「カンガルーにえさやらないで」 襲われる観光客続出

アンドレアス・イルマー記者 BBCニュース

カンガルーをハグしてセルフィーを撮るのはやめたほうが良さそうだ Image copyright Getty Images
Image caption カンガルーをハグしてセルフィーを撮るのはやめたほうが良さそうだ

オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州のカンガルーで有名な観光スポットで、えさを欲しがるカンガルーが人間を攻撃する事例が相次ぎ、地元政治家らが対応を訴えている。

観光スポットは同州モリセットの病院敷地内にあり、野生のカンガルーを見ようと毎週、何千人もの人々が訪れている。

しかし、一部の観光客がカンガルーに蹴られたり、引っかかれたりされ、深刻な切り傷を負っている。カンガルーは観光客が持ってきた好物のニンジンが目当てだという。

豪議会の地元選出議員、グレッグ・パイパー氏はBBCに対し、観光客への警告が喫緊の課題になっていると指摘する。「カンガルーたちはかわいいが、(人に)けがを負わせることもできる」と語った。

パイパー議員によると、過去数年間で観光客の数が急増したことで問題は深刻になっているという。同氏は、「ソーシャルメディアがすべてを変えた」と話す。

ディズニーのアニメ「くまのプーさん」に登場するカンガルーのキャラクター、「ルー」を引き合いに、完璧な「ルー・セルフィー」の撮影場所だとする投稿がインスタグラムやフェイスブック、各種ブログに寄せられ、ユーザーたちの間であっという間に共有が広がっている。

パイパー氏によると、モリセットの観光スポットには毎週3000人が訪れる。同氏は「カンガルーが必ず見られる場所なので、人々が集まるのも分かる」とし、「観光客のせいにはしたくない。啓蒙活動することが課題だ」と語った。

えさやりが人気に

問題は、観光客がえさやりをしようとすることだ。

(警告:負傷した観光客の写真が記事に含まれます)

第一に、野性のカンガルーたちにとって望ましくない。カンガルーは草を食べる動物で、多くの観光客たちによってえさが与えられることで、自然な習性に影響を及ぼす。

カンガルーたちはえさを期待するようになり、そのうち要求するようになって、人間に危害を及ぼす危険が生じる。

パイパー氏は、「彼らは野生動物で、そのように扱わなくてはいけないことを人々は分かっていない」と語った。

カンガルーに襲われた観光客の一人、アニータ・ビーラスツカさんは、ほかの多くの観光客同様、危険の可能性を知らなかったと話す。

ビーラスツカさんはBBCに対し、「えさをやってはいけないなんて知らなかった」と語った。「みんなするから大丈夫だと私たちも思った」。

「大きなカンガルーたちの中の1頭が私を襲って、みんな怖くなった。親たちは子供をつれて走って逃げた」

ビーラスツカさんも逃げ出したが、足にひどい傷を負った。

パイパー議員が提供した、最近の数カ月間で負傷した人々の写真からは、カンガルーたちが明らかに、凶暴になり得ることを示している。

Image copyright Shane Lewis

「オスのカンガルーは人間のお腹を切り裂くこともできる」とパイパー議員は指摘する。「わざとやるわけではないが、彼らの戦うときの習性で、後ろ足で蹴ってくる」。

しかし、近づくことがいつも危険なわけではない。

通常は、近づいても危険ではなく、体をなでることさえ可能だが、カンガルーから近づいてきた場合のみだ。

しかし、パイパー氏は大きなオスのカンガルーには近づかないほうが良いと語る。「オスは背が高く、かなりの筋肉がある。鍛えているような体をしている」。

カンガルーの食性を尊重

最も重要なのはカンガルーにえさをやらないことだ。特に加工食品は与えるべきではない。

カンガルーに野菜を与えるのでも望ましくない。モリセットでは、観光客が持ち込むえさは大半がニンジンのようだ。

人間にとっては健康的な食べ物のように思えるが、カンガルーの健康に良いとは限らない。

ニンジンには糖分が多く含まれ、カンガルーの生死にかかわる病気を誘発する可能性がある。

パイパー氏は、観光客の安全確保とカンガルーの健康維持のため、多言語での案内板の設置など、観光客への啓蒙活動の強化を呼びかけている。

(英語記事 Kangaroos attacking carrot-bearing tourists spark warnings

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