デンマークのコンテナ船、砕氷船なしで初の北極海航路航行へ

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北極海航路ではこれまで、原子力砕氷船に先導されて航行する必要があった
デンマークの貨物船が今週、コンテナ船としては世界で初めてロシア領北極海を航行する。
マースク・ラインが保有する「ベンタ・マースク」は3600個のコンテナを乗せてロシア極東ウラジオストクを出発し、9月末にサンクトペテルブルクに到着する予定だ。
北極海を通ることで、スエズ運河を経由するよりも14日早く到着できるという。
マースクは今回の航行で北極海航路のデータを収集し、北極海の氷が解けたことでこの航路が経済的に利用可能かを検証する。
マースクは声明で、「この試験航路を通じて、北極海航路がコンテナ船の航行に実用可能かを検証し、データを集める」と話した。
ベンタ・マースクは「アイスクラス」と呼ばれる階級に属し、凍らせた魚や冷蔵製品、通常のコンテナ貨物などを運搬する。
北極海航路はロシアと米アラスカの間を通るベーリング海峡から、ノルウェーまでを通っている。
一方でマースクは、「現時点で我々は、北極海航路が顧客の需要や取引パターン、人口集中などを元に決定した既存の航路の代替になるとは考えていない」としている。
原子力砕氷船
これまで、北極海航路を航行するには工学は原子力砕氷船のエスコートが必要とされてきた。
しかし地球温暖化によって航路の一部海域で夏の気温が30を超えるようになり、実行可能性が変わったという。
コペンハーゲン・ビジネス・スクールが2016年に発表した報告によると、現状と同じ速度で北極海の氷が解けていけば、北極海航路は2040年ごろに経済的に利用可能となる。
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サンクトペテルブルク港に停泊する「クリストフ・ドマルジェリ」
その時期は早まる可能性もある。昨年には、北極海航路を航行するために設計されたロシアの天然ガス・タンカー「クリストフ・ドマルジェリ」が初めて砕氷船の助けなしで航海した。今年に入ってからは、ロシアのガス会社ノバテクが、同じく特別設計のタンカーでこのルートを航行している。
このほか中国は、ユーラシア大陸にまたがる貿易圏構想「一帯一路」の一環で北極海航路を利用している。
国営の中国遠洋海運集団(COSCO)は昨年秋、ロシアの海港で地下鉄と肥料工場の建設に向けた設備を多目的貨物船で搬送した。