【ロシア元スパイ】容疑者2人、現地には「観光に行っただけ」 テレビ出演で 

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「映っているのは我々」 ロシア元スパイ毒殺未遂の容疑者たち

今年3月に英南部ソールズベリーで起きたロシアの元スパイ親子の毒殺未遂事件をめぐり、英当局が容疑者と名指ししたロシア人の男2人が13日、自分たちは観光でソールズベリーを訪れただけだと話した。ロシア国営テレビRTの取材に応じた。

アレクサンデル・ペトロフとルスラン・ボシロフと名乗る両容疑者は、友人に勧められて、観光客としてソールズベリーを訪れたと話している。

英当局はこの2人がロシア軍情報機関の職員で、ロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)の殺害を目的に、ソールズベリーに来ていたとみている。

英政府はRTの報道内容を否定した。テリーザ・メイ英首相の報道官は、「ロシアの国営テレビ局へのインタビューで語られた嘘とあからさまな粉飾は、大衆の知性を侮辱するものだ」と話した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12日、容疑者らについて「彼らに犯罪性などない」と話し、2人を「一般市民」と呼んだ。

スクリパリ氏とユリアさんは3月4日に有毒の神経剤「ノビチョク」を浴びて意識不明になったが、命を取りとめた。しかし、ロシアと直接関わりのないドーン・スタージェスさんは7月、ノビチョクを浴びて亡くなった

容疑者らの主張は?

不安そうな落ち着かない様子で取材に応じた2人は、英当局が明かした「アレクサンデル・ペトロフ」と「ルスラン・ボシロフ」が自分たちの本名だと名乗った。

RTはロシア政府が運営する国際テレビ放送で、2人はマルガリータ・シモニヤン編集局長からインタビューを受けた。シモニャン氏は、「パスポートが一致するほか、英国側からの写真や情報から、2人が当人だと分かった」と説明している。

2人は自分たちはスポーツ栄養のビジネスをしており、ロンドンへ短い休暇に来た際に、何日かソールズベリーに足を運んだと話した。

Image copyright Reuters
Image caption 英政府が公開したアレクサンデル・ペトロフ氏(左)とルスラン・ボシロフ氏の写真

ペトロフ氏は、「友人から長い間、この素晴らしい町を訪れるよう勧められていた」と話した。

2人は、事件前日の3月3日に1時間しかソールズベリーにいなかったのは雪が降っていたからで、4日に改めて観光したと説明した。

またスクリパリ氏の自宅前を偶然通り過ぎたことを認めたが、「どこにあるかは知らなかった」とペトロフ氏は述べた。

ノビチョクについて質問されると、ノビチョクや、神経剤の持ち運びに使われたと英当局が指摘している改造されたニナ・リッチの香水ボトルなど、自分たちは持っていなかったとはっきりと否定した。

Image copyright AFP/Met Police
Image caption スタージェスさんと一緒にノビチョクを浴びたチャーリー・ロウリーさんの家から見つかった偽装香水ボトル

ボシロフ氏は「普通の男が女性の香水を持ち歩くなんて、おかしくないですか?」と話した。

2人は、疑惑によって人生が「ひっくり返ってしまった」と語った。

「外出するのが怖い。自分や愛する人の命が危険にさらされていると感じる」

BBCのサラ・レインズフォード・モスクワ特派員は、このインタビューは丁寧に演出されたもので、非常に奇妙だと指摘した。小ばかにした半笑い交じりの全面否定という、この事件に対するロシア側の一貫した反応に一致しているという。

英国側の主張は

英警察は、容疑者らはロシアの連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の一員で、偽のパスポートを使ってモスクワからロンドンに到着したとみている。

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警察によると、2人が3月3日にソールズベリーを訪れたのは下見のためで、スクリパリ氏宅の玄関扉にノビチョクを吹き付けるため、4日に再びソールズベリーに戻った。

英検察庁は、2人を訴追するのに十分な証拠がそろったという姿勢だ。しかし、ロシアは自国民の引き渡しに応じないため、検察庁は2人の身柄引き渡しを要求していない。

ただ、容疑者らが欧州連合(EU)域内を移動する場合に備え、域内で有効な欧州逮捕状がすでに発行されている。サジド・ジャビド英内相は、2人がロシアから出た場合、逮捕され起訴されると警告している。

2人の足取り

  • 3月2日午後3時ごろ、ロンドン・ガトウィック空港に到着
  • 警察によると、2人はビクトリア駅に午後5時40分に、そこからウォータールー駅に午後6時から7時の間に到着し、ロンドン市内のホテルへ向かった
  • 3月3日午前11時45分、ウォータールー駅からソールズベリー行きの電車に乗車
  • 防犯カメラ映像によると、午後2時25分ごろソールズベリー到着
  • 容疑者らは、この日は「あちこちが雪でどろどろだった」ため、ストーンヘンジやオールド・セーラム、ソールズベリー大聖堂などを見ずに1時間程度でソールズベリーを後にしたという
  • 防犯カメラには、2人は午後4時11分の電車でロンドンへ戻る姿が映っていた
  • 防犯カメラ映像によると、3月4日午前11時48分、再びソールズベリーに到着した
  • 警察によると、午前11時58分にスクリパリ氏宅近くの防犯カメラに映っていた
  • 2人はその後、ソールズベリー大聖堂を観光したと話している
  • 午後1時50分には2人がソールズベリー駅を後にする姿が映っていた
  • 午後7時28分、ヒースロー空港からアエロフロート航空便でモスクワに戻った
Image caption 容疑者2人の移動経路。1.ガトウィック空港、2.ビクトリア駅、3.ウォータールー駅、4.シティ・ステイ・ホテル、5.ソールズベリー、6.ウィルトン・ロード、7.ヒースロー空港

事件のあらまし

スクリパリ氏はロシアの元二重スパイで、ソールズベリーに住んでいた。娘のユリアさんは3月3日、スクリパリ氏に会いにロシアから英国を訪れた。

2人は翌4日にソールズベリー中心地のレストランで昼食を取ったあと、レストラン外のベンチで「非常に深刻な状態」で発見された。

スクリパリ親子の容体は、数週間の集中治療を経て回復した。ユリアさんは4月9日に、スクリパリ氏は5月18日に退院し、現在は安全な場所に暮らしている。

6月30日には、ソールズベリーから13キロ離れたウィルトシャー・エイムズベリーの住宅でドーン・スタージェスさん(44)とチャーリー・ロウリーさん(45)がやはりノビチョクを浴びて意識不明となった。

警察はこの2つの事件を関連付けており、2人が香水と思ったものからノビチョクを浴びたとみている。

スタージェスさんは7月8日に亡くなった。

(英語記事 Skripal suspects: 'We were just tourists'

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