ロシア旅客機、モスクワ離陸間もなく墜落 71人全員死亡

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モスクワから約80キロ南東で機体の残骸や遺体が広範囲で確認された
モスクワのドモジェドボ空港を11日午後に離陸した国内線サラトフ航空機が、離陸から間もなく墜落した事故で、ロシア政府は同日、乗客65人と乗員6人の計71人全員が死亡したと発表した。
ロシア製のアントノフAN148型機は、モスクワから約80キロ南東のアルグノボ村の近くで墜落した。機体の残骸や遺体が広範囲で確認されたという。フライトレコーダーの1つが発見されたと政府当局は明らかにした。
墜落機は11日午後2時27分(日本時間午後8時27分)にモスクワから、ウラル山脈南部オルスクへ向かって出発。離陸4分後に交信が途絶えたという。
飛行機の航行を追跡するサイト「Flightradar24」によると、機体はその後、毎秒1000メートルの速度で高度を下げた。
目撃者はロシアメディアに対して、墜落する機体のジェットエンジンが燃えているように見えたと話した。
当局は、事故原因は明らかになっていないが、気象や人為ミス、技術的な故障などを事故原因として検討していると述べた。テロの可能性には言及しなかった。
サラトフ航空は、操縦士は飛行経験5000時間のベテランだと、リア・ノボスチ通信に話した。
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事故機の針路を示すウエブサイト「フライトレーダー24」
ロシア非常事態省は、乗員・乗客リストを公表した。5歳の女の子と10代の子供2人が含まれていたという。
乗客はモスクワ在住の2人とサンクトペテルブルク在住の1人を除いて、全員がオルスクのあるオレンブルク州在住だった。オルスクのアンドレイ・オディンツォフ市長がタス通信に明らかにした。
ロシア紙ノーバヤ・ガゼータによると、兄弟が墜落機に乗っていたという少女がオルスク空港で、「返して!」と叫んでいたという。携帯電話を手に涙を流す男性もいたという。
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墜落機は就航8年未満だった(資料写真)
ウラジーミル・プーチン大統領は、被害者の遺族に追悼の意を伝え、事故原因調査の開始を明らかにした。
死者につながった民間旅客機の墜落は2016年11月にコロンビアで、ブラジル1部リーグのプロサッカーチームの選手らを乗せたチャーター機が墜落して以来。2017年は航空史上、最も安全な年だったと言われている。
ロシアの航空機事故としては、2015年10月31日にエジプト・シャルムエルシェイクを出発したロシアのコガリムアビア航空9268便がシナイ半島に墜落し、乗客・乗客224人が全員死亡した。過激派勢力「イスラム国」(IS)が、機内に爆弾を仕掛けたと犯行声明を出した。
2016年12月25日には、乗客・乗員92人を乗せてロシアからシリアへ向かっていたロシア軍のTu-154機が黒海に墜落した。操縦士のミスが原因と言われている。
サラトフ航空とは
サラトフ航空はモスクはから南東840キロにあるサラトフが本拠地。
2015年には抜き打ち検査で、フライトクルー以外が操縦室にいることが見つかり、国際線の運航を禁止された。同社は禁止措置に対して提訴し、安全方針を変更した後、2016年に国際線を再開した。
ロシア国内の都市間のフライトが中心だが、アルメニアやジョージアへの定期便も運航している。
モスクワ(Moscow)と墜落現場アルグノボ(Arugunovo)村の位置

Air disasters timeline
A timeline of international air crashes from 1998 to the present.