世界最長の直行便就航へ シンガポールとニューヨーク間

サラ・ポーター BBCニュース(シンガポール)

Singapore Airlines will be the first to offer flights on Airbus' A350-900 ULR aircraft in October Image copyright SIA

シンガポール航空は11日、シンガポールと米ニューヨーク間の航空便を運航開始する。世界最長の直行便を提供する戦いが加速する。

シンガポール航空(SIA)は、この路線を5年ぶりに再開する。以前にも同路線を提供していたが、高価になりすぎたとの理由で取りやめていた。

移動距離は1万5000キロ以上、飛行時間は19時間弱の予定だ。

豪カンタス航空はオーストラリアのパースから英ロンドンまでの17時間の直行便を今年3月に開始した。また、カタール航空はニュージーランドのオークランドからカタールの首都ドーハまで17時間半の航空便を運航している。

チケットの売れ行きは?

シンガポールのチャンギ空港から米ニューアーク国際空港までの航空便はほぼ満席となり、鳴り物入りでの離陸になりそうだ。

シンガポール航空は、乗り継ぎを必要とする航空便と比べて移動時間が短縮できる直行便の需要があったと述べた。

同社はBBCに対し、11日の便はビジネスクラスがほぼ満席だと話した。プレミアムエコノミー席は「ほんのわずかな数」だけ残っているという。

この路線では、同社はエコノミークラス席を提供しない予定。

ビジネスクラスでは、提供時間が選べる食事が2回と、食事間に軽食が用意されている。また、横になれるベッドも備えられている。

プレミアムエコノミー席では、決められた時間での食事3回と、間に軽食が提供される。

19時間のフライトに人は乗りたがるのか

Image copyright EPA
Image caption カンタス航空はパースとロンドンを結ぶ航空便の機体に787-9型ドリームライナーを採用している

シンガポール航空が使用するのは新型のエアバス機で、ビジネスクラス67席、プレミアムエコノミー94席の合計161席が設定されている。

航空専門家で11日の同便に搭乗予定のジェフリー・トマス氏は、「この背景には、同社が高級品を販売しているという考えがある。富裕層向けなのだ」と話す。

「巨大な金融ハブ2都市を結ぶ路線なので、シンガポール航空はビジネス関係者や、直行便の利便性を求める裕福な旅行客をターゲットにするだろう」

「また、航空会社が新しい直行路線を導入すると、その路線の輸送量は3倍に増えることが証明されている」

航空会社の評価サイト「Airlineratings.com」の編集長でもあるトマス氏はこれまでも、カタール航空が今年3月に就航させたパースとロンドンを結ぶ直行便などの長距離便に何度か搭乗したことがあり、歴史の一部になれるのを楽しみにしていると述べている。

「カンタス航空のロンドンまでの航空便は、大掛かりなイベントだった。私たちは基本的にものすごく興奮し、飛行中ずっと立ちっぱなしだった。ほとんどパーティーのような雰囲気が機内を包んでいた」

航空便がとるルートは?

シンガポール航空の直行便が11日にニューアークへ向かう際に取るルートには2つの可能性があるが、同社はすでに乗客に対し、どちらを取るか伝えている。北太平洋路線(NOPACルート)と呼ばれるものだ。

トマス氏は、1万5341キロもの距離を移動することになると話す。ただ、目的地までの距離は常に同じだが、飛行距離や飛行時間は、追い風か向かい風か、それに気象条件による迂回の必要性などによって変わる可能性があることを航空専門家ではない人たちは覚えておくべきだと同氏は語った。

「私たちがは東の方向へ向かうが、強いジェット気流があれば、航空便は日本の上空を抜け、北太平洋を飛び、もしかしたらアラスカをかすめて、カナダを通ってニューアークに着陸することになる」

現在のところ、シンガポールは予定所要時間を18時間25分としている。

Image copyright SIA
Image caption シンガポール航空の新型機、A350-900 ULR型のビジネスクラス席。ニューヨーク行きの航空便では、エコノミークラス席は提供されない

これが未来の長距離旅行の形?

11日にシンガポールからニューアークに向かうA350-900 ULR(ULRは超長距離の略)は、仏航空機大手エアバスの長距離用双発機だ。

この機体は、ボーイングの最新機種より古い型となる777シリーズに替わる飛行機を目指して設計された。777と比べ燃費消費量が20〜30%少なく、石油価格が高騰している今は利点となっている。

シンガポール航空は過去、今回と同じチャンギ空港とニューアーク空港を結ぶ直行路線を2004年に就航させたが、2013年に運行を停止した。当時使用していたA340-500型機は大量の燃料を使用すため、最終的に運航費用がかかりすぎるようになったのが理由だった。

複数の航空会社がすでに、A340-500よりも新しい機材であるA350-900を長距離路線に使用している。高い天井、大きな窓、時差ボケ防止用に設定された照明を採用しており、ビジネス利用の忙しい乗客にいいことづくめとなっている。

しかしシンガポール航空がエアバスから購入したULR機は、燃料系統が若干改良されているため、現存するどの航空機よりも長距離を飛行できる。

ノンストップで20時間の飛行が可能で、ほとんどの航空専門家によると、非常に長距離となるこうした移動のあり方が、出張や旅行の未来の姿だという。

トマス氏によると、人は直行便で移動したがることがこれまで何度も証明されており、「そのため、こうした超長距離を飛行する航空機は、ものすごい勢いを得ることになる」という。

「パースとロンドンを結ぶカンタス航空は、エコノミークラスで92%、プレミアムエコノミーで94%の座席利用率を確認しており、つまり航空会社の視点からすると、これらは儲かる路線だ」

「私たちはまさに、旅行の新時代へ突入しつつあるのだ」

(英語記事 Countdown on for world's longest non-stop flight

この話題についてさらに読む