カナダ下院、全会一致でスーチー氏の名誉市民号をはく奪 ロヒンギャ問題

カナダの下院は27日、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相に対する名誉市民の称号をはく奪することを全会一致で可決した。
スーチー氏がミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャに対する残虐行為を止められなかったことに対する措置。
スーチー氏は、軍事政権下にあったミャンマーに民主主義をもたらした努力を称えられ、1991年にノーベル平和賞を受賞している。
国連は8月、ロヒンギャに対するジェノサイド(集団虐殺)などをめぐり、ミャンマー軍幹部を訴追すべきだとする調査報告書を発表した。
過去12カ月間で少なくとも72万5000人が隣国バングラデシュに避難した。
名誉市民はたったの6人
カナダのジャスティン・トルドー首相はこの前日、スーチー氏が名誉市民に値するか議会が再考していると話していた。
その一方で、名誉市民をはく奪しても何十万人ものロヒンギャの苦痛を終わらせることはできないとも述べた。
カナダは2007年にスーチー氏に名誉市民の称号を与えた。これまでに同国の名誉市民となった外国人は6人のみ。
名誉市民の決定には、上下両院の承認が必要となる。政府高官はロイター通信に対し、はく奪も同じ方法で行われるべきだと話した。
自由党のアンドリュー・レスリー議員は投票後、記者団に対し、次の段階は現時点で不明瞭だと話した。
「政治機構はこれから、この決定の施行には具体的に何が必要なのか、詳細をかみ砕かなくてはいけない」
カナダ下院は今月初めにも、ロヒンギャに対する犯罪をジェノサイドと認定する決議を全会一致で可決している。
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2015年、スーチー氏は国家顧問に就任し、民主化したミャンマーの事実上の指導者となった。
しかし昨年以降、ロヒンギャの武装勢力による攻撃への報復としてミャンマー軍が残虐な取り締まりに乗り出し、70万人のロヒンギャがミャンマーから逃亡した。
スーチー氏は軍部の残虐行為疑惑を非難するよう求める国際社会からの圧力に直面したものの、現時点まで拒否している。
2017年4月のBBC単独インタビューでスーチー氏は、「民族浄化が行われているとは思わない。今起きていることを言い表すのに民族浄化は表現が強すぎる」と述べた。