サウジ記者「殺害」疑惑、トランプ氏は「行きずりの殺し屋」のせいではないかと

President Trump
Image caption トランプ米大統領は、失踪のサウジアラビア人記者は「行きずりの殺し屋」に殺害されたのではないかと述べた

サウジアラビア政府に批判的だった同国の著名記者が失踪し、在イスタンブールのサウジアラビア総領事館内で殺害されたのではないかと懸念されている問題で、ドナルド・トランプ米大統領は15日、「行きずりの殺し屋」のせいではないかと発言した。一方で、複数の米メディアは未確認情報として、サウジアラビア政府がジャマル・カショジ記者の死亡を認める方向で調整している可能性を伝えている。

サウジアラビアのサルマン国王と電話会談後に記者団を前にしたトランプ大統領は、カショジ記者がなぜ行方不明になったかについて国王はまったく何も知らないと断言したことを明らかにした。

トランプ大統領は記者団の質問に答えるなか、サルマン国王は「非常に強く断固として」何も知らないことを強調したと述べた。

「どうやら行きずりの殺し屋じゃないかという感じが、僕にはした。誰にも分からないよ」と大統領は述べたが、発言の根拠は示さなかった。

一方で、複数の米メディアは未確認情報として、サウジアラビア政府がカショジ記者は尋問中に死亡したと認めるつもりだと報じている。それによると、サウジ当局の当初の目的はカショジ記者の拉致だったが、尋問中に死なせてしまったのだという。

15日午後にはトルコの鑑識捜査員が、問題のサウジアラビア総領事館の中に入った。カショジ記者が失踪して以来、トルコの捜査員が総領事館内に入るのは初めて。サウジアラビア当局者の一団が館内に入った約1時間後に、トルコの捜査員たちが中に入った。

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Image caption トルコ警察が到着する前に総領事館に着いたサウジアラビア当局者たち(15日、イスタンブール)

サウジ当局者たちが到着する前には、清掃員たちが館内に入る様子が目撃されていた。

カタールのニュースチャンネル、アルジャジーラは、トルコ司法長官事務所の話として、カショジ記者が総領事館内で殺害されたことを裏づける証拠を入手したと伝えている。

トルコ当局は、カショジ記者が10月2日に結婚用の書類手続きのため総領事館に入った後、館内で殺害されたと断定している。サウジアラビアは一貫してこれを否定してきた。

しかし、サルマン国王は15日、事実関係の調査を命令。ロイター通信によるとサウジ消息筋が、「国王は、イスタンブールの合同チームから得た情報をもとに、カショジ問題について内部調査に着手するよう検察に命令した」と明らかにした。

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総領事館に入ったまま行方不明に サウジ記者失踪のこれまで

米国務省によると、マイク・ポンペオ国務長官がトランプ大統領の指示でサウジアラビアの首都リヤドに向かった。サウジの次はトルコを訪れる予定という。

トルコ公安関係者はBBCに対し、カショジ氏がサウジ総領事館内で殺害されたことを裏づける音声と動画証拠を入手していると話した。

トルコの消息筋は、結婚用の書類申請のためカショジ氏が総領事館に入ると、館内にいた15人以上のサウジ情報部員に襲われ、殺害されたと話している。

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高まる外交圧力

サウジアラビア政府に対して、米国を初め諸外国は、詳しい状況説明を求めている。

欧州連合(EU)は15日、サウジアラビアに事態を明らかにするよう呼びかけた。

加盟28カ国の外相会談の後、フェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は記者団に対して、「私たちは全会一致で透明性を求める。サウジ当局がトルコ当局と合同で、完全に協力しながら捜査し、その結果をすべて明らかにするよう期待する」と述べた。

これに先立ち英仏独3カ国の外相は14日、カショジ記者の身に何があったのか確定するため、信用に足りる捜査を実施し、失踪するに至った事態の責任者がいるならば責任をとらせるよう共同声明で呼びかけた。

トルコ、サウジアラビア両国と同盟関係にある米国のドナルド・トランプ大統領は10日、「記者だろうと誰だろうと、こんな目に遭うのは許せない」と述べ、「我々はあらゆる要求をしている。あそこで何がどうなっているのか見せてもらいたい」と強調。13日放送の米CBSニュース「60ミニッツ」のインタビューでは、もしうわさされているように、カショジ氏が総領事館内で殺害された場合は、サウジアラビアに「厳罰」を与えると言明した。

リヤドで23日に予定されるムハンマド皇太子主催の投資会議から、すでに複数のスポンサーやメディア・グループ、著名財界人が参加を取りやめている。米英閣僚が出席を中止する可能性も出ている。

サウジアラビア政府は14日、トランプ氏の「厳罰」発言を受けて、「王国は、経済制裁の脅しだろうが政治的圧力だろうが、いかなる脅しも敵対行為も、あらためていっさい拒絶する」、「王国はさらに、我々に対するいかなる行動にもそれよりも大きい対応で応えるつもりだと、あらためて表明する。サウジ経済は世界経済にとって不可欠で、影響力のある役割を担っている」と強く反発した。

しかし、15日にはサルマン国王が検察に捜査を命令。消息筋はロイター通信に、検察官は速やかに調べを進めるよう指示されたと話した。

消息筋によると、サルマン国王は14日夜、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と電話会談し、真相解明のため合同捜査チームを発足させたことについて謝意を述べたほか、両国が協力しあうことの重要性を強調したという。

総領事館内の鑑識捜査

15日午後には、トルコ警察の鑑識捜査員が初めて、外交特権で守られているサウジアラビア総領事館に入った。

その前にはサウジアラビア当局者の一行と、清掃員たちが館内に入っていた。

サウジアラビアは先週、トルコ警察による館内捜査に応じるとトルコに伝えた。ただし、「目視」による点検に限定するという姿勢だったため、トルコ側がこれを拒否した。

トルコ日刊紙サバハによると、トルコ警察は血液を発見するために鑑識が使う薬品ルミノールの使用を要求していた。サウジ側が今回の捜査でこれに応じたかは明らかになっていない。

(英語記事 Jamal Khashoggi: Trump suggests 'rogue killers' to blame

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