米朝首脳会談へ 制裁が効いたからか

カリシュマ・バスワニ、BBCアジア・ビジネス担当編集委員

North Korean coal -- which would once have been bound for China -- is piled up on one side of the barrier in Rajin harbour, stranded by a UN ban on coal exports by Pyongyang Image copyright Getty Images
Image caption 国連制裁前には中国へ輸出されるはずだった北朝鮮の石炭が、北朝鮮の羅津港に積み上げられている

北朝鮮と米国の首脳会談が開かれる見通しとなり、アジアの金融市場がこれをかなり好感したのは予想の範囲内だ。

市場の反応は意外でもなんでもない。両国の首脳が会談するという展望や、北朝鮮が「非核化への強い決意」を示し、今後は核・ミサイル実験を控えると約束したことは、世界の安定にとってプラスにしかならないからだ。

特に東アジアにとっては歓迎すべき展開だ。東アジアのサプライチェーン(供給網)は密接に結びついているだけに、紛争が悪化すれば各国経済に否応なく打撃を与える。

しかしそれ以上に、今回の展開が北朝鮮経済について何を語っているかが、特に興味深い。「ロケットマン」と「老いぼれ」が会談するという展望は、北朝鮮経済がいかに苦境に立たされているかの反映かもしれないからだ。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
あなたも実は北朝鮮製の服を持っている?

経済統計を見ると、国際社会の相次ぐ制裁に北朝鮮経済が打撃を受けているのが分かる。

北朝鮮の輸出高は昨年の時点で30%減少した可能性がある。特に、最大貿易相手の中国への輸出は最大35%も減ったようだ。

つまり、北朝鮮経済の3割が消えてなくなったということだ。

最高指導者の金恩正氏が自分の正統性を維持するには、国のエリート層の支持が必要だ。経済規模の縮小を、国のエリート層が歓迎するはずがない。

しかし、今後状況が悪化する可能性を、北朝鮮はもっと恐れているかかもしれない。

国連安全保障理事会の専門家パネルの元委員、ウィリアム・ニューコム氏は私に、「より厳しい措置の多くは、幅広く厳格な適用が完全に効力を発揮するまでに時間がかかる」と話した。「将来の展望を示す初期の兆候はおそらく、北朝鮮政府にはもっとはっきり見えつつあるのだろう」。

数週間前には想像もつかなかったことだが、非核化を話し合う用意があると北朝鮮が表明したのは、新たな制裁によって現実を見つめ直したからかもしれない。

ジョージ・W・ブッシュ政権で国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務めたクリストファー・ヒル氏は、「今回の経済制裁はものすごかった」と語る。「中国はかつてないほど本気で協力した。(中略)確かに痛みを感じ始めているのだろう」。

金委員長は、「新年の辞」でも制裁の影響を認めた。しかし、北朝鮮経済が苦境に立たされていても、金委員長がドナルド・トランプ米大統領を招待したのが、弱さの表れだとは言えない。

米誌「ディプロマット」のアンキット・パンダ氏は私に、「非核化をめぐる北朝鮮との交渉について、米国はいずれにしても何らかの代償を支払う」と語った。

「少なくとも金正恩氏の頭の中では、これは対等な者同士の会談で、何より2つの核保有国同士の会談だという認識のはずだ」

(英語記事 Trump and N Korea: Are sanctions reason for planned talks?

この話題についてさらに読む