60年ぶりの抗マラリア剤 米が新薬承認

スミサ・ムンダサド BBCニュース国際保健衛生担当編集委員

mosquito Image copyright Science Photo Library

米国で20日、マラリアを治療する新薬が60年ぶりに認可された。

米食品医薬品局(FDA)が、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の抗マラリア剤「クリンタフェル(一般名:タフェノキン)」を承認した。

この新薬は再発型マラリアに特化している。再発型マラリアには、毎年850万人が感染しているという。

この型のマラリアは感染者の肝臓に何年間も休眠状態で留まり続けられ、何度も再発するため、根絶が特に難しい。

科学者はタフェノキンを「驚くべき成果」としている。

自国での使用が認可できるか確認するため、世界中の認証機関がこの新薬を調査するとみられる。

再発する病気

寄生性原生生物の三日熱マラリア原虫によって引き起こされる再発型マラリアは、サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)以外の地域では最も一般的な種類のマラリア。

特に子供には危険の可能性が高い。原虫に一度かまれるだけでマラリアの発作が何度も生じ、マラリアの発作が出るたびに学校を長く休まねばならず、衰弱も進む。

また、感染者は知らないうちにマラリアの宿主となる可能性もある。感染者の体内で原虫が活性化した際、蚊が原虫を他の誰かに移す可能性があり、このため世界中で再発型マラリアの根絶を難しくしている。

今回FDAが承認したタフェノキンは、感染者の肝臓に隠れた三日熱マラリア原虫を排出させ、原虫が再び体内に寄生するのも防げる。直接の感染を防ぐ別の薬剤と一緒に投与することも可能だ。

人の肝臓内に隠れるマラリア原虫の駆除に有効な薬剤としては、ほかにプリマキンが既に存在する。

しかし、1度の投与で済むタフェノキンと異なり、プリマキンは多くの場合、14日以内の再投与が必要になる。

複数の専門家は、数日で体調が回復した患者の多くが薬の服用を途中でやめてしまうため、原虫が後から活性化していると懸念していた。

副作用に注意も必要

FDAは、この新薬の効果を認め、米国内での使用を承認した。ただし、重要な副作用もあると指摘している。

例えば、グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症といわれる酵素異常を持つ人は、タフェノキンを摂取するべきではない。深刻な貧血を引き起こす可能性があるためだ。

FDAは、服用前に酵素欠損症の検査を受けるよう勧めている。マラリアがよく見られる貧困地域では、この検査が課題になる可能性がある。

高用量のタフェノキンは、精神病を抱える人々に問題となるかもしれないとの懸念もある。

しかし、これらの警戒すべき点はあるものの、この新薬に加えて蚊帳や他の予防策で、世界で三日熱マラリア原虫を減らせるのではと期待されている。

英オックスフォード大学のリック・プライス教授はBBCに対し、「1度服用するだけで肝臓にいる寄生生物を駆除できるタフェノキンは、驚くべき成果だ。過去60年のマラリア治療で、特に意義深い進歩のひとつだと思う」と述べた。

一方、新薬を製造するGSKで研究開発部長を務めるハル・バロン博士は、「クリンタフェル(タフェノキンのGSK商品名)は、三日熱マラリア原虫に対する60年ぶりの新治療法だ。使用が承認されたことは、再発の恐れがあるこの種のマラリアを抱えて生きる人にとって重要な転機だ」と話した。

「協力者の非営利団体『メディシンズ・フォー・マラリア・ベンチャー(MMV)』と共に、我々はクリンタフェルがマラリア患者にとって重要な薬になり、マラリア根絶に向けて継続中の取り組みに貢献すると考えている」

タフェノキンは1970年代から存在しているが、GSKはMMVと協働し、この薬を肝臓内のマラリア原虫駆除という別目的に使えるよう再開発してきた。

再発型マラリアの被害が深刻な国々で、認証機関がタフェノキンをどう判断するかが、治療法確立に次の一歩となる。

(英語記事 First malaria drug in 60 years given approval

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