【サッカーW杯】 3位決定戦のベルギーとイングランド、双方とも未来に期待

フィル・マクナルティー、BBCサッカー筆頭記者(ロシア・サンクトペテルブルク)

Dier and Vertonghen Image copyright Getty Images

サッカーのイングランド代表は14日、サンクトペテルブルクで行われたワールドカップ(W杯)ロシア大会3位決定戦でベルギー代表と対戦し、0-2で敗れた。スリー・ライオンズ(サッカーイングランド代表の愛称)は今大会を4位で終えた。

ギャレス・サウスゲイト監督率いるイングランドは、11日にモスクワであったW杯準決勝でクロアチアに延長戦で敗れ、3位決定戦に回っていた。クロアチア戦の敗北から立ち直り、勝利を挙げることはできなかった。しかし、4位の成績は今大会のイングランドにとって、極めて確かな手ごたえだった。

ベルギーは試合開始からわずか4分、先制に成功。MFナセル・シャドリが上げたクロスに、イングランドDFダニー・ローズの死角から飛び込んだDFトマ・ムニエが反応すると、ボールはイングランドGKジョーダン・ピックフォードの脇を抜けていった。

イングランドも後半、同点のチャンスを作るが、MFエリック・ダイアーのシュートはゴールラインぎりぎりでベルギーDFトビー・アンデルワイレルトにクリアされた。DFハリー・マグワイアが良い位置から放ったシュートも、ゴールの枠を外してしまった。

ベルギーは試合終了まで8分を残した後半37分、FWエデン・アザールがイングランドDFフィル・ジョーンズの裏から抜け出し、決勝の追加点を挙げる。この直前にピックフォードはムニエの豪快なボレーシュートを素晴らしい反応で防いでいたのだが、そのピックフォードをしても、アザールのシュートは止められなかった。

得点王を狙っていたベルギーFWロメル・ルカクは2度の決定機を逃し、無得点のまま途中交代。これにより、イングランド主将のFWハリー・ケインが6得点で、W杯得点王争いの首位を保った。

フランスのFWアントワーヌ・グリーズマンとFWキリアン・エムバペは、これまでの試合で3得点ずつを挙げている。モスクワで日本時間16日深夜零時から行われるクロアチアとのW杯決勝戦でこの2人が4得点以上しなければ、ケインが今大会の得点王となる。

イングランド失速

サウスゲイト監督は、敗れた準決勝のクロアチア戦からスターティングメンバーを5人入れ替えた。ただ、優勝した1966年以来で最高の成績を確保しようと、その強い決意は明確に示していた。

対するベルギーのロベルト・マルティネス監督も同じように勝利への意欲を見せたことで、サンクトペテルブルクの素晴らしい競技場での3位決定戦は、観ていて楽しい熱戦となった。

死角からベルギーDFムニエにシュートを許すというDFローズの守備での不注意は、イングランドに頭を抱えさせるのに十分だった。チームは試合開始早々、リードを許してしまった。

ベルギーと対戦してきたどのチームもそうだが、イングランドも相手の多彩な攻撃ぶりに苦しめられた。しかし、チームのやる気は今回も見事で、アザールに希望をもみ消されるまで、同点のチャンスも何度かあった。

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Image caption エデン・アザールは今大会、6試合で5得点に関与した

ダイアーの巧みなチップシュートはアンデルワイレルトの奇跡的なクリアに防がれた。しかしイングランドは攻め続け、ダイアーとマグワイアがいい位置からヘディングシュートを打つが入らなかった。

W杯の3位決定戦というのは、準決勝で敗れて絶望するチームにとってはありがたくもない邪魔なものと思われがちだ。しかし、ベルギーとイングランドはしっかり攻め合う試合にした。

11日にクロアチアに敗れたばかりの失意のイングランドにとって、この試合はある意味で、気持ちの入りにくいものだっただろう。しかし、目覚しいロシアW杯を4位で終えて帰国するのは、決して恥ずかしいことでもなんでもない。

ストーンズは守備の水準を維持

イングランドDFジョン・ストーンズは今大会、モスクワで11日にクロアチアFWマリオ・マンジュキッチの決勝点を許した1度のミスを除けば、実に華々しい活躍を見せた。

サンクトペテルブルクでの3位決定戦でも、ストーンズは完璧なパフォーマンスを見せ、W杯を締めくくった。この日の見事なベルギーの攻撃を防ぐため、誰よりも仕事をしていた。

ストーンズは前半、素晴らしい場面を作り出す。走ってくるベルギーFWルカクに対応して後退し、完璧なタックルで攻撃を防いだのだ。

ストーンズは何度となくベルギーの壁となった。マンチェスター・シティで共にプレイするベルギーMFデ・ブルイネのシュートを防いだ時には、防がれた当事者が握手を求めたほどだった。

ストーンズの守備で最後まで戦う能力と頭脳的なプレイスタイルは、サウスゲイト監督の将来計画にも不可欠だ。ストーンズは今大会、熱心なファンが期待した通りのパフォーマンスを見せた。

ベルギー、今後再びの躍進も

W杯過去最高の3位という成績がベルギーにとっていかに嬉しいものかは、マルティネス監督とアシスタントコーチのティエリ・アンリ氏が試合終了の時点で選手たちと喜び合う様子からも、目にも明らかだった。

大きな意味のある勝利だった。ただし、もっといい成績を残せたかもしれなかった。準々決勝でブラジルを破ったものの、準決勝でフランスに今大会唯一となる敗北を喫した。

しかしマルティネス監督は、本当に優れたチームを率いている。今大会での実績を踏み台に、今後さらに強くなる可能性もある。

デ・ブルイネ、アザール、ルカクを要するな攻撃力を誇り、他の側面でも手堅いベルギーは、決して油断ならないチームだ。そして強豪チームとして頭角を現したベルギー代表の台頭は、今大会で始まったばかりなのかもしれない。

マン・オブ・ザ・マッチ――エデン・アザール(ベルギー)

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Image caption ベルギーFWアザールはイングランド戦でも躍動した。チェルシー所属のアザールは、ベルギー代表としてW杯で7得点に関与した(4ゴール3アシスト)。1966年イングランドW杯以来、ベルギー代表選手で史上最高の成績だ

スーパー・アザール――統計から

  • 3位はベルギーにとってW杯史上最高の成績となった。これまでには1986年メキシコW杯の4位が最高成績だった
  • イングランドは直近5試合で3敗を喫した。それ以前は28戦で3敗だった
  • スリー・ライオンズは2014年6月以来の2連敗となった。2014年W杯では、イタリアとウルグアイに2連敗した
  • この3位決定戦は、イングランドにとって主要国際大会で100戦目だった。これまでにW杯で69試合、欧州選手権(ユーロ)で31試合を戦っている。対戦成績は39勝32分29敗
  • イングランドが主要国際大会で3敗したのは2回目。1988年のユーロでも3敗している
  • 1966年イングランドW杯以来、W杯でアザールより多くの得点に関与したベルギー代表選手はいない(3ゴール4アシスト)。1966年以前には、ヤン・クーレマンスも7得点に関与した(4ゴール3アシスト)
  • ムニエは今大会でベルギー代表として10人目となる得点者になった。W杯での10人という1チームあたりの得点者数は、1982年スペイン大会でのフランス代表、2006年ドイツ大会でのイタリア代表と並び、最多人数
  • ケインは今大会を、ゴール枠内シュート数6本で6得点という成績で終えた。しかし、直近の4試合ではケインは1本しかシュートを枠内に入れられなかった(ベスト16のコロンビア戦におけるペナルティ・キック)
  • イングランドがベルギー戦で放った枠内シュートの数(6本)は、これまでの3試合での枠内シュート数の合計と同数

(英語記事 World Cup 2018: England finish fourth after Belgium defeat

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