米、中国製品600億ドル規模に制裁関税へ

トランプ大統領 Image copyright Reuters

ドナルド・トランプ米大統領は22日、中国からの輸入品600億ドル(約6兆4000億円)相当への追加関税や中国企業による米国内の投資を制限する制裁を発表した。中国が長年にわたって米国の知的財産権を侵害してきたことへの報復措置だとしている。

制裁に関する文書に署名したトランプ大統領は、米国と中国が交渉を行っており、米国の企業にとっても「互恵的な」貿易の条件を求めていると語った。

ホワイトハウスは当初、対象となる中国製品の規模はおよそ500億ドルだと説明したが、トランプ大統領は最大600億ドルになると述べた。

ホワイトハウスは、国家が主導する中国経済との不公平な競争には対抗措置が必要だとし、中国との長年の交渉は結果を生んでいないと主張した。

一方、中国は「必要な措置」による報復の準備があると述べた。さらに、米国と貿易戦争が起きた場合には「最後まで戦う」としている。

制裁の発表を受け、米国の株式市場は下落。ダウ工業株30種平均は前日比724.42ドル(2.9%)安の2万3957.89ドルで引けた。下げ幅は史上5番目となった。

S&P500種株価指数は同68.24ポイント(2.5%)安の2643.69ポイント、テクノロジー株の比率が高いナスダック総合株価指数は同178.61ポイント(2.4%)安の7166.68ポイントで、それぞれ引けた。

関税の背景にあるもの

トランプ大統領は昨年8月に中国の貿易政策に関する調査を指示している。

ホワイトハウスは、中国が海外企業による買収に関する規制で技術移転を強要するなど、「不当」な行為が幅広く行われているのが調査で判明したと述べた。

さらに、中国が米国企業にとって不公平な条件を適用したり、戦略的分野に投資するようしむけたり、サイバー攻撃を後押しあるいは実施したりしていると指摘した。

ホワイトハウスは、25%の関税の対象として1000品目超をリストに挙げており、今後パブリック・コメントで企業から意見を求め、最終的なリストを作成する。

米政府はさらに、中国企業による対米投資の制限を検討しているほか、米企業への技術移転の強要は世界貿易機関(WTO)のルールに違反しているとして、WTOに提訴する。

米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は、米国が自国の技術を守るのは米経済の将来にとって決定的に重要だと語った。

Image copyright Getty Images
Image caption ロバート・ライトハイザーUSTR代表は、米政府が「中国に最大限の圧力をかけ、米国の消費者に最小限の圧力をかける」のを望んでいると語った

中国の反応

中国商務省は22日に出した声明で、新たな関税に報復する準備があると述べた。

「中国は正当な権利と利権が損なわれるのを座視したりはしない。正当な権利と利権を断固として守るため、すべての必要な措置を必ず取る」

商務省はまた、WTO紛争処理小委員会(パネル)が2014年に下した、米国が中国製の太陽光パネルや風力発電装置などへの補助金に対抗して導入した相殺関税を不当だとする決定に、米国が完全に従っていないとするWTOの判断を強調。この判断は米国が「WTO規定に違反し」、「貿易を修正する措置を繰り返し乱用してきた」ことを証明していると述べた。

商務省は、米国の行為が「国際貿易の公平かつ公正な性格を大きく損ない、多国間貿易制度の安定性を弱めた」と非難した。

WTOは中国の貿易慣行に対しても、異議を表明している。WTOは今年1月、中国が米国産鶏肉に対し不当に高い関税を課しているとの判断を下した。

損をするのは

アナリストたちは、トランプ政権が今回発表した制裁が実際に適用された場合、消費者にとってのコストは上昇し、報復措置によって農業や航空産業など米経済の主要部門に打撃を与えると指摘する。

2016年には、中国は米国にとって世界で3番目に大きな輸出市場だった。中国は、米国産大豆やトウモロコシ、豚肉、航空機の主要な輸出相手国だ。

Image copyright Getty Images
Image caption 米国の対中貿易(緑が輸入、赤が輸出。ピンクの部分が貿易赤字。単位:十億ドル)出展:米国勢調査局

22日の株式市場で、米ボーイングの株価は5%以上下落した。農業従事者が多い中部カンザス州から選出された議員たちは、トランプ政権の貿易政策に強く反対してきた。

一部の経済団体は、中国との関係には問題があると認めるものの、トランプ政権の戦略には懸念を示している。

米中ビジネス協議会のジョン・フリスビー代表は、「一方的な関税といったメリットよりもデメリットの方が大きい制裁だけでない、問題解決の方策を米企業は求めている」と語った。

米政府は、中国から報復を受ける可能性を認めたが、中国の方が失うものが大きいとしている。

米国の対中貿易では、輸入額が輸出額を大幅に上回っている。トランプ大統領は、2017年の対中貿易赤字が3750億ドルに上ったことに強い不満を表明してきた。トランプ氏は22日、中国に対して貿易赤字を「すぐに」1000億ドル削減するよう求めたと述べた。

(英語記事 Trump announces tariffs on $60bn in Chinese imports

この話題についてさらに読む