父親の死に泣く少年の写真、1日で460万円の募金集まる インド

This photo of the worker's 11-year-old son sobbing next to his body went viral. Image copyright Shiv Sunny

父親の遺体の脇で嘆く少年の写真が、インドのソーシャルメディアで話題となり、男性の家族のために1日で300万ルピー(約460万円)以上の募金が集まった。

17日にツイートされたこの写真は、現在1万回以上リツイートされている。

アニルさん(37)は、インドの首都デリーで下水道作業員として働いていた。しかし下水道へ降りる際に使っていたロープが突然切れ、下水の中に落下したアニルさんは死亡した。

いくつかの推定では、インドでは毎年約100人の下水道作業員が死亡している。

こうした死亡事故について労働組合は、適切な安全装備を与えられていないからだと主張している。

サニー記者はBBCに対し、亡くなった男性の息子(11)が嘆く姿を見て「衝撃を受けた」と話した。

写真をツイートしたのは、インドの英字日刊紙ヒンドゥスタン・タイムズのシブ・サニー記者。サニー記者はツイートで、「火葬場に安置された父親の遺体に歩み寄った少年は、父の顔を覆う布をはがし、両手で父の両頬に触れると『パパ』とだけ言ってむせび泣き出した。14日にまた1人、デリーの下水道で哀れな作業員が亡くなった。遺族は火葬代さえも持っていなかった」と書いた。

「私は事件記者をしているので、悲劇はたくさん見てきた。でもこれは、今まで見たことのない光景だった」

サニー記者は、アニルさんが火葬される数分前にこの写真を撮影したという。

「下水道作業員の死について、みんなに知ってもらいたかった」とサニー記者は話した。

「この写真は、家族の苦境を物語っている」

サニー記者は、アニルさんの家族が火葬費用さえも出せず、近所の人たちに支援してもらったと明かした。近所の人たちからはまた、アニルさんが1週間前に生後4カ月の息子を肺炎で亡くしていたと聞かされたという。薬を買うお金もなかったのだ。

アニルさんには他に、7歳と3歳の娘がいる。

サニー記者のツイートは、非政府組織(NGO)ウダイ基金への注目も集めた。同基金は、インドのクラウドファンディング・プラットホーム「ケットー」の協力を得て、資金を集めると申し出た。

クラウドファンディングには、驚くほどの反応があった。

ヤシュワント・デーシュムクさんはツイッターにこのクラウドファンディングの画面を投稿し、「小さくてもみんなで貢献すれば、一緒に大きな変化を作り出せる。この子の父親を生き返らせることはできないが、子どもたちの教育費と家族の生活に必要な目標額の240万ルピーを、この24時間で大きく上回ることができた」と書いた。

「まったく予想外だった」とサニー記者は話した。また、ボリウッド(インド映画界)の俳優たちでさえ、アニルさんの家族を手助けするにはどうすればいいかとサニー記者に接触してきたという。

しかしもっと感動的だったのは、ずっと貧しい人たちでさえも、わずか10ルピーほどの少額でも寄付してくれたことだった、とサニー記者は加えた。

家族について多くの質問やコメントがソーシャルメディアに書き込まれたため、サニー記者はもっと詳しく知ろうと家族の元へ戻った。

悲嘆していたあの少年とも話をした。少年は、父親の仕事に時々付いていき、「お父さんの服や靴を泥棒から守るため外で待っていた」と話したという。

「お父さんは、僕がまだ下水道に入るには早すぎると言っていた」と、サニー氏はヒンドゥスタン・タイムズで少年の言葉を伝えた。

インドのテレビ・ネットワークNDTVのウェブサイトによると、アニルさんの死亡事故を捜査した警察は、ロープの強度が十分でなかったことと、アニルさんが安全装備を身に着けていなかったことが分かったとしている。

今回の事故で、デリーで下水道作業員が死亡したのは今月2人目だ。

このほか、下水処理場では清掃作業中に作業員5人が死亡している。警察は、安全装備を着けていなかったとして作業員の管理者を逮捕した。

サニー記者は、集めた資金でアニルさんの子どもたちが学校へ行かれるだろうと期待している。

「支援をしてくれた人たちのおかげで、(子どもたちは)未来が持てるかもしれない」とサニー記者は語った。

(英語記事 Heartbreaking photo raises $43,000 in day

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