【サッカーW杯】日本、ベルギーに2-3で惜敗 後半追加時間に失点

エムリン・ベグリー BBCスポーツ

Belgium players celebrate Image copyright Getty Images

サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本は2日、ロストフ・オン・ドンでの決勝トーナメント1回戦でベルギーと対戦し、2-3で敗れた。日本は一時2-0でリードしたものの同点に追いつかれ、試合終了間際にも失点。初のベスト8進出はならなかった。ベルギーはW杯敗退の危機から劇的な復活を遂げ、準々決勝に駒を進めた。

日本は後半3分、MF柴崎岳のロングボールにMF原口元気が走りこんで合わせて先制した。ベルギーDFヤン・フェルトンゲンは柴崎のボールを止められず、このゴールで、日本には一時圧勝の気配も漂った。

日本は後半7分にもMF乾貴士が約23メートルのロングシュートを決めて2点差に。初の準々決勝進出を引き寄せたかと思われた。

しかしベルギーのロベルト・マルティネス監督は、2点を追う後半20分にMFマルアン・フェライニとMFナセル・シャドリを投入。その直後の後半24分にフェルトンゲンがヘディングで1点を返した。さらに後半29分にはフェライニが同点弾となるチーム2点目を決めた。

後半アディショナルタイム(追加時間)の49分には、シャドリがついに決勝点を挙げた。

ベルギーは6日、準々決勝でブラジルと対戦する。

レッド・デビルズ復活

ベルギーの「黄金世代」と呼ばれた、英プレミアリーグ所属のスター選手たちは残念な試合ぶりだった。それで窮地に立たされたマルティネス監督は冷笑されることも多かったフェライニとウェストブロムウィッチ所属のシャドリに頼った。

交代のすぐ後、フェルトンゲンが放物線を描くヘディングを決めてチームを再び試合へ引き戻すと、運はベルギーに味方し始めた。

フェライニがMFエデン・アザールのクロスを頭で叩き込み同点に追いつくと、シャドリがDFトマ・ムニエのパスに飛び込んで決勝点を挙げ、レッド・デビルズ(サッカーベルギー代表の愛称)をW杯敗退の危機から救った。

ベルギーは、1970年メキシコW杯で西ドイツがイングランドに逆転勝利して以来の、2点ビハインドから勝利したチームとなった。

ベルギー、勝者の精神を最高のタイミングで

ベルギーには明らかに、有力選手が多い。アザール、MFケビン・デ・ブルイネ、FWロメル・ルカク、GKティボー・クルトワなどは、英プレミアリーグでも紛れもないスターだ。 最近23試合無敗の記録を誇るベルギーはしかし、戦術的に優れているかは常に疑問視されていた。

マルティネス監督と選手たちは、こうした疑問に答えるいくつかの方法を手にし、真の勝利の感触を見つけたと感じているだろう。その1時間前には、死んで埋葬を待っているかのようだったが。

チェルシーのウィングに君臨するアザールは、試合開始から60分までにはほんのわずかしかなかった得点機の1つで、シュートをポストに当てていた。

しかしベルギーは、やや偶然の産物ではあったものの、勝利に希望をつなぐゴールで、試合に戻ってきた。乾がクリアしたボールにフェルトンゲンが頭で合わせると、ボールはGK川島永嗣の頭上をふわりと越えていった。川島はこのヘディングシュートを止められる可能性があったが、うまくいかなかった。

20ヤード(約18.3メートル)の距離から決められたこのヘディングシュートは、統計が記録され始めた1966年以来、W杯における頭での得点で最長距離のゴールとなった。

その後、交代選手が存在感を発揮し始める。先週マンチェスター・ユナイテッドと新契約を結んだフェライニは後半29分、アザールのセンタリングを頭で合わせて得点した。

決勝点は、まさにチームの成果だった。GKクルトワがデ・ブルイネにボールを送る。デ・ブルイネは90分間で目立った活躍を見せていなかったが、ベルギーが必要としたその瞬間、息を吹き返したように爆発した。

マンチェスター・シティの司令塔デ・ブルイネは、約55メートルをドリブルで持ち上がると、ムニエにパスを送る。ムニエが上げたクロスをルカクがまたいでスルーすると、シャドリがボールをゴールに叩き込んだ。

ルカクはベルギー代表での最近11試合で17得点を挙げていたが、この時はシュートしない決断をした。この決断が何より重要だったのかもしれない。

ベルギーにW杯優勝の可能性も?

この逆転勝利は、ベルギーに大きな気迫をもたらしたはずだ。また、マルティネス監督の就任初戦となった2016年9月のスペイン戦以来、チームは敗北していないという事実も自信になるだろう。

過去の2大会、2014年ブラジルW杯と2016年欧州選手権(ユーロ)で、ベルギーは共に準々決勝敗退だった。主要大会で優勝経験がないレッド・デビルスは今大会、少なくとも過去2大会を上回る成績をどうにかして挙げようとしている。しかし、大きな問題が1つある。

カザンで6日に行われるベルギーの次戦は、今大会の優勝候補、W杯優勝5回のブラジルとの対戦となる。ベルギー対ブラジルの勝者は、1998年W杯優勝のフランスか、過去2回の優勝経験を持つウルグアイと、決勝進出をかけて戦うことになる。

もしグループステージ最終戦でイングランドを倒さず、敗れていれば、決勝までの間にW杯優勝経験国と当たらなかったということを思い出す必要はないだろう。

「ベルギーは自らを深く掘り下げなければならなかった。そしてそれを非常にうまくやった」とBBCラジオ5ライブでクリス・サットン氏は語った。「ベルギーは今大会、この試合以上に厳しい試合は経験しないだろう。ベルギーは絶体絶命だった」。

あと少し…… 日本にはその少しが遠く

日本は最近数カ月で、いくつもの大きな賭けに出てきた。ロストフ・オン・ドンでの試合開始から1時間の時点では、その賭けは立派に利益を上げているように見えた。

最初の賭けは、大会開始2カ月前にバヒド・ハリルホジッチ監督を解任し、西野朗氏を後任に就かせたことだ。

そしてもう1つの賭けは、グループステージ最終戦でポーランド相手に0-1で負けの状況を維持するために行い議論を呼んだ時間稼ぎだ。この試合、もしくは同時刻に行われていたコロンビア対セネガルであと1ゴールでも生まれていたら、日本はW杯敗退の可能性があった。

賭けに勝ったブルー・サムライ(サッカー日本代表の海外での愛称)は素晴らしい活躍を見せてリードを奪い、1966年イングランドW杯での北朝鮮、2002年日韓W杯での韓国に続いてアジア3カ国目となる準々決勝進出国になろうとしていた。

原口が冷静さを保って放ったシュートはクルトワも触れず、日本が1点を先制。乾の素晴らしいミドルシュートで得点差は2点に広がり、日本が試合を支配した。

実のところ、日本は得点機を多く得たわけではなかった。ゴール枠を捉えたシュートは4本のみ。試合終了の数秒前にシャドリが川島も届かないシュートを決めるまで、日本は全ての好機を外し続けた。

「日本は最後の2分間を後悔するだろう。日本は全てを投げ出し、少しだけ背後を空けてしまった」とBBC Oneの解説者、元ドイツ代表のユルゲン・クリンスマン氏は語った。「後半49分の時点で、選手たちは疲れ、延長戦について考えていた。そしてミスが生まれた」。

両監督の試合後コメント――「悲劇だ」

ベルギーのロベルト・マルティネス監督:

試合に振り回された。日本を祝福しよう。日本は完璧な試合をした。カウンター攻撃は有効で、非常に堅実だった。我々の個性が試され、交代選手が試合の勝利を呼ぶいい反応を見せてくれた。この勝利が選手たちの団結について全てを物語っている。

今日の試合に後ろ向きなことはない。勝ち上がれたのだから。選手たちをとても誇りに思える日だ。ベルギーを信じ続ける。W杯では完璧を求めなければならないが、ともかく次に進めた。勝てたんだ。

日本の西野朗監督:

結果は残念。追い詰めたけれど、勝ち切れなかった。ベルギーとの差は非常にわずかにあるのかもしれないが、試合中はほとんどないと感じていた。

それは監督としての私の采配なのか、まだまだ本気になったベルギーに及ばなかったのか。

認めたくないゲームだった。悲劇だという感覚は強くあるが、敗戦と言う事実を認めないといけない。

マン・オブ・ザ・マッチ――乾貴士(日本)

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Image caption 試合は失意のうちに終わったものの、乾貴士の得点と左サイドでの疾走は日本にとって素晴らしいものだった

追加時間での勝利は今W杯9回目――統計から

  • ベルギーは1966年イングランド大会でポルトガルが北朝鮮を下して以来の、W杯決勝トーナメントで2点以上の差をつけられた状態から90分以内に勝利したチームとなった(1966年大会では、ポルトガルは0-3の状況から逆転して5-3で北朝鮮に勝利)
  • ベルギーがW杯2大会連続で準々決勝に進出したのは初
  • ベルギーはW杯決勝トーナメントでの12試合を無失点で終えたことがない。合計で28失点を喫している
  • 日本は2018年ロシアW杯で6得点を挙げた。これはW杯1大会での得点記録としてはこれまでで最多
  • 日本は最初の得点を挙げてから4分16秒後に2点目を決めた。ベルギーは1点返してから4分30秒で同点となる2点目を挙げた
  • 今大会、後半アディショナルタイムに入ってからの決勝点はこれで9点目となった。同記録は、最近5大会の合計では10点しかない
  • エデン・アザールは、ロベルト・マルティネス監督就任後にベルギー代表として出場した18試合で19点に直接関与している。自ら10点を決め、アシストも9つ挙げた
  • 乾貴士は、稲本潤一(2002年日韓W杯で2得点)と本田圭佑(2010年南アフリカW杯で2得点)に続き、日本代表としてW杯1大会で複数得点を挙げた3番目の選手となった
  • マルアヌ・フェライニがベルギー代表としてW杯で挙げた2得点は、いずれも頭で決めたもの
  • ナセル・シャドリはベルギー代表として11試合ぶりの得点を決めた。2017年6月に行われたエストニア戦以来のゴールだった

(英語記事 World Cup 2018: Belgium stun Japan to reach quarters

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