北朝鮮、拘束米国人の解放準備か 平壌市内に移送との情報

移送されたとされる3人のうちの1人、キム・ドンチョル氏は2016年3月に開かれた記者会見で韓国政府と共謀して軍事機密を盗んだと語った Image copyright Reuters
Image caption 移送されたとされる3人のうちの1人、キム・ドンチョル氏は2016年3月に開かれた記者会見で韓国政府と共謀して軍事機密を盗んだと語った

韓国のメディア各社は2日、北朝鮮が拘束中の米国人3人を平壌市内のホテルに移送し、食事や医療サービスなどで待遇を改善していると報じた。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ米大統領の首脳会談を前に、友好姿勢の表れとして北朝鮮が拘束者を解放する可能性があるとみられている。

米国人3人の移送の情報は、韓国の拉致被害者家族の団体「拉北者家族会」の会長で、北朝鮮に情報源を持つ崔成龍(チェ・ソンヨン)氏が明らかにした。

トランプ大統領は先に、拘束者の解放に向けて米国が「非常に熱心に闘っている」と述べていた。トランプ氏は2日、ツイッターへの投稿で、新たなニュースを「乞うご期待!」と述べた。

「みんなが知っているように、過去の(米)政権はずっと、北朝鮮の強制収容所から人質3人の解放を求めてきたが、成果は得られなかった」

3人のうち2人は、トランプ氏が2017年1月に大統領に就任した後に拘束されている。

米国務省の報道官は、崔成龍氏の情報の真偽は確認できていないと語ったが、米国が「北朝鮮で拘束された米国市民ができるだけ早く帰国できるよう取り組んでいる」と述べた。

3人の拘束者はどんな人たちなのか、以下にまとめた。

キム・ハクソン氏

平壌科学技術大学に勤務していたキム・ハクソン氏は、昨年5月6日に「敵対行為」の疑いで拘束された。平壌駅にいた際に拘束されたと報じられている。

主に北朝鮮のエリート層の子弟が通う同大学は、韓国系米国人でキリスト教信者の起業家が2010年に創設し、運営資金の大半は米国と韓国のキリスト教慈善団体が提供している。

同大学では、海外から招かれた講師が数人いるとみられている。

ロイター通信によると、キム氏はインターネットへの投稿で自分をキリスト教伝道師だとし、平壌科学技術大学で実験的な農場を始めようとしていると説明していた。

報道によると、キム氏は中国の北朝鮮との国境沿いの地域で朝鮮系住民の家族に生まれ、1990年代に米国に移住した。北朝鮮に近い中国吉林省の延辺朝鮮族自治州で農業を学んだ後、北朝鮮に移ったという。

キム・サンドク/トニー・キム氏

キム・ハクソン氏が拘束される2週間前、トニー・キムの名前でも知られるキム・サンドク氏はスパイ容疑で拘束された。

平壌科学技術大学で1カ月働いた後、トニー・キム氏は北朝鮮国外に出ようとしていた。韓国のメディアによると、同氏は55歳で、北朝鮮の人道支援にかかわっていた。

同大学のパク・チャンモ学長はロイター通信に対し、「一部の当局者から彼(キム氏)の逮捕は大学での活動とは関連していないと聞かされた」と語った。

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Image caption トニー・キム氏はスパイ容疑で拘束された

「孤児院の援助など、大学の外でいくつかの活動にかかわっていた」

キム氏のフェイスブックのページには、同氏が米国の2つの大学で会計を学び、米企業で会計士として10年以上勤務したと書かれている。

キム氏は中国吉林省の延辺朝鮮族自治州でも教師として勤めた経験がある。

キム・ドンチョル氏

韓国生まれの米国人、キム・ドンチョル氏は60代前半の牧師で、2015年にスパイ容疑で拘束され、2016年には10年間の労働教化刑を言い渡された。

公判前に北朝鮮政府が設定した記者会見で、キム氏は韓国政府と共謀して軍事機密を盗んだと語った。韓国政府はキム氏の発言内容を否定している。

2016年1月に米CNNテレビのインタビューを受けたキム氏は、米バージニア州フェアファクスに住んでいたと語った。また、北朝鮮北東部の中国との国境沿いにある羅先(ラソン)経済特区で貿易とホテル事業の会社を営んでいたことがあると述べた。

同氏はさらに、中国に妻と2人の娘がいるが拘束されて以来、連絡が取れていないと語った。

(英語記事 North Korea-US talks: Who are North Korea's American detainees?

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