米アカデミー賞、「人気映画」部門新設を延期へ

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新部門創設の動きは、減少傾向にある授賞式の視聴者数を改善するための施策とみられていた
米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの理事会は6日、人気映画部門の新設を延期すると発表した。
人気映画部門は、多くの観客に支持されてヒットした映画から最優秀作品を選ぼうというもので、8月に発表されたばかり。来年2月の第91回アカデミー賞でお披露目される予定だった。
理事長はプレスリリースで、この提案について理事たちと「さらに協議を重ねる必要を認識した」と説明している。
「アカデミーは、1年の9カ月が過ぎた段階で新しい賞を創設すると、すでに公開された作品にとって色々と大変だと認識した」
その上で、理事会はこの件について協議を進め、「この部門について調査し、さらなる意見を求めていく」としている。
人気映画部門の新設はソーシャルメディアなどで称賛された一方、ハリウッド映画界からは反対の声も聞かれた。
一連の動きは、芸術面での功労を称えるより、減少傾向にある授賞式の視聴者数を改善するための施策だと受け取られていた。
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新しい「最優秀人気映画」部門では大ヒットした「ブラックパンサー」も候補になる可能性があった
アカデミー賞授賞式の視聴者数はこのところ落ち込んでおり、2018年は2014年と比べて39%少なかった。
また近年、「マンマ・ミーア!」や「アバター」、「ミッション・インポッシブル」シリーズといった高い興行収入と人気を得た作品がアカデミーから無視されている。
理事会は8月の発表時、新部門の対象作品についての詳細を明らかにしなかった。
一部のハリウッドの批評家は、新部門の「人気」という名前が混乱を招き、映画作品に二層構造を起こしてしまう危険性があると指摘している。
「ダンケルク」や「ゲットアウト」といった批評家からも観客からも評価された作品が新設部門に追いやられ、特に重みのある作品賞へのノミネートを逃す可能性が、懸念されていた。