ボトル入りミネラルウォーターからプラスチック粒子発見 米調査

デイビッド・シュクマン科学編集長

オーブ・メディアは9カ国から集められたミネラルウォーター250本を調査した
Image caption オーブ・メディアは9カ国から集められたミネラルウォーター250本を調査した

大手メーカーのボトル入りミネラルウォーターのほぼ全てにプラスチック粒子が混入していることが、報道組織オーブ・メディアが主導した調査で明らかになった。

9カ国から集められたミネラルウォーター250本を調査したところ、1リットル当たり平均10個のプラスチック粒子が見つかった。粒子の幅は人間の毛髪よりも太いという。

対象となったミネラルウォーターのメーカーはBBCに対し、ボトリング工場は最高水準で運営されていると説明している。

調査は米ニューヨーク州立大学フレドニア校で行われた。

分析を担当したシェリ・メイソン教授(化学)はBBCに、「様々なブランドの様々なボトルからも、次々とプラスチックが見つかった」と話した。

「特定のブランドを名指したいわけではない。この調査はプラスチックがあらゆる場所に存在し、プラスチックが社会の隅々にまん延し、水や、私たちが日常生活で消費する製品全てに含まれていることを示している」

微小なプラスチック粒子を体内に取り込むことが有害だという証拠は、現在ない。ただし、起こりうる影響を理解することは、科学の重要な分野だ。

メイソン教授は調査結果について「数値は悲惨ではないが、不安が残るもの」としている

専門家は、水道水が汚染されている可能性のある発展途上国では、ペットボトル入りの水を飲み続けるべきだと指摘する。

メイソン教授は2017年、水道水にプラスチック粒子が含まれていることを発見した。他の研究者は、水産物やビール、海塩、さらには大気にもプラスチック粒子が含まれていることを突き止めた。

今回の最新調査は、プラスチックへの国際的懸念が高まっている中で発表された。BBCもドキュメンタリー番組「ブルー・プラネット2」の中で、プラスチックごみが海に与えている害にスポットを当てた。

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Image caption 水をろ過した後の様子。黄色く見える部分が大きな粒子

今回の調査では、人口が多い国やボトル入りミネラルウォーターの消費が多い国を選び、それぞれの国で飲まれているミネラルウォーター11ブランドが対象となった。

世界的ブランド

  • アクアフィーナ
  • ダサニ
  • エビアン
  • ネスレ・ピュアライフ
  • サンペレグリノ

地場ブランド

  • アクア (インドネシア)
  • ビスレリ(インド)
  • エピュラ(メキシコ)
  • ゲロルシュタイナー(ドイツ)
  • ミナルバ(ブラジル)
  • 娃哈哈 (中国)
Image caption プラスチック粒子検出のため、染色剤をボトルに入れる

汚染を避けるため、検査対象となったミネラルウォーターのパックの購買や配送の様子は録画された。米国では対象品のいくつかをオンライン販売で入手した。

プラスチック粒子の検出では、ナイルレッドと呼ばれる染色剤をそれぞれのボトルに入れた。これは英国の科学者が海水中のプラスチックを見つけるために開発した方法で、染色剤がプラスチック粒子に付着し、特殊な光の下で蛍光に光らせる。

続いてボトル内の水をろ過したところ、人間の毛髪とほぼ同じ100ミクロン以上の粒子を数えた。

個別に分析できるほど大きい粒子もあった。赤外線分光器で分析した結果、まずはプラスチックだと判明し、やがてポリマーの一種だというところまで分かった。

一方、100ミクロン未満の粒子は1リットル当たり平均314個にも上った。最小のものは6.5ミクロン。天文学者が夜空の星を数えるのと同じ手法で数えた。

100ミクロン未満の粒子の構成は確定されていないが、メイソン教授は「理論的にはプラスチックである可能性が高い」としている。ナイルレッドは貝殻や脂質を含む藻などにも付着するものの、ボトル入りミネラルウォーターに混入していることは考えられないからだ。

ボトル入りミネラルウォーターから見つかったプラスチック粒子で最も多かったのは、ボトルのフタに使われているポリプロピレンで全体の54%を占めた。このほか、ナイロン(16%)、ポリスチレン(11%)、ポリエステル・ポリエチレンテレフタラート(6%)、その他(3%)となっている。

この調査はまだ他の研究者による査読や科学ジャーナルへの発表といった通常の手続きを経ていないため、BBCは専門家にも意見を聞いた。

ナイルレッドを使う分析方法の先駆者、イーストアングリア大学のアンドリュー・メイズ博士は、この調査は「きわめて高水準の化学分析」で、結果も「とても慎重なもの」だと指摘した。

英食品基準庁の初代委員で英化学調査機関のマイケル・ウォーカー顧問も、調査は「上手に進められた」と評価する。また、ナイルレッドを使う調査は「非常に信頼性が高い」と話した。

両氏は共に、100ミクロン以下の粒子がプラスチックだと確認されていないことを強調した一方、他の可能性が考えられないことから、「おそらくプラスチック」だと説明できると話した。

プラスチックがボトルに入った経緯は、当然の疑問点となる。ボトルのフタに利用されているポリプロピレンの量が多いことから、フタを開ける時にプラスチック粒子が水に入ってしまうのではないかという説が出ている。

分析中にボトルにプラスチックが混入しないよう、メイソン教授はガラス器具を洗浄する純水とナイルレッドを希釈するアセトンについて、事前に汚染がないことを確かめる「空試験」を行った。その結果、大気中に含まれていたとみられるプラスチックが少量見つかったが、最終結果には影響のない範囲だった。

調査の結果、259本のボトルのうち、プラスチック混入の形跡がなかったのは17本だけだった。残りについては、ブランドごとに大きく結果が異なった。

うち数本からは何千個もの粒子が見つかったが、その大多数は100ミクロン未満の「おそらくプラスチック」とされるものだった。一方、同じパックでも別のボトルからは何も発見されないこともあった。

Image caption シュクマン編集長(左)に調査過程を説明するメイソン教授

ミネラルウォーターのメーカーにコメントを求めたところ、ほとんどの企業から回答があった。

ネスレは、2年以上前から内部でプラスチック粒子の検査を始めており、「検出レベル以上」の粒子は検知されていないとしている。広報担当者は、メイソン教授の調査は誤差を排除する手続きを経ていないと指摘。ただ、検査方法の比較のためにオーブ・メディアと接触していると話した。

ゲロルシュタイナーも、数年にわたってプラスチック粒子の検査を行っていると回答。製薬会社向けに定められた「粒子の上限をはるかに下回る」結果が出ているという。メイソン教授の調査については、どのようにして結果にたどり着いたのか分からないとしている。また、自社の検査は業界基準を上回っているとしたものの、プラスチック粒子は「どこにでも存在」するため、「ボトリングの段階で周囲の空気やパッケージ材料から混入する可能性は完全には排除できない」とコメントした。

コカ・コーラは、自社の製造工程は業界でも最も厳しい品質基準に則っており、「複数のろ過プロセス」を使っていると説明。だがやはり、プラスチック粒子は「どこにでも存在が認められるもので、高水準で取り扱われている製品の中にもわずかに見つかることはあるだろう」としている。

ダノンは「調査の手法が不明確」なため、結果についてはコメントできないとした上で、ミネラルウォーターには「食品レベルの包装」を施していると述べた。

ダノンはさらに、プラスチック粒子に関する規制や、検査方法について科学的に一致した見解がないと指摘。また、2017年にドイツで発表された小規模な研究では、使い捨てボトルからプラスチック粒子が検出されたものの、統計上、大した量ではなかったと強調した。

ペプシコは、自社の「アクアフィーナ」は「確実に安全な製品を作り出すための厳格な品質管理と衛生的な製造工程、ろ過工程、食品安全メカニズム」を経ていると説明。プラスチック粒子に関する研究は「黎明(れいめい)期にある発展途上の分野で、さらなる科学的分析と査読を経た研究、多くの利害関係者によるより広範囲にわたる共同研究が必要だ」と述べた。

(英語記事 Plastic particles found in bottled water

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