ゴールデングローブ賞、性的暴力や抑圧に抗議する式典に 

オプラ・ウィンフリーさんの受賞スピーチ Image copyright Reuters
Image caption オプラ・ウィンフリーさんの受賞スピーチが大いに注目を集めている

米ロサンゼルスで7日、ハリウッド外国人映画記者協会がテレビと映画の優秀作品を選ぶ第75回ゴールデングローブ賞の授賞式が開かれた。ハリウッドを揺さぶる性的暴行問題が噴出し始めて以来、初の主要な授賞式。出席者の多くは黒い服で被害者に連帯を示し、受賞者の多くも、声を上げる女性たちに共感を示した。

式典では、性的暴力の被害者と連帯する「#MeToo(私も)」運動や、性的暴力をこれ以上容認しない、沈黙していられる時間はもう過ぎたという「Time’s Up」運動への連帯が、事実上のテーマだった。

映画界への長年の功績を称える「セシル・B・デミル賞」を、黒人女性として初めて受賞した人気司会者・女優・実業家・プロデューサーのオプラ・ウィンフリーさんは、「新しい日がもうすぐ明ける」と述べ、式典の空気を総括した。

Image copyright Reuters
Image caption 式典を司会したセス・マイヤーズ氏

出席者の多くは黒い服装で連帯を示し、司会のセス・マイヤーズ氏は冒頭のあいさつで開口一番、「淑女と、まだいる数少ない紳士の皆さん」と切り出し、「今年は2018年。マリフアナがついに許され、セクハラがついに許されなくなりました」と続けた。

「今日この場にいる男性の候補者の皆さん、3か月ぶりのことですが、今日は自分の名前が呼ばれても脅えなくて大丈夫です」

マイヤーズ氏はさらに冗談めかして、オプラ・ウィンフリー氏に大統領選に出馬するよう促した。

2011年のホワイトハウス特派員協会晩餐会で当時のバラク・オバマ米大統領が、ドナルド・トランプ氏が大統領になれるはずがないと満座の中で嘲笑したのが、トランプ政権発足につながったという意見に触れ、「もしそれが本当なら、オプラ、これだけ言わせてください。あなたが大統領になれるはずないから。ぜんぜん能力不足だから」と逆説的に促した。

そのウィンフリー氏が功労賞を受賞すると、会場の大勢が立ち上がりスタンディング・オベーションを送った。

ウィンフリーさんは受賞スピーチで、現在の米国では報道や真実が攻撃されていると述べ、「自分の真実を語ることこそ、私たちの最強の道具です。あまりに長いこと女性たちは無視されてきた。あるいは、自分たちを虐げる残酷なほど強力な男性たちの権力を前に、真実を語ろうものなら、聞いてもらえず、信じてもらえなかった。けれどもその男たちはもう時間切れ。連中はもう時間切れです!」と強調した。

「なので今これを見ている女の子全員に、新しい日がもうすぐ明けると知ってもらいたい。その新しい夜明けがついに来たら、それは大勢の素晴らしい女の人と、今晩この会場にもその大勢がいます、かなりすごい男の人たちのおかげです。もう二度と誰も『私も』などと言わなくて済む時代に、私たちを連れて行ってくれる、そんな指導者になろうと一生懸命戦っている人たちのおかげです」

Image copyright Reuters
Image caption ローラ・ダーンさん(写真左)と「ビッグ・リトル・ライズ」のスターたち

映画「ビッグ・リトル・ライズ」で助演女優賞を受賞したローラ・ダーン氏も、今まで女性は発言しないよう抑え込まれてきたとスピーチした。

「私たちの多くは、告げ口をするな、秘密を漏らすなと教えられてきた。沈黙の文化で、それが普通だと言われた (中略)仕返しの恐怖なく発言してもいい、それが私たちの文化の新たな指針だと、子供たちに教えられますように」

歌手、女優、映画監督のバーブラ・ストライサンド氏は、プレゼンターとして登壇し、ゴールデングローブ賞で監督賞を受賞した女性はまだ自分だけで、しかもそれは1984年のことだったと強い憤りを表した。

ストライサンド氏は、「皆さん、時間切れです。もっと多くの女性監督や女性を、監督賞にノミネートしないと」と呼びかけた。

映画(コメディ・ミュージカル)部門で作品賞に選ばれた「レディ・バード」を撮りながら、監督賞にノミネートされなかったグレタ・ガーウィグ監督は、ストライサンドさんのこの発言を聞き、主演女優賞を得たシアーシャ・ローナンさんと客席で抱き合っていた。

さらに、監督賞を発表した女優ナタリー・ポートマンさんは、監督賞の「男性候補たち」とあえて発言し、ガーウィグ監督を外した候補選定に暗に苦言を呈した。

Image copyright Getty Images
Image caption ロン・ハワード監督と監督賞を紹介するポートマンさん

映画(ドラマ)部門では、マーティン・マクドナー監督・脚本、フランセス・マクドーマンド主演の「スリー・ビルボード」が、最優秀作品賞と脚本賞、主演女優賞、助演男優賞の4部門で受賞した。

Image copyright AFP
Image caption 「スリー・ビルボード」は4部門で受賞した

主演のマクドーマンドさんは、娘を殺害した犯人が見つからず、警察と対立する母親を演じた。

「自分自身が物語を書く」

テレビドラマ部門での最多受賞は、「ビッグ・リトル・ライズ」。出演のニコール・キッドマンさん、ローラ・ダーンさん、アレクサンダー・スカースガードさんが主演賞や助演賞を受賞したほか、限定シリーズ最優秀作品賞も受賞した。

Image copyright Getty Images
Image caption 「ハンドメイズ・テイル」で主演女優賞を得たエリザベス・モスさん

テレビドラマシリーズ部門では、女性が一切の人権を奪われ「産む機械」にされる近未来の神権独裁国家を描き、社会現象ともなっている「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」が、最優秀作品賞と主演女優賞を獲得した。

モスさんは受賞スピーチで、原作者の作家マーガレット・アットウッドさんに賞を捧げた後、「私たちはもはやページの余白や物語の隙間に生きているわけではありません。私たちこそが出版される物語で、私たち自身がその物語を書いているのです」と、立ち上がり発言する女性たちにエールを送った。

Image copyright Getty Images
Image caption 1991年映画「セルマとルイーズ」で共演したジーナ・デイビスさん(左)とスーザン・サランドンさん

男性の束縛から逃れようとする女性2人を描いた1991年映画「セルマとルイーズ」で共演したジーナ・デイビスさん(左)とスーザン・サランドンさんは、映画から27年後に舞台上で「再会」。

ドラマの最優秀男優賞を発表するにあたって、デイビスさんは、候補男優たちは「みんな報酬の半分を返上すると約束したんですよ。自分より女性が多く稼げるように」と述べ、映画業界で長年続く男女の賃金格差を皮肉った。

ゴールデングローブ賞の映画部門は、アカデミー賞の前哨戦とみられている。今年のアカデミー賞授賞式は3月4日に開かれる。

(英語記事 Golden Globes 2018: Sexual harassment scandal dominates ceremony

この話題についてさらに読む

関連リンク

BBCは外部サイトの内容に責任を負いません