トランプ米大統領「英国はEUを提訴すべき」 メイ英首相がBBCに明かす

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トランプ米大統領の助言は「EUを訴えろ」=メイ首相

テリーザ・メイ英首相は15日、BBCのトーク番組「ザ・アンドリュー・マー・ショー」に出演し、12日から訪英したのドナルド・トランプ米大統領から欧州連合(EU)離脱について交渉するのではなくEUを提訴すべきだ助言されたたことを明らかにした。

トランプ大統領は13日の共同記者会見で、メイ首相に提案をしたと話していた。しかしメイ首相は、この案は「苛烈すぎる」としている。

番組内でトランプ氏の提案について聞かれたメイ首相は、「トランプ氏はEUを提訴すべきだと、交渉すべきではないと言った」と答えた。

メイ首相はトランプ氏の提案を一笑に付したものの、「面白いことに、記者会見でトランプ大統領が言ったのは、交渉に『背を向けるな』だった」と付け加えた。

「交渉に背を向けたら、身動きがとれなくなる。なので私は、英国にとって最高の条件を勝ち取るため、交渉の席につけるようにしたい」と首相は述べた。

トランプ氏自身は米CBSのインタビューでメイ首相に何と助言したのか明らかにしなかった。その代わり、「もしかしたら首相はそうするかもしれない。やろうと思えばできることだ」と話した。

「でもあれは強力な助言だった。うまくいったはずだと思う」

首脳会談に先立ちトランプ大統領は、英紙サンにメイ首相のブレグジット計画はおそらく米英の貿易協定を「だめにする」と話していた。

しかし、数時間後の共同記者会見では英米貿易協定は「全く可能だ」と述べた。

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トランプ氏の英国公式訪問 「特別な関係」は変わるのか

メイ政権ではこのところ、ブレグジット計画をめぐって閣僚の辞任が相次いでいる。15日には、外務議会担当秘書官職を務めるロバート・コーツ議員が辞任した。議会担当秘書官は無報酬で、閣僚と国会議員の連絡役を務める。

メイ内閣は6日、首相別邸チェッカーズでブレグジット計画の閣内合意を取り付けた。この計画は16日に議会での投票を控えている。

BBC番組「アンドリュー・マー・ショー」でメイ首相はブレグジット計画を擁護し、英国が他国と貿易協定を結び、人の自由な行き来を制限し、欧州司法裁判所(ECJ)の管轄から離れることができると話した。

メイ首相のブレグジット計画は12日に公表された白書で詳細が明らかになったが、モノの貿易ではEUと緊密な関係を持つものの、サービスでは相互協力しない方針を示している。

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保守党のEU離脱派ジェイコブ・リース=モグ下院議員は、ブレグジット白書は「英国にとって悪い取引」だと話した。

BBCの番組「サンデー・ポリティクス」に出演したリース=モグ議員は「残念なことに、政府はブレグジットを良いものだとは思っていない。EU離脱反対派が抑制すべきものだと考えている」と語った。

議員はさらに、メイ首相が目の前にあった「とてつもなく前向きな」機会を逃したと述べた。メイ首相は2016年の国民投票ではEU残留を支持していた。

リース=モグ議員はメイ首相を「残留派のままの残留派」と呼んだ。

さらに、労働党票に頼らずにブレグジット計画を議会通過させるには、計画の変更が必要だろうとしている。

メイ首相は、保守党議員にブレグジットという「目標から目をそらさないように」訴えているほか、自身の計画がEU離脱を達成する唯一の方法だと話している。

Image copyright EPA

保守党のEU離脱派議員がEU離脱法案へのさまざまな改正案を持ち出す中、メイ首相の計画は今週、英下院できわめて重大な投票を迎える。

リース=モグ議員は、関税法も貿易法もこの投票で承認されることはないだろうとしている。また、EU残留派の議員からも改正案が出される可能性がある。

メイ首相はBBC番組で、「EUとの関税同盟にとどまるために貿易法案を可決したい人もいる。それは受け入れられないとはっきり言っておく。それは英国民が国民投票で求めたことではない」と話した。

「法案がまとまらないのではと言う人もいる。それでは『合意なし』(離脱後の関係について事前合意のないままEUを離脱すること)への準備に支障をきたす」

「なので、目の前にある目標から目をそらさないように。目標とはこの場合、国益にかなう形でEU離脱を実現することだ」

自分のブレグジット計画にもとづけば、外国との貿易関係についてEUと「共通ルールブック」を結びつつ、各国と個別の貿易協定も締結できると、首相は強調する。

メイ氏は、英・EU間の貿易に関わるサプライチェーンの雇用を守ったり、アイルランドとの国境問題を解決するためには、EUとの共通ルールが必要だと主張している。

これに対し労働党のイアン・レイバリー委員長は、メイ首相の「計画とかいうもの」は「精査に耐えられるものではない」と批判した。

「誰も……国民も議会も、保守党も、メイ首相の提案を好感していない。ひどい大混乱状態だ」


<解説> 「実践はとても困難」  クライブ・コールマンBBC法務編集委員

率直に言って、英国がEUを提訴できる根拠を見つけるのは、とても難しい。

英国は他の加盟国と同様、EUがEU法を冒した場合は、あらゆる具体的な措置についてEUを提訴することができる。

その場合、裁判はEU法の最高権威にあたるECJで開かれることになる。

例えば、EU法が定める英国への農業補助金や構造的基金をEUが支払わなかった場合などが、これにあたる。

欧州中央銀行(ECB)が2011年にユーロ建て取引の決済はユーロ圏内の金融機関にしか認めないと発表した際、デイビット・キャメロン前首相は提訴し、勝訴している。

ただ、英国とEUは離脱について合意に至っていないため、合意違反行為そのものが成立しない。

交渉の席についている双方は、いわゆる「手続き上の義務」に縛られている。たとえば信義誠実の原則などの行動規範だ。

しかし、交渉の最中に信義則違反を理由に相手を訴えるのは、非常に難しい。訴えようというそぶりを見せるだけで、交渉そのものに大きな害を与えるという意見もある。


(英語記事 Theresa May: Trump told me to sue the EU

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