英・EU、国境問題めぐり急きょ会談 英政府は前向き

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Image caption ドミニク・ラーブ英・EU離脱担当相(写真)とEUのミシェル・バルニエ首席交渉官は14日に会談した

英首相官邸は14日、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる未解決の深刻な問題について、なお交渉を進めることができるとの見解を示した。

ドミニク・ラーブ英・EU離脱担当相とEUのミシェル・バルニエ首席交渉官はこの日、予定になかった会談を行い、英国の北アイルランドとアイルランドの国境問題をめぐるいわゆる「バックストップ(防御策)」について話し合った。

EUの提案では、ブレグジット(英国のEU離脱)後も英国が関税同盟に残留する可能性があり、英国とEUの間で意見が対立している。

BBCのローラ・クンスバーグ政治担当編集長によると、17日に行われるEU加盟国首脳会議(サミット)まで、これ以上の交渉は予定されていないという。

しかし首相官邸は、英政府がなお「進展があるよう努力している」と述べた。

BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員は、17日のEUサミットは離脱プロセスの未解決問題についての協議が主となり、英・EUの離脱後の関係は焦点にならないだろうと指摘している。

フレミング特派員は、これによって離脱交渉は「英国が望んだ11月にはまとまらないだろう」とみている。

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テリーザ・メイ英首相にとっては、複数の閣僚辞任の懸念が高まる中での、EUサミットとなる。

最大野党・労働党の影のブレグジット担当相、キーア・スターマー議員は、政府に独自のバックストップ案を提出するよう要求し、首相への圧力を強めた。

スターマー議員は、政府がEUと何を合意するにしても、EUに提出する前に英下院議員が細かく点検する必要があると力説した。

首相官邸筋は、メイ首相は最新の交渉内容が定期的に議会に報告されるように手配したと述べた。

「あからさまな軽蔑」

ボリス・ジョンソン前英外相は、バックストップ案は放棄すべきだと訴えている。

英紙デイリー・テレグラフへの寄稿でジョンソン氏は、「英国の憲法上の取り決めを変更せよなどと迫るEUは、あからさまな軽蔑をもって我々に接している」と語った。

一方、駐英アイルランド大使のエイドリアン・オニール氏は、14日の非公式会談は交渉を阻む「障害」で、合意なしのブレグジットの可能性を高めたと指摘した。

BBCラジオ4の番組「ウェストミンスター・アワー」に出演したオニール氏は時間が「なくなりつつある」と述べ、「あらゆる可能性に備えた準備は、大変なことになっている」と付け加えた。

こう着する国境問題

英・北アイルランドとアイルランドの国境は、ブレグジット後は英国とEUの国境にもなる。この国境をめぐる問題が、離脱合意の最後の障害となっている。

英・EU間の通商協定がこの問題を解決できない場合の「バックストップ」について、論争が続いている。

EUのバックストップ案は、北アイルランドを通商上はEUの管轄化に残すというものだが、メイ英首相および首相と閣外協力している民主統一党(DUP)は、この案は受け入れられないと表明した。

一方のメイ首相は、英国全土で一時的にEUと関税合意を結ぶ対案を提示している。

しかし11日に行われた閣議でメイ首相は、この関税合意に明確な期限を含めない可能性を示唆した。与党・保守党のEU離脱派は、非EU加盟国と自由貿易協定を結ぶ機会を阻むのではないかと危惧している。

デイビッド・マンデル・スコットランド内相とスコットランド保守党のルース・デイビッドソン党首は14日、メイ首相への書簡で、北アイルランドがEU離脱後に英国の他地域と異なる扱いを受けることは受け入れられないと述べた。

この書簡は16日に予定の閣議に先立って公表された。この閣議では、閣僚らがバックストップをめぐる提案を承認するかが問われるとみられている。

デイビッド・デイビス前EU離脱担当相はサンデー・タイムズに寄稿し、閣僚らに「集団的な権力を行使」して提案を否決するよう求めた。

保守党内での白熱した議論は、デービス氏をメイ首相の後継者とみる動きにまで発展している。

同党のナディン・ドリース下院議員は、EU懐疑派が求めているブレグジットを推進する主導者にはデービス氏が適任だと公言している。

ドリース氏は、「ブレグジットと自由貿易協定、両方を達成する唯一の方法」はデイビス氏を暫定的なリーダーにすることだけかもしれないと話した。

<解説> メイ首相はチェックメイト寸前? ――ローラ・クンスバーグBBC政治担当編集長

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EUはメイ首相が譲歩しつつあると感じているかもしれないが、英国内の政局は混迷を極めている。

11日の閣議で懸念が高まり、EU離脱派に刃を研ぐ理由を与えた。

DUPは、自分たちが怖れる合意が締結されるくらいなら閣外協力を破棄し、政権をつぶした方がましだと警告し続けている。一部の閣僚は進退を考え始めている。

さらに、与党内で不満を持つさまざまな下院議員グループが、政府がとてもぜい弱になった今をチャンスと捉えている。

メイ首相にとっては、次の一手がますます難しく、急を要するものになっている。

与党・保守党は、関税同盟に残る案は飲まないだろう。議会は合意なしのブレグジットを阻止するだろう。そしてEUは、モノの移動にのみEUの共通ルールブックを適用するメイ首相の「チェッカーズ」案を受け入れないだろう。

メイ首相に忠実な閣僚でさえ、心配を募らせている。

「メイ首相はまるで、チェスでキングだけ残された状態だ。彼女にできるのは、チェックメイトされるまで1マスずつ進むことだけだ」と。

(英語記事 UK can 'still make progress' in Brexit talks

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