トランプ米大統領、北朝鮮との非核化に向けた対話に慎重な姿勢 背景は

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訪朝した韓国特使団を歓迎する金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長

米国のドナルド・トランプ大統領は6日、ホワイトハウスで行われた記者会見で、北朝鮮が自国の安全が脅かされないことを前提に、核兵器を放棄するための対話に前向きな姿勢を示したとする報道に反応を示した。

トランプ大統領は「北朝鮮と韓国の対談後に出された声明は、非常に前向きなものだ」としつつも、これが「期待はずれ」に終わるかもしれないとも語った。

韓国政府はこれに先立ち、韓国高官が北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と面会した際、非核化が話題に上ったことを明かしていた。

韓国政府はまた、金委員長が米国との対話にも前向きで、核兵器の使用実験も一時中止するだろうとも述べた。

ただ、北朝鮮と米国の対話はこれまで何度も立ち消えになっている。

また、北朝鮮政府はこれまでのところ、この件に関して何の声明も出していない。

北朝鮮を訪問した韓国使節団の鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏は6日夜、北朝鮮と韓国が4月に首脳会談を行うことで合意したと明らかにした。

もし首脳会談が実現すれば10年以上ぶりで、2011年に金正恩氏が北朝鮮の最高指導者となってからは初となる。

トランプ大統領は何を語ったのか

「われわれは北朝鮮と、これまで実に長い道のりをたどってきた」とトランプ氏は語った。

「北朝鮮と韓国の対談後に出された声明は、非常に前向きなもので、世界にとって素晴らしいことになるだろう」

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Image caption トランプ大統領は「期待はずれ」への警戒も示した

トランプ大統領はまた、2月に韓国・平昌で行われた冬季五輪に北朝鮮政府が参加の決断を下したことも称賛した。

ただ、記者会見に先立って投稿されたツイートでは、北朝鮮の姿勢が「期待はずれ」に終わることも警戒した。

「北朝鮮との対話に進展がみられるかもしれない。長年で初めて、関係当事者全員が真剣に取り組んでいる。世界は注視し、待っている! 期待はずれに終わるかもしれないが、どうなるにせよ、合衆国は努力を重ねる準備ができている!」

トランプ大統領は、北朝鮮の非核化に向けた対話への意思は「誠実な」ものだろうが、それは「制裁や、われわれが北朝鮮に関して行ってきたことが理由だろう」とも述べた。

一方で、マイク・ペンス米副大統領は、米国が「金政権が核計画を終わらせるまで、最大限の圧力をかけ」続けると表明した。

米政府は、特に昨年北朝鮮が行った核やミサイル実験を踏まえ、核兵器に関する取り組みなしでは、北朝鮮の親善回復に対するそぶりは限定的な影響に留まると主張している。

韓国特使団は米高官に北朝鮮との対話の概要を説明するため、今週後半にワシントンを訪問する予定だという。

北朝鮮は何を語ったとされているのか

6日に出された韓国大統領府による声明によると「北朝鮮は朝鮮半島を非核化する意向を示した。もし北朝鮮に対する軍事的脅威が減り、政権の維持が保障されるなら、核を保持し続ける理由はないと北朝鮮は表明した」という。

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Image caption 6日、金正恩委員長は韓国特使団を夕食会に招待した

北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)によると、金委員長は特使団を「温かく迎え」、「率直な対話」が行われたという。

同社によると、会食は「同胞であるという感覚による、温かい雰囲気に包まれて」行われた。

しかし、複数の専門家は北朝鮮の意図に疑念を抱いている。援助と引き換えに核放棄に合意した2005年の共同声明など、北朝鮮はこれまで合意内容を尊重してこなかった。

平壌の会食で何がったのか

韓国特使団は5日、金委員長と4時間にわたり会食した。特使団には徐薫(ソ・フン)国家情報院院長や鄭国家安全保障室長が含まれたという。

写真には、金委員長と韓国特使団が大きな円卓を囲んで笑顔で会食する様子が示されている。

金委員長の妻でめったに公式行事に姿を見せない李雪主(リ・ソルジュ)氏や、実妹で平昌五輪に政府代表として出席した金与正(キム・ヨジョン)氏の姿も見える。

この夕食会では韓国も北朝鮮も、両国選手団が統一旗の下で行進した平昌五輪以降の緊張緩和を利用しようとしているように見える。

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特使団は北朝鮮側との高官級会談に出席したほか、金委員長を首脳会議に招く文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領からの親書も手渡した。

KCNAによると、金委員長は親書に関し「意見を交換し、満足できる合意を得た」とし、合意内容を実現するよう指示した。

北朝鮮の意図は

北朝鮮の真意を知るのは難しい。韓国政府が首脳会談実施を発表して以降、北朝鮮は何の声明も出していない。

米国と韓国の一部の高官は、北朝鮮政府は単純に兵器計画の開発に時間を稼ごうとしているのだろう、と語った。

あるいは、金委員長は国連や米国の制裁による影響を弱め、困窮する自国に食料支援などを受けようと、可能性を探っているのだろうという意見もある。

アジアの超大国で北朝鮮にとって唯一の友好国、中国からの外交圧力が高まったことも要因かもしれない。

約束破りの歴史

2003年に北朝鮮が核兵器不拡散条約からの脱退を決めたのを機に、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議がたびたび開かれた。。

しかし、援助と引き換えに北朝鮮の軍縮を目指す交渉は、これまでに何度も失敗を重ねてきた。

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Image caption 弾道ミサイル「火星12」の発射を見守る金正恩氏

北朝鮮は2009年、国連安全保障委員会からロケット発射を批判されたことに反発して6カ国協議から脱退し、核査察官全員を北朝鮮国内から追放した。北朝鮮政府は核開発の継続も表明した。

協議再開を目指す取り組みは、ことごとく失敗した。2012年2月9日に米朝間で発表された「閏日合意」は、2週間後の北朝鮮によるロケット発射でご破算になった。

北朝鮮は当時、新しい衛星を打ち上げ、国父の故・金日成(キム・イルソン)元主席の誕生日を祝ったのだと主張した。しかし関係諸国は、この発射をミサイル技術の挑発的な実験だと受け取った。

その後2017年までの間、金委員長は挑発的な大陸間弾道ミサイルの実験を繰り返し指示し、国家間の緊張を高めてきた。

これに対して国連は、段階的に制裁を強化してきた。

(英語記事 Donald Trump cautious on N Korea nuclear disarmament talks

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