バーガーキング、「W杯選手の子供を妊娠した女性に賞金」広告で謝罪 性差別にあふれる露メディア

BBCモニタリング――世界のメディア報道から 

A football fan at the fan zone in Kaliningrad watches Russia vs Egypt Image copyright OZAN KOSE/AFP

米ファストフード大手バーガー・キングのロシア部門は、サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の出場選手の子どもを妊娠した女性に賞金300万ルーブル(520万円)とワッパー・バーガーを生涯無料で提供するとしたキャンペーンについて謝罪した。

広告には、「最高のサッカー遺伝子を手にした女性は、将来何世代ものロシア代表を育てる」と書かれていた。

このキャンペーンはロシア国内で大きな批判を浴び、バーガーキングは広告を削除した。メッセージアプリ「テレグラム」のフェミニストグループには、「女性に対するロシア社会の水準を如実に表している」と書かれた。

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ロシアの女性は、メディアや広告で獲物を狙う性的捕食者として描かれてきた。

親政府派メディアの記事では、女性が「外国人のファンをひきつけ」、口説くための手口を説明している。

大衆紙モスコフスキー・コムソモーレツには「愛のトリック:ロシアの美女が外国人ファンを捕まえる」という見出しが載り、スポーツサイト、チャンピオナトにも「ロシア美女が外国人を捕まえる方法」という記事が載った。

YouTubeではある国営テレビ局のホストが、外国人ファンと出会うために「何十万人もの吸血鬼がモスクワに集まっている」と話している動画が投稿された。

チャンピオナトはこのほかにも、「W杯のトップ美女」という記事を毎日更新しており、こうしたことは有名ブロガーも盛んに行っている。

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Image caption ロシアのソーシャルメディア「フコンタクト」に掲載されていたバーガーキングの広告。現在は削除されている

ロシアでの性差別

こうした文脈は、フェミニストの声がほとんど聞かれない旧共産国のロシアでは目新しいものでは全くない。

ロシアのテレビではジェンダーの役割に関する議論は軽くあしらわれ、番組が少しでもフェミニスト寄りになると、ロシアの伝統的価値感を損なう西側諸国のプロパガンダだと片付けられる。

そしてこうした風潮に対し、ロシアの女性からの反発は中々見られない。

女性権利の活動家アリオナ・ポポワ氏はBBCに対し、ロシアの女性の間には主張する意思が足りないのだと説明する。

「男性たちがあらゆる場面で女性はただの肉体だと叫び、セクハラを正当化する言い訳を見つけ、家庭内暴力の被害者を糾弾していると、女性たちはそれが当たり前だと思い始める」

ポポワ氏は、先に、複数のジャーナリストからセクハラ疑惑で非難されたレオニド・スルツキー議員のスキャンダルについて言及した。民衆からの激しい反発にも関わらず、議会の倫理委員会はスルツキー議員の疑惑を退け、同氏は議員資格を保持した。

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Image caption この女性は、周囲で下品な掛け声が叫ばれているのを知らずに笑っていた

性差別的な掛け声にも無反応

ブラジルのサポーターがロシア人女性を囲みながらポルトガル語で性的なチャント(掛け声)を歌っている動画が公開されたとき、ブラジルでは大きな反発が起こった。

しかし、ロシアでの反響はほとんどなかった。

笑顔でブラジル人ファンと一緒に歌おうとしているこの女性はポルトガル語をしゃべれないようで、チャントが彼女の体についてのものだとは気がついていない。テレグラムではある著名なアカウントが、「彼女はみんなが外国に連れて行くと約束していると思ってるんじゃないか。間違いだ」と冗談を飛ばしていた。

この一件に関わった人物を逮捕するよう当局に求めるキャンペーンは、ロシアで2500件の署名を集めた。このチャントに加わっていた何人かは、ブラジルメディアによって特定されている。

ポポワ氏は、ロシアの法律は外国人に「ロシアの人女性をただの肉体として扱う自由がある」と思わせていると批判する。

スルツキー議員のスキャンダル以降、ハラスメントを規制する法律の策定が計画されたものの、現在、ロシアにこうした法規制はない。

ポポワ氏は「メディアにおける女性の新しいイメージのために戦わなければいけない。その代わりに、メディアはあらゆる機会を使って誤ったイメージを発信している」と話した。

(英語記事 Russian media mock World Cup 'husband-hunters'

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