薄毛に新たな治療法の可能性

イアン・ウェストブルック BBCニュース健康担当記者

A bald man Image copyright Getty Images

もともとは骨粗しょう症の治療を意図した薬が、薄毛の新たな治療手段になるかもしれない。そんな発見が8日、科学誌に発表された。

研究チームは実験で、ある薬が毛包(編注:毛根を包む組織で、髪の毛が伸びる通路となる)に劇的な影響を与え、髪の成長を刺激することを発見した。

この薬には、髪の成長を妨げ、薄毛をもたらすタンパク質を標的にする化合物が含まれている。

プロジェクトリーダーのネイサン・ホークショー博士はBBCに対し、この治療法が人間にも有効で安全かを確かめるために、臨床試験が必要になるだろうと語った。

薄毛(男性型脱毛症)の治療には現在、2つの薬のみが使用可能だ――。

  • ミノキシジル(男女兼用)
  • フィナストリド(男性限定)

どちらの薬もNHS(英国の国民医療サービス)による公費医療負担の対象外で、副作用もあるほか、あらゆる人に強い効果を示すわけでもないため、脱毛症患者は薬でなく植毛手術を選択することも多い。

科学誌「PLOS Biology」に8日掲載された研究は、男性の植毛手術患者40人以上から採取した毛包つきの頭皮サンプルを使った実験結果を示した。

英マンチェスター大学の研究チームはまず、1980年代から臓器移植手術の拒絶反応を止めたり自己免疫疾患の症状を抑えたりするのに使われている、シクロスポリンAという古い免疫抑制剤を用いて実験した。

科学者たちはこの薬が、毛包を含む多くの細胞に影響する、重要な成長調節機能を持つタンパク質SFRP1の活動を減らすとの実験結果を得た。

しかし副作用のため、シクロスポリンAは薄毛の治療には適さなかった。

研究チームはこれを受けて、SFRP1を標的にする別の物質を探し始め、WAY-316606がより良いタンパク質抑制機能を持つことを発見した。

ホークショー博士はこの治療法が、「抜け毛に悩む人に大きな効果をもたらす」可能性があるとしている。

英皮膚医学会の広報担当者はBBCに対し、「これは非常に興味深い研究だ」と語った。

「研究チームが言うように、抜け毛はよくみられる身体的不調で、自尊心や自信の喪失など憂慮すべき精神衛生の損傷を引き起こす可能性がある」

「研究結果は、この治療法が抜け毛に悩む人に使えるようになる前に、より多くの研究がなされる必要があるとしている」

「抜け毛に悩む人々にとって、脱毛治療は非常に重要で、待ち望まれているものかもしれない。単に普遍的な効果があるものというだけではない」

「だから新たな治療法は、効果があるかもしれない治療の選択肢を人々により多く提供する点で刺激的なのだ」

何が抜け毛を引き起こすのか

抜け毛は日常的に発生し、基本的に心配する必要はない。いくつかの種類の抜け毛は一時的で、いくつかは恒久的だ。

以下の場合には、医者の診察を受けたほうが良い――。

  • 抜け毛が突然起きた
  • 部分脱毛が進んでいる
  • 抜け毛が一部分に集中して起きている
  • 頭部にかゆみやひりひりする痛みがある
  • 抜け毛が心配

出展:NHS運営の情報サイト「NHS Choices

(英語記事 Potential new cure found for baldness

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