マレーシア航空MH17便撃墜のミサイルはロシア軍所有=調査担当者

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MH17便の残骸
2014年にウクライナ東部で起きた、マレーシア航空機のミサイルによる撃墜を調査する共同調査班(JIT)は24日、ミサイルはロシア軍の旅団が所有するものだったと発表した。
オランダが主導する国際調査団のJITが初めて、ミサイルはロシア西部に展開する軍部隊から発射されたと述べた。
オランダのアムステルダムからマレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)は飛行中に機体が粉々になったため、乗っていた298人全員が死亡した。
同便はウクライナの反政府勢力が支配する地域から発射されたミサイルで撃墜された。ロシアは自国の武器は何も使われなかったとしている。
しかし24日、JITのオランダ人調査員ウィルバート・パウリッセン氏は報道陣に対し、「ミサイルを運んでいた護送部隊の車両はすべて、ロシア軍のものだった」と話した。
パウリッセン氏は、MH17便がロシア製のブーク・ミサイルに破壊されたとするJITの結論を再び示し、ミサイルはクルスクに駐留するロシア軍第53対空旅団から供給されたと付け加えた。
オランダのユトレヒト市で開かれた記者会見でJITは、ミサイルの護送部隊が東ウクライナに到達するのにとった経路をたどったというソーシャルメディア上の画像も示した。
MH17便に何が起きたのか
この問題は、ウクライナ政府軍と親ロシア派分離主義勢力による衝突の真っただ中に起きた。
オランダ・アムステルダムのスキポール空港から2014年7月17日に離陸した飛行機は、その日のうちにマレーシアのクアラルンプールに到着する予定だった。
この飛行機は、ロシアとウクライナの国境から約50キロの場所で航空管制との連絡を絶った。
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MH17便の残骸
飛行機は親ロシア派分離主義勢力が支配するドネツク州に墜落した。
ブーク・ミサイルが飛行機の墜落当日にロシアから飛来し、そして翌日に国境を越えて持ち去られたことを示唆する動画が、ウクライナ政府によって後に公開された。
この問題について語られてきたこと
オランダ安全委員会は2015年10月、飛行機は確かにブーク・ミサイルによって撃墜されたと結論付けた。
オランダ、オーストラリア、ベルギー、マレーシア、ウクライナの担当者で構成されたJITは2016年9月、中間報告書で同様の結論を示した。
中間報告書によると、ミサイルがロシア領から持ち込まれ親ロシア派武装勢力が支配する地域から発射された「反論の余地がない証拠」をJITは得たという。
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MH17便の墜落現場
JITはミサイル弾頭の軌道をいくつもシミュレートした。シミュレーションはミサイル弾頭が飛行機の鼻先数メートルで爆発し、その破片が飛行機に降り注いだと示した。
ロシアは24日、同国軍のどの部隊もこの件に関与していなかったとする立場を再表明した。モスクワのロシア国防省によると「ロシア連邦の対空ミサイルシステムは1つも、ロシアとウクライナの国境を通過していない」という。
一方、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はフェイスブックへのウクライナ語による投稿で、国際司法裁判所において「テロ支援国家としてのロシア連邦の行動に対して、それにふさわしい評価が下されるよう努力を惜しまない」と約束した。
MH17便の航路。オランダのアムステルダムを2014年7月16日の午前10時15分(グリニッジ標準時)に離陸した飛行機は、同午後2時15分にウクライナのドネツク近郊で交信したのを最後に墜落した