大坂なおみ選手、全米オープン決勝へ 日本女子でテニス四大大会シングルス初
ジョナサン・ジュレイコ BBCスポーツ(フラッシング・メドウズ・コロナ・パーク、米ニューヨーク)

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大坂は四大大会の準決勝進出も初めてだった
テニスの全米オープン第11日は6日、ニューヨークで女子シングルス準決勝が行われ、第20シードの大坂なおみ選手(日本)が第14シードのマディソン・キーズ選手(米)に6-2、6-4と勝利した。大坂はシングルスでは日本女子として初の四大大会(グランドスラム)決勝進出。8日の決勝でセリーナ・ウィリアムズ選手(米)と対戦する。
20歳の大坂選手は、これまでにキーズ選手と3度対戦。一度も勝利がなかった。この試合でも13度のブレークポイントを許したものの冷静に切り抜け、勝利を手にした。
大坂選手は日本時間9日の午前5時から行われる決勝で、グランドスラム優勝23度のセリーナ・ウィリアムズ選手と戦う。
試合中どんなことを感じていたか問われると、大坂選手は「変に聞こえるだろうけれど(中略)私はただ、セリーナと本当に試合したいと考えていた。なぜなら彼女はセリーナだから」と答えた。
ウィリアムズ選手は6日、第18シードのアナスタシヤ・セバストワ選手(ラトビア)をストレートで下して決勝に進出した。
ウィリアムズ選手がグランドスラムを初制覇したのは1999年、大坂選手はわずか1歳だった。
ニューヨークをホームと感じる大坂
最も才能に恵まれた若手選手という大坂選手の名声は、3月に米カリフォルニア州インディアンウェルズでのBNPパリバオープンで国際テニス連盟(WTA)ツアー初優勝を果たし、その1週間後には米フロリダ州マイアミでのマイアミ・オープンで36歳のセリーナ・ウィリアムズ選手に重要な勝利を挙げるという素晴らしい1年を過ごしたことで高まっている。
そして今、初のグランドスラム決勝進出を果たした大坂選手は、再びウィリアムズ選手に勝利するチャンスを手にしている。舞台となるニューヨークは、大坂選手にとって個人的な意味合いを持つ街だ。
日本で生まれた大坂選手は、3歳のときニューヨークに移ってきた。家族でフロリダへと移住するまでの数年間、大坂選手はニューヨークで人格形成期を過ごしている。
現在も日米の二重国籍を持つ大坂選手は、日本に行くのは故郷へ帰るというより「とても素晴らしい休暇」のように感じると話す。しかし大坂選手は、幼少期のアイドルだったウィリアムズ選手との試合では、日本という国の期待を背負う。
さらに、錦織圭選手が7日の男子シングルス準決勝で、グランドスラム優勝13度のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)に勝利できれば、今週末は日本にとって二重にお祝いの日となる。
ブレークポイント13度握るも、キーズ選手は不運
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キーズは準決勝で13度のブレークポイントを握ったが、1つもものにできなかった
キーズ選手は第14シードとなった今大会、2年連続となる母国でのグランドスラム決勝進出に狙いを定めていた。昨年は同じ米国のスローン・スティーブンス選手に敗れて準優勝に終わっており、その借りを返そうとしていた。
キーズ選手は大坂選手相手に勝利のチャンスがあった。しかし、そのチャンスをものにできず、代償を払うことになった。
その結果は、一部は大坂選手の奮闘が理由で、またある部分は重要な場面におけるキーズ選手自身のばか正直さと欲望への弱さが理由だった。
キーズ選手は第1セット第4ゲームで4度のブレークポイントを握った。これを取れればゲームカウント3-1とリードできたが、1度もものにできず、最後は大坂選手に時速109マイル(約175キロ)のボディーサーブを決められゲームをキープされると、次の第5ゲームではペースを握られ、ブレークを許した。
早い段階で優位に立てなかったことは重い犠牲に感じられ、結局その通りになった。
キーズ選手は大坂選手のサーブにプレッシャーをかけつづけたが、さらに2度ブレークポイントを逃す。一方の大坂選手には同じような問題は起こらず、握った2度のブレークポイントをものにすると、第8ゲームもデュースの末に制し、第1セットに勝利した。
第2セットも同じ展開だった。
キーズ選手は第2ゲーム、大坂選手をぎりぎりまで追い詰めたものの、6度のブレークポイントを逃し、12分、22ポイントにおよんだゲームを落とす。
大坂選手は回復力、信念、冷静さでこの難しい展開を切り抜け、13度目のブレークポイントも許さずに第8ゲームを制してゲームカウント5-3とリード。第9ゲームはキーズ選手にキープを許したものの、サーブ権を持って迎えた第10ゲームは苦労せずに守り切り、準決勝を勝利で飾った。