイートで大文字強調)。しかし、タイム誌はこの後、「我々の『今年の人』の選び方について、大統領は正しくありません。タイムは12月6日の発売まで、選定についてコメントしません」と反論をツイートした。

(英語記事 Time Magazine sold in Koch-backed deal

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