福島市の子供像に住民らから批判 防護服着用

議論になっている福島の少年像「サン・チャイルド」 Image copyright AFP
Image caption 議論になっている福島の少年像「サン・チャイルド」

福島市がJR福島駅付近に設置した防護服姿の少年像に、住民らが怒りの反応を示している。2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、同市が未だに放射能に汚染されたままだとの印象を与えるとの声もある。 批判に対し制作者は10日、謝罪文を発表した。

福島第一原発は2011年、東日本大震災に伴う津波で被害を受け、1986年にあったチェルノブイリ原発事故以降で最も深刻な放射能物質拡散を起こした。

少年像「サン・チャイルド」は現代美術家のヤノベケンジ氏が作成し、8月初めに福島市のJR福島駅付近に設置された。ヤノベ氏は像を、原子力災害がない世界への希望についての作品だと述べていたが、批判を受け10日、住民らに不快な思いをさせたとして謝罪した

日本の共同通信によると、怒りの声はツイッターで見られたほか、福島市に直接寄せられたものもあったという。福島市の評判を傷つけているとして、像の撤去を求める意見もあった。

「サン・チャイルド」は黄色い防護服を着た少年の立像で、片手にヘルメット、もう片方の手に太陽を持っている。少年の胸部にある空間放射線量の線量計カウンターには「000」と表示され、放射線がないことを示している。

共同通信によるとヤノベ氏は「人々を勇気づけるような作品を作りたいと思いました(中略)そして、どんな困難にも負けず、凛々しく逞しく立ち上がる子供像を」と語った。

Image copyright AFP
Image caption 原子力発電所には未だに高い放射線量の箇所を残したまま廃墟化している箇所もある

福島市の南東約62キロに位置する福島第一原発は2011年、地震と津波により浸水や損傷を受け、運転中だった原子炉3機が炉心溶融(メルトダウン)を起こした。

事故による放射能汚染の恐れを受け、震災直後には47万人以上が避難を余儀なくされた。

地震による死者と行方不明者は合わせて1万8000人以上に上った。また地震による大きな津波は、福島第一原発でのメルトダウンにもつながった。

損傷した原子炉の一部はいまだに高い放射線量を示しているが、帰還困難地域を除く福島県の大部分では、避難指示が解除されている。

県当局は、震災からの回復に関する情報を提供し、放射能の除染プロセスに透明性を持たせることを狙いとして、福島「復興」の周知活動を進めている。

多くの地域では避難指示が解除されたのが最近で、元住民のうち故郷に戻った人はまだ少ない。

福島県は2020年東京オリンピックの会場の一つになる予定で、五輪には放射能被害からの地域の回復を示す舞台となることへの期待もある。

サン・チャイルドの今後の取り扱いは不透明

美術家のヤノベ氏は謝罪文で「『放射能』に対する知識の正確さが、震災前と比較にならないぐらい求められていることに配慮すべきでした」と述べた。

Image copyright AFP

またヤノベ氏は、像の今後の取り扱いについて福島市と話し合っていきたいとも話した。

福島市の木幡浩市長は、サン・チャイルドが福島に恒久設置される前、国内外の展覧会で好評を博してきたと主張し、像設置の決定を擁護した

木幡市長はツイッターで、現代アートは科学と異なり抽象的なものだと述べ、理解を求めた。

(英語記事 Fukushima child statue: Residents complain about radiation suit

この話題についてさらに読む