米国が制裁関税導入なら貿易交渉は無効 中国が警告

米国の対中輸入額は現在、同輸出額の4倍となっている Image copyright AFP
Image caption 米国の対中輸入額は現在、同輸出額の4倍となっている

中国の北京で開かれていた米中通商協議が3日、終了した。中国は会談後に声明を発表し、もし米国が貿易制裁を導入すれば、両国政府間で行われてきた貿易対話は全て無効になると警告した。

中国の劉鶴副首相と米国のウィルバー・ロス商務長官の間で行われた会談の後、中国政府は世界各国から輸入を拡大する準備は出来ていると述べた。

米政府が中国政府に500億ドル(約5兆4800億円)規模の追加関税を導入すると示唆してから数日後、ロス氏は訪中した。

一方、G7各国は鉄鋼とアルミニウムへの新たな輸入関税を導入した米国を激しく攻撃している。

フランスのブリュノ・ル・メール財務相は、貿易戦争が「数日のうちに」始まる可能性があると警告した。

ドナルド・トランプ米大統領は2日、米国は何年もの間、貿易において他国から搾取されてきたとツイッターで主張した。

トランプ氏は鉄鋼への関税が米国の製鉄業者を保護すると主張。同氏は製鉄業者を、国家安全保障に極めて重要としている。またトランプ氏は、欧州やあらゆる場所で米企業が直面している障害についても不満を述べた。

その上で同氏は、「利口になる時だ!」と付け加えた。

対中貿易の制裁関税 その要点

  • 貿易戦争とは?貿易している国同士が、お互いを課税や輸入制限で攻撃しあっている状態。ある国が関税(税金の一種)を引き上げると、相手国の反応を引き起こし、報復合戦になる。この状態は経済に悪影響を及ぼし、政治的緊張を高める可能性もある。
  • 関税とは?外国製品にかけられる税金のこと。理論的には、外国から入ってきた(輸入された)製品に税金をかけると、人々がその製品を購入する可能性は低くなる。製品が税金によってより高価になるためだ。かわりに人々はより安価な地元の製品を買う傾向が高まり、自国の経済を後押しする。
  • 貿易赤字とは?ある国が他の国から何かを買った金額と、その国に何かを売った金額との差。米国は中国に対して膨大な貿易赤字がある。貿易赤字額は昨年、約3750億ドルに上った。

中国政府の主張

北京での米国との協議後に中国側が発表した声明では、協議の成果について具体的な内容は語られなかった一方、米ワシントンで先月交わされた、中国が米国産製品やサービスの購入を促進するとの合意について言及された。

声明は、「ワシントンで交わされた合意を実行するため、両国は農業やエネルギーなど様々な領域で良い対話を行い、前向きかつ具体的な進展を得た。関連する詳細はこれから両国で確認される」とした。

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Image caption 米国のロス商務長官と中国の劉副首相は、両国の貿易赤字減少に取り組むため会談した

しかし中国の国営新華社通信は、声明は貿易戦争を起こさないよう警告したと伝え、両国が歩み寄るべきだとした。

新華社通信は、「改革・開放や内需拡大は中国の国家戦略だ。我々の確立したリズムは変わらない」と報じた。

「米国が関税などの貿易制裁を導入すれば、両国の交渉から得られた全ての経済および貿易上の成果は無効になるだろう」

米国がしようとしていること

北京で行われた通商競技は、米中両国の貿易赤字減少が狙いだった。米国の対中輸入高は現在、同輸出高の4倍近くになっている

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Image caption トランプ氏は米国の製鉄業者を保護することは国家安全保障の問題だと述べている

ホワイトハウスは先週、数年に及ぶ「不公平な」貿易慣行に狙いを定めた声明を発表し、米国は総額500億ドル相当の中国からの輸入品に25%の関税を課すと警告した。

カリシュマ・バスワニBBCアジアビジネス担当編集委員は、先月あったワシントンでの協議における中国の譲歩はトランプ政権にとって十分ではなかったことを声明の論調が示唆していると指摘する。

トランプ氏が中国に対して態度を軟化させているとの米国内からの批判を受けて、3日の通商協議を前に中国に対する圧力を強める交渉戦術として、声明が出された可能性があると専門家は言う。

北京での協議後には、共同声明は発表されなかった。また、中国の発表に対する米国側からの反応もない。

G7の反応

カナダのスキーリゾート、ウィスラーで開かれていた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は2日、閉幕した。白熱したこの会合で、欧州連合(EU)とカナダは米国に対し報復関税の発動を警告した。米国のロス商務長官は5月31日、欧州、カナダ、メキシコから輸入される鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を導入すると発表しており、この関税は1日から始まっている。

スティーブン・ムニューシン米財務長官は、米国は世界経済における指導者の地位を放棄していないとし、他国の強い反応をトランプ氏に伝えたと述べた。

このG7財務相・中央銀行総裁会議でも、終了後に共同声明は出されなかった。このことについてBBCのクリス・バックラー北米特派員は、不一致の明確な兆候だと指摘する。

バックラー特派員は、激しい議論は今週末、カナダのケベック州で開かれるG7首脳会議(サミット)でトランプ氏を交えて続けられるだろうと述べた。

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Image caption EUが導入を予定する対抗関税で、ハーレー・ダビッドソンのバイクも課税される

カナダ、メキシコ、EUは2017年、合わせて230億ドル相当の鉄鋼とアルミニウムを米国に輸出した。これは昨年の米国における鉄鋼とアルミニウムの総輸入高480億ドルの半分近くになる。

EUは米国の関税発表に対し、10ページに及ぶ報復関税の対象米国製品リストで応じた。リストにはハーレー・ダビッドソンのバイクからバーボンまでが含まれる。

カナダは7月1日から、総額130億ドル相当の米国製品に最大25%の関税をかける計画。対象には、複数の米国製鉄鋼製品や、ヨーグルト、ウィスキー、コーヒーなどの消費者向け製品が含まれる。

(英語記事 China warns US sanctions will void trade talks

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