政府批判の記者失踪 英仏独がサウジに「信用できる」捜査を要求

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総領事館に入ったまま行方不明に サウジ記者失踪のこれまで

サウジアラビア皇太子に批判的だった同国の著名記者、ジャマル・カショジ氏の行方が分からなくなり、イスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺害されたとトルコ当局が断定している問題で、英独仏の各国政府は14日、信用に足りる捜査をサウジアラビア政府に要求した。3カ国の外相は共同声明で、当事者明らかになった場合は責任をとらせる必要があると求めている。

英仏独3カ国の外相は共同声明で、カショジ記者の身に何があったのか確定するため、信用に足りる捜査を実施し、失踪するに至った事態の責任者がいるならば責任をとらせるよう呼びかけた。

ジェレミー・ハント英外相、ジャン=イーブ・ルドリアン仏外相、ハイコ・マース独外相は、「そのためにサウジアラビアとトルコが共同で取り組むよう促し、サウジ政府が十分で詳細な反応を提供するよう期待する」と述べた。

ハント外相はこの後、今後の展開は「完全のサウジアラビア次第だ」と述べた。「何があったのか我々は誰も分からないが、表に浮上してきている様々な内容は非常に気がかりだ。真相の解明を手伝ってくれる国は、サウジアラビアだ」と外相は強調し、「もしも(サウジアラビアが)言うように、恐ろしい殺人は起きていないなら、ではジャマル・カショジはどこにいるのか? 世界中が知りたがっている」とサウジアラビア政府に真相解明を呼びかけた。

カショジ記者は、かつてはサウジアラビア王室の信頼が厚かったものの、近年はムハンマド・ビン・サルマン皇太子に批判的で、母国を脱出し米国を拠点に、米紙ワシントン・ポストなどに定期的にコラム記事を寄稿していた。2日には、トルコ人婚約者ハティチェ・チェンギス氏と結婚を控え、元妻との離婚証明書を取得するため、イスタンブールのサウジアラビア総領事館を訪れたとされている。

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失踪の記者、サウジ総領事館に入る映像

チェンギス氏は、総領事館の前で11時間待ったものの、カショジ記者は出てこなかったと話している。トルコの報道機関が公表した防犯カメラ映像には、カショジ記者が総領事館に入る姿と、婚約者のチェンギス氏が外で待っている姿も映っている。

トルコ当局は、カショジ記者が領事館内で殺害されたと断定しているが、サウジアラビアはこれを否定している。

トルコ公安関係者はBBCに対し、カショジ氏がサウジ総領事館内で殺害されたことを裏づける音声と動画証拠を入手していると話した。

トルコの消息筋は、結婚用の書類申請のためカショジ氏が総領事館に入ると、館内にいた15人以上のサウジ情報部員に襲われ、殺害されたと話している。

「厳罰」とトランプ氏

この事態を受けてトルコ、サウジアラビア両国と同盟関係にある米国のドナルド・トランプ大統領は10日、「記者だろうと誰だろうと、こんな目に遭うのは許せない」と述べ、「我々はあらゆる要求をしている。あそこで何がどうなっているのか見せてもらいたい」と強調。13日放送の米CBSニュース「60ミニッツ」のインタビューでは、もしうわさされているように、カショジ氏が総領事館内で殺害された場合は、サウジアラビアに「厳罰」を与えると言明した。

英独仏3外相のコメントはトランプ大統領のこの発言放送後に発表された。

Image caption カショジ氏の到着から間もなく複数の公用車が総領事館の敷地内に入った。数時間後には、サウジアラビア総領事公邸に向かう様子が目撃された。上の写真が、カショジ氏の入った総領事館入り口。下写真左下がホテル、右下が総領事館、右上が総領事公邸

外交筋によると、スティーブ・ムニューシン米財務相とリアム・フォックス英国際貿易相は、近くリヤドで予定される投資会議に欠席する可能性がある。ホワイトハウスのラリー・クドロウ補佐官は、まだ欠席が決まったわけではないと話している。

サウジ反発

リヤドで予定される投資会議は、ムハンマド皇太子が政府改革推進をアピールするために開催する。すでに複数のスポンサーやメディア・グループが参加を取りやめている。

サウジアラビア国営SPA通信は政府筋の発言として、「王国は、経済制裁の脅しだろうが政治的圧力だろうが、いかなる脅しも敵対行為も、あらためていっさい拒絶する」、「王国はさらに、我々に対するいかなる行動にはそれよりも大きい対応で応えるつもりだと、あらためて表明する。サウジ経済は世界経済にとって不可欠で、影響力のある役割を担っている」と伝えた。

しかし、14日夜にはサルマン国王が融和的な姿勢を示し、真相解明のため合同調査チームを発足させたことについてトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に謝意を述べた。国王は、サウジとトルコ両国の強力な関係を誰も損なうことはできないと強調した。

Image copyright AFP
Image caption ワシントンのサウジアラビア大使館前で抗議する人たち(8日)

サウジ市場は

サウジアラビア・タダウル全株指数は14日、一時7%急落し、年初以来の安値をつけた。

AFP通信によると、午前と午後の取引で、市場の時価総額4500億ドルのうち500億ドルを失った。

フランクリン・テンプルトン新興国市場エクイティのサラー・シャマ氏はロイター通信に対して、「カショジ問題にまつわる心理に市場は否定的反応を示している」と話した。

タダウル全株指数の同日終値は3.5%安だった。

(英語記事 Jamal Khashoggi case: 'Credible' probe needed over missing writer

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