G7サミット開幕 トランプ氏、貿易問題とロシア処遇めぐり孤立

Theresa May and German Chancellor Angela Merkel look on as US President Donald Trump arrives for the family photo at the G7 Summit June 8, 2018 Image copyright AFP

主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)が8日、カナダ東部シャルルボワで開幕した。初日の議論では、ドナルド・トランプ米大統領と他のG7首脳の意見相違があらわになった。

トランプ大統領は、ウクライナ南部クリミア半島の一方的な併合によりG8から排除されたロシアを再び加入させるべきだとの驚きの発言をした。

しかしアンゲラ・メルケル独首相は、G7サミットに参加している欧州連合(EU)加盟国は全て、ロシアは再加入すべきでないと一致していると述べた。

トランプ政権が最近導入した貿易関税による摩擦も、サミットに影を投げかけている。

カナダは米国の貿易関税を「違法」だとした。また、ドナルド・トゥスクEU大統領(欧州理事会常任議長)も、貿易や気候変動、イラン問題をめぐるトランプ氏の姿勢が真の危険を作り出したと苦言を呈した。

トゥスク氏は、「ただ私が最も恐れているのは、ルールを基盤とした国際秩序に異議が申し立てられているという事実だ。それも非常に驚くことに、予想できるところからではなく、国際秩序の形成を主導し、継続を保証してきた米国から異議申し立てがされている」と述べた。

ただ、エマニュエル・マクロン仏大統領はトランプ氏との会談後、「事態は前に進んでいる」と述べ、まだ貿易問題でも進展があるかもしれないとした。マクロン氏は詳細は明らかにしなかった。

サミット閉会にあたっての共同声明が、分断を理由に出されないとの見方もある。トランプ大統領は、最終的には共同声明は採択されると考えていると報道陣に対し述べた。

G7とは

G7サミットはカナダ、米国、英国、フランス、イタリア、日本、ドイツの7カ国が年1回開催する首脳会議。参加7カ国の総資産を合計すると、世界の総資産の60%以上を占める。

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主要な議題は経済だが、現在では主要な国際問題も常に議題として話し合われるようになっている。

今回のサミットはカナダのケベック州シャルルボワにあるラ・マルベイの町で開催されている。

トランプ氏のロシアに関する発言

トランプ氏は、「知ってのとおり、好きか嫌いかに関わらず、また政治的に正しくないかもしれないが、我々は世界を動かしていかなければならない。G7はかつてG8だったが、彼らはロシアを追放した。彼らはロシアを復帰させるべきだ」と述べた。

トランプ氏の発言に対しては当初、最近就任したイタリアのジュゼッペ・コンテ首相が、「皆の利益になる」とツイートし、ロシアの再加入を支持した。

BBCのスチュアート・ヒューズ国際問題担当上級プロデューサーはツイッターに、G7サミットで恒例となっている首脳全員での記念撮影の様子を映した動画と共に、「2018年のG7の伝統的な『家族写真』だが、ちょっとした家族療法が必要かもしれない」と投稿した。

しかしメルケル独首相はその後、コンテ氏を含むG7に参加するEU各国は全て、ロシアはウクライナとの関係に「進展」がない限り再加入できないとの見方で一致していると述べた。カナダもロシアの再加入には反対姿勢を維持するとしている。

一方、ロシア政府の報道官は、G7ではない「別の形式」に興味があると述べた。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は現在、中国の北京に滞在している。プーチン氏は北京で、中国の習近平国家主席から友好勲章を授与された。

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Image caption 中国の習近平氏(左)はロシアのウラジーミル・プーチン大統領を中国に招き、アイスホッケーの親善試合に招待した

ロシアがウクライナ南部クリミア半島の支配権を掌握したことを受け、他のG8各国はロシアの参加を停止した。英国における元ロシアスパイへの神経剤使用疑惑などもあり、緊張は続いている。

他のG7各国の貿易に対する見方

トランプ氏による鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税の導入は、米国の同盟国まで報復関税を発表するなど怒りを呼び、貿易戦争の恐れすら生まれている。

カナダのクリスティア・フリーランド外相は米国の関税を「違法で、完全に不当」とした。

トランプ氏は8日、米国とカナダが関税の削減と「関税を両国にとって非常に公平なものにする」ことに取り組んでいると述べた。

「我々は今日、多くの進展を生み出した」とトランプ氏は語り、両国の関係は「恐らくこれまでにないほど良い」と付け加えた。

またトランプ氏はツイッターに、「G7各国との不公平な貿易交渉を正すのが楽しみだ。もしそうならなければ、我々はもっといい手を出す!」と投稿した。

テリーザ・メイ英首相は、米国の関税への報復についてEUは抑制と均衡を持って動くよう望んでいると語った。

マクロン氏やカナダのジャスティン・トルドー首相と異なり、メイ氏はトランプ氏と個別に首脳会談を実施する予定はない。ただメイ氏は8日、冷遇しているわけではないと主張した。

G7サミットで他に予想されること

トランプ氏はG7サミット終了前に会場を離れ、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との歴史的な首脳会談のためシンガポールに向かう。これは、議長国カナダのトルドー首相により進められる議題別の会議をいくつか欠席することを意味する。

今年のG7サミットの5つのテーマは以下の通り――。

  • 包括的な経済成長
  • 性平等と女性のエンパワーメント(権限委譲や地位向上、活躍支援)
  • 世界平和と安全保障
  • 未来の雇用
  • 気候変動と海洋

公開されている首脳会議の日程表を元にすると、トランプ氏は8日に開かれる経済や安全保障について話し合う諸会合には参加するが、9日に予定されている気候変動や環境問題についての会合は欠席するとみられる。9日朝の性平等を議論する会合も欠席する可能性が高い。

マクロン仏大統領は8日夜、ツイッターに、トランプ氏と議論する様子を収めた動画と共に「議論を続けている。関与し、今もこれからもずっと、会話を続ける。仏国民と、世界を共に築けると信じる全ての人の利益を高めるため、常に共有し、訴える。ドナルド・トランプ米大統領と、G7サミット開始前に」と投稿した。

トランプ氏は昨年イタリアで開催されたG7サミットでは、気候変動に関して大きく孤立した。トランプ氏はその後、歴史的なパリ協定から米国を離脱させる方針を発表した。

イラン問題も大きな障害だ。トランプ氏は最近、イランの核計画を制限することを狙った2015年のイラン核合意から米国を離脱させた。この措置は、核合意を後押ししようと模索してきた他の締結国の怒りを呼んだ。

過去のG7会合では大規模な抗議活動があった。今回のケベック州での首脳会議では、約8000人の兵士と警察官が配置される予定。

<解説>トランプ氏、爆弾を抱えて到着――ジェイムズ・ロビンズ BBC外交担当編集委員

ドナルド・トランプ氏と米国の主要同盟国は、トランプ氏が不用意に投下したロシア再加入という手榴弾の前から、貿易関税をめぐって新たな冷え込みに入っていた。

ほとんどのG7首脳は今でも、2014年にロシアを排除し、現在までそれを維持している決定を正しいと考えている。ロシア自身も再加入には乗り気でないようだ。

多くの観点から、これはトランプ氏の意図的な戦術だと考えられる。貿易と保護主義をめぐる米国以外のG7各国との言葉による戦争から注意をそらす戦術だ。

トランプ氏は、G7という発想全てを嫌っている。合意されたルールを基盤とする国際秩序に根差した勝ちを共有し従来どおりに集まる、国家の集合体という発想を。会場へ1番遅く到着したトランプ氏は、1番早く会場を去る予定にもなっている。

(英語記事 G7: Trump isolated on trade and Russia as leaders meet

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