アップル、時価総額が初の1兆ドル超え 世界初
クリス・ジョンストン、BBCニュース・ビジネス担当記者

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アップルが2日、時価総額が1兆ドル(約112兆円)を超えた世界初の上場企業となった。
主力製品にiPhoneを持つアップルの株式は、2日の米株式市場で終値207.39ドルと過去最高値を付けた。
先月31日に発表された4-6月期決算が市場予想を上回る結果となり、同社の株価は上昇を続けていた。
他の主要なテクノロジー企業のアマゾンやマイクロソフトも1兆ドル超えの可能性が取りざたされていた。
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iPhoneが2007年に初めて発売されて以来、アップルの株価は12倍になり、過去1年間でも約30%上昇していた。
1980年の上場以来では、約500倍と驚異的な上昇で、同時期に約20倍になったS&P500を圧倒的に上回っている。
アップルの創業は、1976年にスティーブ・ジョブス共同創業者が車庫で始めたビジネスにさかのぼる。当時、パソコンの「マッキントッシュ(マック)」で知られたアップルはその後、スマートフォンを発売。アプリ経済への道を開いた。
アップルの時価総額の推移(ロゴ上)と主要な製品の発売時期(出典:ブルームバーグ)
アップルの命運を変えたiPhoneの開発を指揮したのは、ジョブズ氏だった。そのジョブズ氏が2011年に死去した後、ティム・クック最高経営責任者(CEO)に舵取りが任された。
2006年のアップルの売上高は200億ドル以下で、利益は20億ドル弱だったが、2017年には、売上高は2290億ドル、利益は484億ドルまで増え、米上場企業で最も利益を出す会社になった。
中国石油天然気集団公司(ペトロチャイナ)が2007年に上場した際、同社の時価総額は一時1.1兆ドルに達したが、ほぼ全ての株は中国政府に保有されていた。現在の時価総額は約2220億ドル前後。
今回、時価総額が1兆ドルを超えたアップルだが、多くのアナリストはアップルの株式は依然として割高ではないと考えている。予想PER(株価収益率)は約15倍で、アマゾンの82倍やマイクロソフトの25倍を下回っているからだ。
1000億ドルの自社株買いを発表したことも、最近のアップルの株価上昇を支えていた。
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アップルが先週イタリア・ミラノにオープンしたアップルストア
<解説>デイブ・リー北米テクノロジー担当記者
スティーブ・ジョブズ氏のビジョンが、アップルが時価総額1兆ドル超えの節目を迎える原動力だったかもしれないが、実現させたのはティム・クック氏の経営手腕だ。
他のテクノロジー株が足踏みするなか、アップル株は堅調な上昇を続けた。主な要因は2つある。
iPhoneの販売台数は減ったが、昨年は高級機種の発売によって1台あたりの利益が増えた。
さらに同社は収益源を多様化させた。アプリやクラウド、音楽ストリーミングなどのサービス部門から得る四半期ごとの利益は今や、約100億ドルになっている。
アップルは今週、今年の業績は非常に堅調なものになると投資家説明会で説明。当然ながら、また発売されるiPhoneの新機種が貢献する。
株式市場は移り気だし、今後は小規模ながら成長している中国のスマートフォン製造会社がアップルの利益率を低下させるかもしれない。
しかし、アップル社や製品をどう評価するかは別としても、アップル製品が世界を変えたことは確かだ。きょうは金融の歴史も塗り替えた。