サウジ、カナダへの航空便停止 人権活動家拘束めぐり緊張高まる

Samar Badawi, receives the Olof Palme prize at the 2nd chamber of the Swedish Parliament in Stockholm, Sweden, 25 January 2013 ( Image copyright EPA
Image caption 先週拘束されたと伝えられる人権活動家のサマル・バダウィ氏

サウジアラビアの国営航空会社サウディアは6日、13日からカナダ・トロントへの直行便を停止すると発表した。サウジアラビアでは先に市民社会と女性の権利を訴える活動家らが逮捕されたが、カナダ政府がこの活動家の釈放を求めたことで両国の緊張が高まっている。

サウジアラビアは「内政干渉」だとして、カナダとの全ての貿易取引を凍結し、在サウジ・カナダ大使を追放した。

カナダ政府は「引き続き人権を提唱していく」としている。

逮捕された活動家には、サウジ系米国人の人権活動家サマル・バダウィ氏が含まれている。サマル氏は、すでに投獄されているブロガー、ライフ・バダウィ氏の姉。

カナダのクリスティア・フリーランド外相は大使の追放について「深い懸念」を示した一方で、「カナダは常に、女性の権利と表現の自由を含む人権を世界中で保護するために立ち上がる」と話した。

「こうした価値観の促進には絶対にちゅうちょしない。また、国際外交には対話が重要だと信じている」

<関連記事>

サウジアラビアのアデル・アル・ジュバイル外相はツイッターで、カナダの姿勢は「間違った情報」に基づいており、逮捕者は「彼らの権利を保障するサウジ法に従う必要がある」と述べた。

一方、サウジの女性の権利活動家マナル・アル・シャイフ氏はツイッターで「カナダ、声を上げてくれてありがとう。米国や英国、欧州連合(EU)からこの逮捕について意見が聞けるのはいつ?」と西側諸国からの反応を求めた。

両国の関係悪化を示すものとしては、サウジ当局とつながりがあるとされるツイッターアカウントが旅客機がトロントのCNタワーに向かって飛んでいる画像を投稿して話題となった。

画像にはアラビア語で「関係ないことに首を突っ込んでいる」「関係ないことでも気に入らなければ妨害する」などと書かれている。

ソーシャルメディアでは、この画像が2011年9月11日の米同時多発テロ事件に似ていると指摘する声が上がった。

このアカウントはすでに削除されているが、画像はインターネット上を出回っており、英航空アナリストのアレックス・マチェラス氏はツイッターに「またもサウジアラビアから、航空に関するもっと心配になる言動が出てきた。カナダとの衝突に関するもので、サウジ王立裁判所とつながりのあるアカウントが、エア・カナダのボーイング767がトロントのCTタワーへ下降していく画像を投稿した」と説明した。

拘束されたのは?

国連人権高等弁務官事務所は7月31日、5月15日以降に少なくとも15人のサウジ政府に批判的な人権活動家が逮捕・任意拘束されたと発表した。

うち8人は「訴訟手続き上の再調査」の間は釈放されたとみられるが、その他の数名については居場所が明らかになっていない。

また、拘束されたうちの数名は「外国勢力との不審なやりとり」といった重罪に問われており、最大20年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。

人権団体らはまた、サマル・バダウィ氏が先週、同じく女性の権利活動家のナッシマ・アル・サダフ氏と共に拘束されたと報じた。

サマル氏は2012年に米国の「世界の勇気ある女性賞」に選ばれ、女性には男性の保護者が必要だというサウジアラビアの制度を批判していることで知られている。

サマル氏の弟ライフ氏は2014年にインターネットで「イスラムを侮辱した」罪で10年の禁錮刑と1000回のむち打ち刑を言い渡されている。ライフ氏の妻エンサフ・ハイダー氏はカナダ在住で、最近同国の市民権を得た。

カナダの主張は?

Image copyright AFP
Image caption カナダのフリーランド外相はバダウィ兄弟の釈放を求めた

カナダのフリーランド外相は自身のツイッターアカウントで2日、「ライフ・バダウィ氏の姉妹であるサマル・バダウィ氏がサウジアラビアで投獄されたと知り、懸念している。カナダはこの困難な時期にバダウィ氏の家族と共にあり、2人の釈放を強く求めていく」と述べた。

翌3日にはカナダ外務省が、「サウジアラビアでサマル・バダウィ氏を含む市民社会と女性の権利活動家の逮捕が続いていることにカナダは深い懸念を示している。サウジ当局に対しバダウィ兄弟と全ての平和的な人権活動家の即日釈放を求める」との声明を発表している。

サウジアラビアの反応は?

サウジアラビア外務省は声明で、「正確で真実の情報に全く基づいていない、この事実無根の否定的な発言に対する不信感」を示した。

また、活動家らは合法的に拘束されており、カナダの声明は「王国への露骨な内政干渉」だと断じた。

その上で、「カナダの声明で使われた『即日釈放』というフレーズは、二国間の関係においてとても残念で、非難に値し、受け入れられるものではない」と述べた。

また、自国の在カナダ大使を協議のために召還するとともに、在サウジ・カナダ大使に24時間以内に国外退去するよう求める処分を下した。

さらに、「カナダとの事業と投資に関する全ての新規取引を棚上げするとともに、さらなる措置を課す権利は保持する」としている。2016年のサウジアラビアとカナダの貿易総額は30億ドル(約3340億円)だった。

サウジアラビア人学生に対するカナダへの進学奨学金も停止され、現在カナダにいる学生も移管されるという。

この措置で影響を受ける学生の数は明らかになっていないが、カナダ紙バンクーバー・サンが2015年に発表した記事によると、サウジアラビアからは毎年およそ5000人の学生がカナダに到着しているという。

(英語記事 Saudi Arabia suspends Toronto flights

この話題についてさらに読む