カナダでホームレスの「ピアノマン」死亡 演奏ビデオで有名に 

繁華街の路上でピアノを弾く姿が有名になったライアン・アーカンドさん(カナダ・エドモントン) Image copyright YouTube
Image caption 繁華街の路上でピアノを弾く姿が有名になったライアン・アーカンドさん(カナダ・エドモントン)

カナダ・アルバータ州エドモントンの路上でピアノを弾く姿がYouTubeで紹介され、有名になったホームレス男性が2日、支援シェルターで亡くなった。46歳だった。その訃報に多くの市民が悲しんでいる。

ライアン・アーカンドさんは車のクラクションや道行く人たちの叫び声、車や人が絶え間なく行きかう街の声に囲まれて、路上で生活していた。

アルコール依存症や精神疾患と長年戦いながら、曲を作り、路上でピアノを弾いていた。アーカンドさんは亡くなったが、その音楽は残る。

アーカンドさんはカナダ先住民アレキサンダー・ファースト・ネイションの1人で、4歳ごろから兄弟と共に里親と暮らし始めた。この時に地下室でピアノを見つけたのが全ての始まりだった。

CBCのインタビューでは当時のことを「お互いのために存在していると感じた」と振り返り、「ピアノを見ながら恋に落ちた」と話した。

初めはテレビや映画のテーマを耳で覚えて弾いていたが、そのうち作曲もするようになった。

13歳の時に家出してエドモントンにたどり着き、路上生活を始めた。すぐにアルコールが生活の原動力になったものの、もうろうとした状態で過ごす日々の中でも、音楽への愛情は残っていたという。

アーカンドさんは教会や病院のほか、サー・ウィンストン・チャーチル広場でも演奏していた。この広場での演奏をロズリン・ポーラードさんが目にし、撮影したビデオが彼を有名にした。アーカンドさんがポーラードさんに弾いた曲はいみじくも、「始まり」というタイトルだった。

YouTubeでの評判を機に、「ピアノマン」というあだ名がついた。さらに、支援シェルターにも入居できるようになった。ポーラードさんはビデオで得た資金でシェルターにピアノを買い、アーカンドさんが毎日演奏できるようにした。

しかしその後、アーカンドさんはシェルターと路上、病院、そして刑務所を点々とすることになる。ビール瓶を手にしているのを見つかって以来、サー・ウィンストン・チャーチル広場など、なじみの場所での演奏を禁じられてしまった。

2016年に軽犯罪で6カ月服役した後、APTNのインタビューを受けた。

「また酒を飲んでる。最悪だ(中略)もう何をすればいいか分からないんだ」、「(僕の音楽は)破れた夢だ。正直、僕にはもう何も希望がない」と、アーカンドさんは話していた。

アーカンドさんをしのび、家族や友人はその人柄を思っていると話す。

アーカンドさんがたびたび訪れていたセント・ジョゼフ大聖堂のクリス・シュミット神父は、「アーカンドさんが最も輝いていたとき、彼の信仰は素晴らしく、神父として身が引き締まる思いでした」と振り返る。「飲酒していない時の彼は、一緒にいて実に楽しい人でした」。

家族によると、アーカンドさんは週末にもアレキサンダー・ファースト・ネイションの土地に埋葬される予定。アーカンドさんのいとこ、クリス・イエローバードさんは、「彼のこれまでの葛藤や悲しみが過去のものになった思うと、気持ちが楽になる」とコメントした。

(英語記事 Viral homeless 'piano man' dies at 46

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