中国からの分離は「失敗に終わる」 習国家主席、全人代で台湾などけん制

習国家主席は全人代の演説で、独自の国家ビジョンを展開した Image copyright AFP
Image caption 習国家主席は全人代の演説で、独自の国家ビジョンを展開した

中国・北京で開催されていた全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が20日、閉幕した。習近平国家主席は熱のこもった愛国主義的な演説を行い、中国は台頭しつつある世界大国だと強調。「完全な統一を達成すること」が「全国民の願い」であり、中国を分裂させようとする計画は「失敗に終わる運命」と述べ、台湾や香港独立論者を強くけん制した。

習国家主席は、中国は発展の現状に満足してはならないとも述べた。

また李克強国務院総理(首相)は年に一度の定例記者会見で、貿易をめぐる世界的な協力関係維持への強い決意が中国にはあると話した。

今後さらに経済を開放し、「中国企業と外国企業の両方」が「大きな中国市場で公正な競争ができるようにする」と説明。ドナルド・トランプ米大統領の保護主義的な政策や関税措置とは対照的な姿勢を見せた。

「歴史に罰せられる」

習国家主席は2013年から現職。全人代は今月11日に、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正を承認しており、習氏が終身で国家主席の座にとどまることが可能になった。

習氏は今や、毛沢東以来で最も権力のある指導者とみられているが、今回の全人代で主要ポストに側近を次々と配置。権力の基盤固めをさらに進めた。

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Image caption 全人代で演説する習国家出席

閉会前の演説で習氏は、火薬の発明や孔子の教えといった中国の歴史上の偉業を列挙。「社会主義だけが中国を救うことができる」と歴史が証明していると述べ、自分自身の国家ビジョンについて語った。

習氏は、中国人が「血まみれの戦いを最後まで戦い抜く精神を持っている」と述べた。

対外政策については、中国は力強くはなれるが、攻撃的ではなく、他国を犠牲にしてまで発展することはないだろうと説明した。

一方で、発展のためには国家がひとつにまとまらなくてはならず、「偉大な国家の土地のひとかけらでも、中国から分裂させることはできない」と強調。「中国を分裂させようとするあらゆる動きや仕掛けは失敗する運命にあり、国民からは非難を受け、歴史によって罰せられるだろう」と述べた。

この発言は台湾に対する明確なけん制とみられる。中国政府は台湾を反抗している地域と考えており、本土と統合されるべきで、必要とあれば武力行使も辞さない構えを示している。トランプ大統領は先週、台湾との政府高官の行き来を推進する新法に署名し、中国政府が激しく反発。依然として米中関係の火種となる可能性がある。

香港でもここ数年、自治の拡大や独立を求める声が高まっており、2014年には大規模なデモも行われた。中国政府はまた、新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の分離主義者と戦っているとしている。

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Image caption 中国政府は台湾の本土からの分離を認めていない

全人代では反対意見や抗議運動は許されていない。全人代には全国から3000人の人民代表が参加。代表たちは表面上、選挙によって選ばれているものの、実態は中国政府の推薦による。

今年の全人代では他にも、省庁の刷新が行われ環境や退役将校、文化などの分野で省新設が提示された。また、中銀の中国人民銀行の新総裁や、習氏の経済アドバイザーとされる劉鶴氏の副首相就任が決まった。また、汚職摘発を目的とする新機関の設置も可決された。

反汚職運動でこれまでに百万人超の公務員が摘発されているが、習国家主席がライバルを蹴落とす道具に使っているのではないかとの指摘もある。

国家主席の任期制限の撤廃は全人代で圧倒的多数の賛成で可決したが、国内外で批判の声が上がっている。

全人代に先立ち、中国のジャーナリスト李大同氏は人民代表に対し、任期制限の撤廃は混乱の種をまくことになるとの警告を発した。

李氏はBBC中国語に対し「これは文明の波に逆らうもので、時間という試練に耐えられるものではない」「将来、中国史上の茶番と見なされるだろう」とコメントしている。

(英語記事 Attempts to split China 'doomed', says Xi

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