リビアの刑務所で数百人が脱走、トリポリでの衝突受け

Libyans at the site of where a mortar shell landed in a market in the capital Tripoli, 30 August 2018 Image copyright Getty Images

リビアの首都トリポリで2日、民兵組織同士の激しい武力衝突が発生し、トリポリ近くの刑務所から約400人の受刑者が脱走した。

現地警察によると、脱走があったのは男性受刑者を収容するアイン・ザラ刑務所。「服役囚は扉をこじ開け」、脱走したという。

また、刑務所で暴動が起きた際、警備員は自分の命の危険を恐れ、逃亡を防げなかったという。

トリポリ市内での民兵組織の衝突を受け、国連の支援を受ける統一政府(GNA)は非常事態を宣言した。

2日の脱走事件は、対立する民兵組織の派閥がアイン・ザラ刑務所付近で武力衝突した最中に発生した。

トリポリ南東部にある同刑務所の受刑者の多くは、元最高指導者の故ムアンマル・カダフィ大佐の支持者とされており、2011年のリビア内戦で政権掌握した反カダフィ勢力から殺人罪の有罪判決を受けた。

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Image caption トリポリでの衝突で、少なくとも39人がここ数日で死亡した

脱走事件とは別にこの日、数百人が住むトリポリの難民キャンプにロケット弾が打ち込まれ、救急当局と目撃者によると2人が死亡、数人が負傷した。

リビア保健省によると、トリポリでの民兵組織同士の衝突のため、この1週間で民間人を含む47人が死亡し、数十名が負傷した。

衝突の原因は?

衝突は、トリポリ南部の都市を拠点とする民兵組織が南部地域を攻撃したことで始まり、この地域で統一政府を支持する民兵組織との闘争に発展した。

統一政府は今回の衝突について、リビアにおける「平和的な政治移行を妨害しようとする」もので、「トリポリと周辺地域への攻撃は首都の治安と市民の安全を侵害するため、黙っていることはできない」と批判している。

人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチも今回の武力行為を非難しており、死亡したうち少なくとも18人は民間人で、そのうち4人は子どもだと報告している。

戦闘に巻き込まれた移民数百人は別の収容所に移された。また、トリポリの空港は8月31日から2日間にわたり閉鎖された。

リビアでは、40年以上にわたり国を支配したカダフィ政権が2011年10月、北大西洋条約機構(NATO)の支援を受けた複数の民兵組織により崩壊して以来、混沌とした状態が続いている。

国際社会の見解は?

アントニオ・グテレス国連事務総長は、「無差別な武力行使は、国際人道法と人権法に反する」と批判し、「必要としている人たちに人道的な救済措置を与えるよう、あらゆる組織に求める」と呼びかけた。

米国、英国、フランス、イタリアは1日に共同声明を発表し、トリポリでの激しい武力行為を即刻やめるよう要請した。

共同声明は、「正当なリビア政府の弱体化や、進行中の政治移行の妨害を狙う試みは受け入れられるものではない」と述べている。

「我々は武装組織に対し、いかなる武力行為も即刻やめるよう求め、トリポリや国内他地域の安定を揺るがそうとする者には、責任を問うと警告する」

しかしながら、これまで継続的に停戦の試みが行われてきたが、複数の民兵組織同士の激しい戦闘を止めるには至っていない。

(英語記事 Hundreds escape Libya jail amid clashes

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