【元ロシア・スパイ】ロシアが米外交官60人を追放へ 報復措置で

サンクトペテルブルクの米領事館 Image copyright EPA
Image caption サンクトペテルブルクの米領事館

ロシア外務省は29日、米外交官60人を追放し、サンクトペテルブルクの米領事館を閉鎖すると発表した。ロシアの元スパイに神経剤が使われた英国での殺人未遂事件に対する米国の対応に、報復するもの。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、露外交官を追放した他の国々も「応分の」対応を想定するようにと語った。

これに対してホワイトハウスは、ロシアによる米外交官の追放は「予想外ではない」と述べ、追放は「米露のさらなる関係悪化」を裏打ちするものだと批判した。

一連の外交官追放措置は、英南部でロシアの元情報将校セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)に神経剤が使われた殺人未遂事件への反応。

スクリパリ氏とユリアさんは3月4日、英ソールズベリーのベンチで意識不明のところを発見された。英政府はロシアによる攻撃だとして同国を非難している。

2人を治療しているソールズベリー地域病院によると、スクリパリ氏の容体は安定しているものの、重体の状態が続く。一方で、病院は29日、ユリアさんが意識を回復し、話もしていると明らかにした。

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Image caption セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんは神経剤を使われて以来、入院が続く

ロシアはソールズベリーの事件に対する一切の関与を強く否定している。

20カ国以上の国々が、英国と連帯して露外交官を追放した。 中でも米国は今週前半、60人の露外交官を国外退去処分とし、シアトルにある露領事館も閉鎖した。

ロシアは誰を追放するのか

露政府はモスクワにいる58人の米外交官と、エカテリンブルクにいる米外交官2人が「国外退去処分」になると公表した。

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Image caption セルゲイ・ラブロフ外相は、ロシアは「同じやりかたで」対応するだろうと語った

ラブロフ外相はジョン・ハンツマン在ロシア米大使に「報復的対応」を通告したと発表。「他の国々も、在外公館にいる人のうちロシアを去ることになる人数の点で、全てが釣り合いのとれたようになる」と付け加えた。

その後、米国務省報道官は、米政府には今後もさらなる措置を講じる権利があると述べた。

ラブロフ外相はまた、「皆が反ロシア的な方向へ進むよう強制している」と英国を非難。「いわゆるスクリパリ氏の事件を口実に、英米政府がロシアに非常に厳しい圧力をかけているのは、到底容認しがたい行動だ」と反発した。

外相はさらに、ユリアさんはロシア国民だと指摘し、領事館職員による面会を認めるよう重ねて求めた。

同氏によると露政府は、「真実を証明する」ために化学兵器禁止期間(OPCW)の首脳陣との面会を模索しているという。

報復的追放はどのようにしてはじまったのか

テリーザ・メイ英首相はソールズベリーの事件を受けて、スパイと疑われる露外交官23人の追放を含む一連の制裁を発表した。

露政府は同数の英外交官を追放し、同国内のブリティッシュ・カウンシル(英国文化振興会)を閉鎖する対応をした。

その後、20カ国以上の政府が露外交官を追放した。露情報部員の集団的追放としては史上最大とされる。

マーク・セドウィル英首相補佐官(国家安全保障担当)は29日、西洋諸国による露外交官の追放は、ロシアの秘密諜報活動網の根絶を意図したものだと米ワシントンで報道陣に語った。

神経剤についてわかっていること

英政府によると、事件に使われた化学物質は、ノビチョク剤として知られるソビエト連邦が開発した神経剤グループの一部だという。

OPCWから派遣された専門家が、試料を試験するため、19日に英国に到着した。英政府によると、試験結果は最短で2週間ほどで得られると予測されている。

英警察は、スクリパリ氏とユリアさんが最初に神経剤に触れたのは自宅においてだったとみている。最高濃度の神経剤が玄関ドアから検出されたという

(英語記事 Spy poisoning: Russia expels 60 US diplomats in tit-for-tat measure

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