英とEU、離脱条件で「状況打開」の合意 貿易協定交渉に道

ブリュッセルで記者会見するメイ首相(8日)
Image caption ブリュッセルで記者会見するメイ首相(8日)

欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長は8日、英国の欧州連合(EU)からの離脱条件をめぐる交渉で十分な前進があったと発表した。これを受けて次の段階となる将来の貿易協定に向けた交渉への道が開かれた。

テリーザ・メイ首相は、離脱条件に含まれていたアイルランドと北アイルランドの国境の扱いに関して、閣外協力する民主統一党(DUP)との前日の夜から続いていた協議を終え、8日朝にブリュッセルに到着した。

メイ首相は、ブレグジット(EU離脱)後にアイルランドとの国境に「ハードボーダー」(厳格な国境管理)は導入されず、ベルファスト合意(1998年)と呼ばれる英国とアイルランドの和平合意の内容は維持されると述べた。同首相はさらに、EU市民は英国で「これまで同様に生活できる」と語った。

DUPのアーリーン・フォスター党首は8日、「アイリッシュ海にレッドライン(越えられない一線)」が引かれる事態にならないのは「うれしい」と述べた。

アイルランドのサイモン・コブニー外相は、最新の合意内容は「アイルランドの島に住む全員にとって、とても良い結果だ」と評価した。

BBCのローラ・クンスバーグ政治担当編集長は、メイ首相が「求めていたものを手にした。前に進むための青信号を。もし失敗していたら、政治的にとてつもなく難しい立場に立たされていたはずだ」と解説する。

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Image caption 8日に交渉の席に着いたメイ首相(写真左から2人目)とユンケル委員長(同右から2人目)

8日早朝にブリュッセルで開かれた記者会見でユンケル委員長は、「きょうの結果はもちろん妥協によるものだ」と語り、交渉は「英国とEUの両方にとって困難だった」と付け加えた。

メイ首相は、ここまで到達するまでに「双方のギブアンドテイクが必要だった」と語った。

EUと英国政府双方の交渉担当者による合同報告は、「英国はEU単一市場と通貨統合の決まりを引き続き完全に履行する。それは1998年合意による保護と全島の経済と南北協力を、今も将来的にも支援するという内容だ」と説明している。

クンスバーグ政治編集長によると、この合同報告について欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(EU大統領)は、メイ首相はこれで今必要なものを獲得した、首相の「個人的勝利」だと評価している。

その一方で、「完全な履行」が具体的に何を意味するのかは今後、保守党内での争点となるはずだとクンスバーグ編集長は言う。

アイルランドと英国の北アイルランドとの国境の扱いは、ブレグジット交渉における大きな対立点となっていた。

英議会で少数与党を率いるメイ首相にとって重要法案の通過にはDUPの支持が不可欠だが、DUPは4日に英国とEUがまとめた合意案に反対する意向を示していた。

EU市民の権利保護についてメイ首相は、国内にいる300万人のEU市民の権利は合意によって保証されるとし、権利は「英国法に明記され、英国の裁判所によって守られる」と述べた。

ユンケル委員長は、EU域内に在住する英国市民の権利についても現状が維持され、対象者の行政手続きは「安価で単純」に済むと語った。

2019年3月にEUを離脱する予定の英国は、新たな自由貿易協定に向けた交渉をできるだけ早期に始めたいと考えている。

EUは、清算金の支払いや英国とEUの市民が外国人として双方に住む際の権利、北アイルランド国境という3つの主要な離脱条件で十分な進展がない限り、貿易協定の交渉には応じないとしていた。今月14日に予定されるEU首脳会議で、離脱後の貿易関係をめぐる交渉という次の段階に入る承認を得るため、交渉の第1段階となる離脱条件で早期に合意を得る必要があった。

(英語記事 Brexit: 'Breakthrough' deal paves way for future trade talks

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