米「宇宙軍」構想 トランプ氏選対、支持者にロゴ投票呼びかけ

President Donald Trump. Image copyright Getty Images

2020年に実施予定の米大統領選でドナルド・トランプ米大統領陣営の責任者を務めるブラッド・パースケイル氏は9日、陣営の新商品に使う「宇宙軍」ロゴを選ぶため、投票を呼びかける電子メールを支持者に送った。

トランプ氏は5月、宇宙軍創設を指示する大統領令を発表している。具体的な軍隊作りの取り組みはまだ始まっていないものの、トランプ陣営は宇宙軍構想で支持者の無限で果てしない寄付をひきつけたい考えだ。

陣営によるメールの傍ら、マイク・ペンス米副大統領は同日、米国防総省で演説し、トランプ大統領による宇宙軍構想への支持を表明した。

ソーシャルメディア利用者は、早くも新軍構想を笑いの種にしている。

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トランプ大統領の「宇宙軍」は実現するか

トランプ氏陣営からのメールには、「トランプ大統領は宇宙軍を求めている。アメリカの未来と最後の開拓地への、画期的な試みだ」と書かれている(太文字は原文では大文字強調)。

「トランプ大統領の素晴らしい発表を称える手段として、当陣営は一連の新商品を販売する」

パースケイル氏は後に続く文章で、6つのロゴから1つを選ぶよう支持者に求めた。ロゴの1つには、「火星が待っている」というフレーズが書かれている。

Image copyright Trump 2020
Image caption トランプ陣営は支持者に、最も好きなロゴに投票するよう呼びかけた

メールは、ペンス副大統領が国防総省で演説した数時間後に送られた。ペンス氏は演説で、ロシアや中国の作戦に対抗するため、米国は新軍の創設に投資しなければならないと主張した。

トランプ氏はその後、「宇宙軍だ、絶対に!」とツイートした。ペンス氏の演説内容をほめたものと見られている。

米CNBCのホワイトハウス担当記者、クリスティーナ・ウィルキー氏はツイッターに、ロゴ候補の1つと米航空宇宙局(NASA)のロゴを並べた画像を添え、「トランプ陣営デザインの宇宙軍ロゴに見覚えがあるとしたら、これが理由」と投稿した。

構想に批判的な人たちは、新軍の創設には議会の承認が必要だと指摘する。既に膨大な国防総省の予算がさらに膨れ上がる可能性が高いとの声もある。

宇宙に関する米軍の政策は、既に米空軍が担当している。

米ウェブメディア「デイリー・ビースト」で安全保障を担当するスペンサー・アッカーマン記者は、「ため息。標語は『宇宙軍。こか』になるに違いない」とツイートした。

NASAのスコット・ケリー元宇宙飛行士は米CNNに対し、サイバー・セキュリティ(電子空間上での攻撃に対する防衛対策)の方が緊急性が高いと語った。

ケリー氏の双子の兄弟、マーク・ケリー宇宙飛行士は、宇宙軍構想を「不必要で、浪費」だとした。

テロ活動分析の専門家、マイケル・スミス2世氏はツイッターに、「議会での噂。イウォーク、ウーキー、クリンゴン人や、外宇宙にいると予想される新たな友好国民の言語に精通する個人へ、複数の連邦機関が新たな仕事の求人へ」と皮肉めいた投稿をした(イウォークとウーキーは映画「スター・ウォーズ」シリーズに、クリンゴン人はドラマ・映画の「スター・トレック」シリーズに登場する架空の異星人)。

バーニー・サンダース上院議員は、「もしかすると、もしかするとだが、外宇宙への軍備に数十億ドルを使い始める前に、医療保険がなくて人が死んだりしないようにするのが先決では?」とツイートした。


<解説>新しい資金調達――アンソニー・ザーカー(ワシントン)

米国6番目の軍隊としてドナルド・トランプの宇宙軍が実際に発足するには、官僚機構的にも政治的にも、様々な障害がある。しかし、大統領選に向けた資金調達活動としての宇宙軍は、既に全速力で発進した。

もちろん、提案されているロゴに、特に良いものがあるというわけではない。1つはもろにNASAのロゴの盗作だ。別案の1つは下手なクリップ・アート(文書に挿入するイラスト)のようでもある。そして、地球軌道上にある米国の商業的財産や軍事的財産を守るのに、火星で何をしなければいけないというのだろう?

2020年米大統領選でトランプ陣営の責任者を務めるブラッド・パースケイルが、支持者にメールで投票を呼びかけたが、その本当の狙いはもちろんはっきりしている。選挙資金集めだ。

そして、もし直接的な手法がうまくいかなくても、もっと実入りのいい資金集めの方法も控えている。ホワイトハウスの土産物店は既に、宇宙軍記念コインの事前注文を受け付けている。宇宙軍関連商品がトランプ陣営の販売店に並べば、すぐにトランプ氏の集会でも目に付くようになる。

これは、おなじみの「アメリカを再び偉大に」帽子を世にもたらした人たちによる、素晴らしいマーケティングの見本なのだ。


(英語記事 Space Force: Trump 2020 asks supporters to vote on logo

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