「オズの魔法使」盗まれたルビー色の靴見つかる 13年ぶり

A pair of ruby slippers up for auction in 2011

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ミュージカル映画『オズの魔法使』では、撮影のために何足ものルビーの靴が作られた。写真は2011年、オークションにかけられた1足

米連邦情報局(FBI)は4日、1939年のミュージカル映画『オズの魔法使』で使用され、その後盗まれていた「ルビーの靴」が13年ぶりに見つかったと発表した。

靴は2005年、展示されていた米ミネソタ州の博物館から真夜中に盗まれていた。

主演のジュディ・ガーランドさんが履いていたこの靴は複数作られ、現在は盗まれた1足を含めた4足の存在が確認されている。

盗まれていた1足については、犯人の名前と靴の場所を突き止めた人に100万ドル(約1億1000万円)を支払うという匿名の申し出があった。しかしこの賞金は、盗難から10年で期限が切れていた。

今回の発見について何らかの情報提供があったかは不明だ。

4日の記者会見でFBIは、発見場所や状況などの詳細を明らかにしなかった。

ジョーン・サンボーン特別捜査官は、捜査は今も続いていると話した

「この事件について情報をたくさん集めた。今後、もっと色々と発表できると思う」

Judy Garland

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ルビーの靴を履いて冒険に出るドロシー・ゲイルを演じたジュディ・ガーランドさん

Presentational white space

『オズの魔法使い』のルビーの靴は、映画史上最も価値のある小道具の一つとされている。

盗まれた1足には100万ドルの保険がかけられていたが、専門家は、現在ではその2倍の価値があるとしている。

盗まれた経緯は?

ガーランドさんの出身地、米ミシガン州グランドラピッズのジュディ・ガーランド博物館は、マイケル・ショウさんというコレクターからこの靴を借り受けていた。

ガラスの展示ケースを割って中の靴を盗むという、単純な手口による盗難事件だったという。

しかし、現場には指紋や足跡といった証拠がほとんど残されておらず、監視カメラはその夜、動いていなかった。

ショウさんは2015年の時点で米誌ニューズウィークに、「知らせを受けたとき、文字通り腹を殴られたように感じた」と話していた。

「ひざが震えて床に崩れ落ちた。35年ものあいだ、靴を大事にしてきたのに!」

博物館の共同創業者ジョン・マイナーさんも、打ちのめされたと同誌に話していた。

「泣いてしまった。これほど馬鹿な目に遭うなんて、信じられなかった」

同博物館はそれ以来、「ドロシーのルビーの靴」と題した展示ケースを、空のまま残している。

2015年には、この盗難を描いた短編ドキュメンタリー「Who Stole the Ruby Slippers?(誰がルビーの靴を盗んだ?)」が発表された。

ルビーの靴について

  • 米誌ハリウッド・リポーターによると、ルビー色の靴は1足につき2300個のスパンコールで覆われている。
  • 1990年に発表されたライマン・フランク・ボーム氏の原作小説『オズの魔法使い』では、ドロシーは銀の靴を履いていた。しかし、映画を製作したメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)スタジオは、当時最新のテクニカラー技術を見せるため、明るい赤色に変更した
  • 米スミソニアン国立自然史博物館は2016年、所蔵している1足の修復のために30万ドル以上の寄付金を集めた
  • 2012年には、別の1足を買い上げた映画愛好者グループの筆頭出資者として、俳優レオナルド・ディカプリオさんの名前が挙げられた。この1足は2019年にロサンゼルスにオープンする映画アカデミー博物館で展示される予定
  • 現存が確認されている4足目は、個人のコレクターが所有している。この1足は1940年のオークションで競り落としたテネシー州の教師から買い取ったもの
  • 米俳優デビー・レノルズさんも一時、この靴を所有していた。これはスクリーンテスト用のもので、ガーランドさんは履いていない。これは2011年のオークションで50万ドル以上で落札された