若い裸婦像を英美術館が一時撤去 検閲か議論に

「ヒュラスとニンフたち」はJ.W.ウォーターハウスの1896年の作品 Image copyright Manchester Art Gallery
Image caption 「ヒュラスとニンフたち」はJ.W.ウォーターハウスの1896年の作品

英中部のマンチェスター市立美術館がJ.W.ウォーターハウスによる1896年の油彩画「ヒュラスとニンフたち」を一時撤去したことを受け、これが検閲に当たるのかどうか議論が巻き起こっている。

絵には、思春期の若い女性たちの裸の姿が描かれている。この作品を撤去した際、美術館はこのような絵画をどのように展示するのが適切か「議論を促したい」と述べていた。一方で、学芸員の態度は清教徒のように厳格で、政治的正しさを優先させたと批判する声が出た。

作品の展示は3日から再開された。

美術館を運営するマンチェスター市は、「提起された問題について、明らかに多くの人が強い意見を持っていた」と述べた。

先月26日に作品が撤去された際、美術館は、女性の体を「受動的な美しい物として、あるいはファム・ファタル(運命の女)」として提示する「非常に古臭い」方法を検討しなおそうとしていると述べた。

学芸員のクレア・ガナウェイ氏は、「このような作品が公立美術館にあってはいけないと言っているのではない。このような絵画について、従来の解釈方法を再検討し、絵画が別の形で見る人に語りかけられるようにすべきではないかと、提起したい」と語った。

美術館は入場者に、作品の一時撤去についての意見を付箋紙に書いて、作品が展示されていた壁に貼り付けるよう提案している。

Image caption 「フェミニズムは頭がおかしくなった! フェミニストでいるのが恥ずかしい!」と書かれた付箋が壁に貼ってあった

マンチェスター市は一時撤去に対する批判を受け、展示再開を発表した。

臨時館長のアマンダ・ワラス氏は、「実験が議論を刺激するのを期待していた。その目的は確実に達成できたと言っていいだろう。それも、地元市民だけでなく世界中の美術愛好家の。絵が撤去されていた7日間の間、明らかに多くの人が強い意見を持っていた。この強い思いを取り入れて、こうした幅広い問題についてさらに議論を進めていくつもりだ」と語った。

美術館は「さらなる議論を促すため」、一連の催し物を計画しているという。

「議論を封じる

ガナウェイ氏は今月1日に、絵画の検閲をしているわけではないと述べたが、ソーシャルメディアや美術界は強く反発していた。

ゲーリー・ブルックス氏はツイッターで、「政治的考慮の下で芸術を撤去するというのはまさに検閲だ」とコメントした。ベン・パーキンズ氏は、「絵画を撤去しなくても議論を起こすことはできる」と述べた。

ロンドンのロイヤル・アカデミーで2009年に開かれたウォーターハウス展の学芸員を務めたリズ・プレットジョン教授はBBCニュースに対し、「展示から外すのは、セクシュアリティーやジェンダー関係について絵画が提起するかもしれない、本当に興味深い問題について、あらゆる議論をできなくしてしまう」と語った。

「ビクトリア時代の人々は性的なものを毛嫌いしたと言われ、そのせいでいつも批判されている。しかし、道徳に厳格だったと言われるビクトリア時代の人たちを、まるで私たちが真似しているかのようだ」

作品が撤去される様子は、美術家ソニア・ボイス氏が撮影した。3月に開かれる同氏の展覧会で展示される予定だ。

美術館のみやげ物店でも、絵画のはがきを撤去した。

2カ月前には、ニューヨークのメトロポリタン美術館からバルテュスの油絵について同様の問題提起があった。エロティックなポーズをとる隣家の娘を描いた油彩画の撤去、あるいは少なくとも展示方法の変更を求める請願を、2人の姉妹が開始したのだ。

姉妹は、メトロポリタン美術館が「盗み見や子供を物として見ることを美化している」と主張した。

美術館は姉妹の主張を受け入れず、「知識に基づいた議論と創造的な表現の尊重を通じた、現在の文化の継続的な進化」を促したいと述べた。

(英語記事 Victorian nymphs painting back on display after censorship row

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