潜る英雄たち 少年たち助けた多国籍ダイバー軍団

A group of foreign divers and US soldiers, wearing light colored shirts, gather at the Tham Luang cave area as rescue operations continue for the 12 boys and their coach trapped at the cave in Khun Nam Nang Non Forest Park in the Mae Sai district of Chiang Rai province on July 6, 2018 Image copyright AFP/Getty
Image caption 救助作戦には多国籍のダイバーや兵士たちが参加した

タイの洞窟から13人を救出するため、多国籍の救助専門家がタイ海軍に協力した。

6月23日に行方不明となった少年12人とサッカー・コーチを7月2日に最初に発見したのは、2人の英国人ダイバーだった。そのほかにも、複数の国から参加した救助作戦は、真に国際的な取り組みだった。

タイ海軍からもダイバーが複数参加した。元海軍潜水士のサマン・グナンさんは6日、少年たちに酸素ボンベを運ぶ作業の途中で意識不明になり、死亡した。

捜索と救助活動に参加した人たちの正確な情報は、ほとんど公表されていない。当事者の多くが、名乗り出ようとしないからだ。

タイの内外から集まった数十人の専門家のうち、情報が明らかになっている一部の人たちを紹介する――。(一部敬称略)

ジョン・ボランセンとリチャード・スタントン

洞窟に閉じ込められた少年たちとコーチが最初に聞いた声が、英国人ジョン・ボランセン氏のものだった。タイ政府の要請を受けて、スタントン氏と、もう1人の洞窟専門家、ロバート・ハーパー氏の3人が英国から現地入りしたのは、13人が行方不明になった3日後だった。

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発見の瞬間、しかし救出は? タイ洞窟で行方不明の少年ら

ボランセン氏はITコンサルタント、スタントン氏は元消防士で、英南西部ウェールズの洞窟救助隊に参加している。ノルウェー、フランス、メキシコなど、各地の洞窟で水に潜る救助活動に加わった経験がある。

リチャード・ハリス

豪アデレードから参加したハリス医師は、何十年来のベテラン・ダイバー。洞窟で少年たちを診察し、救出作戦に耐えられるだけの体力があると判断した。オーストラリアのジャーナリスト、エドワード・ゴッドフリー氏によると、「アデレードの医師で洞窟潜水の専門家、リチャード・ハリスは、タイの救出作戦を支援するため休暇をなげうった」のだという。

もし少年たちが衰弱していたら、水中を潜って脱出するのは危険すぎて不可能だった。

報道によると、ハリス医師はオーストラリア、中国、クリスマス諸島、ニュージーランドで洞窟潜水に参加している。麻酔科の専門医で、困難な環境での野外医療や救助作戦を専門としてきた。

2011年には、洞窟潜水のベテランで友人のアグネス・ミロコウワ氏の遺体を回収した。ミロコウワ氏はオーストラリア南部の難しい洞窟探索で酸素不足になり死亡した。

タイの救出作戦では、英国のダイバーたちがハリス医師の協力を強く要望したものと言われている。

タイ海軍特殊部隊

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Image caption 救出作戦の間、洞窟内に少年たちと留まったタイ海軍のダイバーと医師も最後に無事脱出した。4人の写真は10日、タイ海軍特殊部隊がフェイスブックに掲載したもの

タイ海軍特殊部隊からは大勢の専門家が参加した。パク・ロハルンシューン氏だと言われている医師と、3人のダイバーが志願して洞窟内に留まり、2日に発見された少年たちに付き添った。

海軍が先週公表した映像では、パク医師が少年の軽傷に薬を塗る様子が見える。

特殊部隊のこの4人が、10日夜に最後まで洞窟に留まり、最後に生還した。

特殊部隊の指揮官は、アーパコルン・ユーコンケウ少将。捜索活動が続く間、報道対応を担当していた。

Image caption 海軍特殊部隊の指揮官、アーパコルン・ユーコンケウ少将

サマン・グナン

サマン・グナン下士官(38)は元海軍潜水士で、志願して救助作戦に参加した。

6日に少年たちに酸素ボンベを運んだ後、出口に向かう途中で意識を失い、死亡した。

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Image caption サマン・グナン氏(中央)

同行していたダイバーが蘇生を試みたが、グナン氏は回復しなかった。

妻のワレーポルン・グナンさんはBBCに対して、「彼は自分らしく行動して、その結果、英雄として称えられている。人を助けて、慈善活動に協力して、色々なことをこなして成果を出すのが大好きな人だった」と話した。

アーパコルン・ユーコンケウ少将は、グナン氏の死亡について「我々の友人による犠牲を無駄にはしない」と語った。

ベン・レメナント

タイのプーケットでダイビング・ショップを経営するベルギー出身のベン・レメナント氏は、少年たちが今月2日に発見された際に、捜索隊に参加していたとされる。

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Image caption チェンライ県のナロンサク・オソタナコルン知事(中央)と写真に写るベン・レメナント氏(同左)とダイビング仲間のマキシム・ポレヤカ氏

クラウス・ラスムッセ

クラウス・ラスムッセン氏は、長年タイに在住しているデンマーク人で、いくつかのダイビング・スクールで働いていた。現在はレメナント氏が運営する「ブルー・レーベル・ダイビング」でインストラクターを務めている。

アジア各地でダイビング経験があり、タイ以外の東南アジアの数カ国で働いたことがある。

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Image caption パアシ氏がフェイスブックに投稿した洞窟内でのラスムッセン氏の写真

ミッコ・パアシ

フィンランド人のミッコ・パアシ氏は、タイの小島コー・タオのダイビング・センターの創設者で、沈没船探索や水中洞窟などが中心のテクニカル・ダイビングを専門にしている。

パアシ氏の妻はフェイスブックへの投稿で、洞窟内で少年たちの生存が確認された日に、夫が救助活動に参加できるようチェンライ行きフライトの航空券を買ったと明かした。2日は夫妻の結婚8周年の記念日だった。

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Image caption パアシ氏は少年たちが洞窟を出るのを支援したダイバーの一人だ

アイバン・カラディッチ

デンマーク出身のアイバン・カラディッチ氏は、パアシ氏がコー・タオ島に移住した数年後に同島にやってきた。現在はパアシ氏と一緒にダイビング・センターを運営している。

カラディッチ氏はBBCに対し、最初に表れた少年とダイバー1人が遠くから近づいてくるのが見えた際に、「死んだ人なのか少年なのか」分からなかった恐怖と、少年が無事だと分かったときの安堵を語った。

救助が終盤を迎えようとするなかで亡くなったグナン氏について、カラディッチ氏はフェイスブックへの投稿で「安らかに眠れ。あなたは英雄だ。あなたの犠牲は永遠に忘れられない」と書いた。

また、自分に送られてきたメッセージに感謝し、「また元気になりました。ちょっと疲れて、脱水状態になっていた」とコメントした。

エリック・ブラウン

カナダ西部のバンクーバー出身のエリック・ブラウン氏はテクニカル・ダイビングのインストラクターだ。ダイビングを始めたのは10年以上前で、エジプトでテクニカル・ダイビング・スクールの「チーム・ブルー・イマージョン」を共同設立した。

ブラウン氏は10日夜、タム・ルアン洞窟での救助活動のため、過去9日間で7回潜水したとフェイスブックに書き込んだ。合計の潜水時間は63時間だという。

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Image caption 救助活動の終了を祝うブラウン氏(写真左)とパアシ氏(同中央)、ラスムッセン氏(同右)の写真がフェイスブックに投稿された

(英語記事 Cave rescue: The divers who got the Thai boys out

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