ニカラグア政府、デモ鎮圧に暴徒利用=人権団体

社会保障改革案への抗議はオルテガ政権に対するより幅広い不満の表明に発展した Image copyright Reuters
Image caption 社会保障改革案への抗議はオルテガ政権に対するより幅広い不満の表明に発展した

中米ニカラグアで学生を中心とする反政権デモが続くなか、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは29日、政府がデモ鎮圧に暴徒を利用していると非難した。

アムネスティによると、暴徒たちは半自動式の銃を使用し、治安部隊と連携してデモ隊を攻撃しているという。

先月から始まったデモでこれまでに約80人が死亡した。社会保障制度への抗議は、ダニエル・オルテガ大統領率いる政権への反対デモに発展した。

アムネスティの報告書によると、デモ隊を攻撃する武装集団は、政府寄りの学生やバイカーたちによって構成されていることが多い。当局とのつながりが服装で分かるときもあるという。

報告書は、「まず、ほぼ全ての攻撃が、治安部隊の前あるいは部隊と連携する形で民間人によって行われているという事実が、これらの集団が政府の黙認の下で行動していることを示している」とし、「さらには、犯罪が犯された後も、警察が犯人たちを追跡せずに、現場から逃げ消散するのを許しているという事実もある」と述べた。

アムネスティはニカラグア政府に対し、デモ参加者の殺害を調査するため、中立的な立場にある専門家による国際委員会の設置を許可するよう訴えている。

米州人権裁判所(IACHR)は今月、ニカラグアに担当者を派遣。IACHRは、デモの際に政府の治安部隊や武装した第三者による過度の実力行使を中心とする深刻な人権侵害が起きていると指摘した。

これを受けてニカラグア政府は、デモ参加者の殺害に関する調査委員会を設置した。

ニカラグア国会のグスタボ・ポラス議長は、5人の委員によって構成される調査委員会が国会から独立した形で自由に調査を行うと語った。

街頭での抗議デモは、オルテガ大統領が年金や社会保障の削減を承認したことを受けて始まった。

オルテガ大統領はその後、改革案を撤回したものの、デモは政権への抗議運動に発展した。

<解説>「前線にいるようだった」――アルトゥーロ・ワラス記者 BBCニュース(ニカラグア・マナグア)

超法規的殺人の可能性はすでに、米州機構(OAS)が設立した独立機関のIACHRがまとめた厳しい内容の報告書で指摘されていた。

しかし、アムネスティはさらに踏み込み、オルテガ大統領が殺人を黙認している可能性が高いとしている。

実弾が使用され、高い位置から上半身を狙って発砲したケースが多いというアムネスティの指摘は、抗議デモが始まった最初の週に多くの負傷者を手当てした外科医がBBCニュースに対して語った内容と一致する。

その医師は、「前線にいるようだった」と話した。報復行為を恐れる医師は匿名での証言を希望した。

非常に危険な状況は依然として続いている。

現在ニカラグアにいるアムネスティのチームは、抗議デモにかかわる地元大学の一校で、政府を支持する暴徒や治安部隊による攻撃に遭遇した。

アムネスティのエリカ・ゲバラ・ロサス南北アメリカ担当ディレクターは、攻撃によって少なくとも学生41人が負傷し、1人が死亡したと語った。

(英語記事 Nicaragua unrest: Government colluding with mobs, says Amnesty

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