トルコ大統領、サウジ記者の「残酷な」殺害は「何日も前から計画」と非難

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「ジャマル・カショジ記者の遺体はどこだ」 トルコ大統領が演説

サウジアラビア政府を批判していたジャマル・カショジ記者(59)が在イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件について、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は23日、何日も前から計画されていたものだと言明した。サウジ政府はこれまで記者の死亡は偶発的なものだと述べたり、一部の当局者が勝手にやったことだなどと主張してきたが、エルドアン大統領はサウジ側のこの説明を否定した。ただし、大統領は演説に先立ち、「赤裸々な真実」を明かす意向を示していたが、ほとんどがすでに報道されている内容にとどまった。

エルドアン大統領は首都アンカラの国会で、与党・公正発展党の議員にこれまでの捜査結果を説明した。その中で大統領は、カショジ記者が今月2日にサウジ総領事館で、事前に用意された「残酷な」殺人計画によって命を落としたと述べ、トルコは強力な証拠を得ていると表明した。

その上で大統領は、サウジアラビアが逮捕したと発表した容疑者18人について、事件のあったイスタンブールで裁判にかけるべきだと主張した。

エルドアン氏はさらに、カショジ記者の遺体がどこにあるのか回答するようサウジ政府に要求した。殺害計画を誰が命令したのかについても、サウジ政府に問いただした。

カショジ記者が結婚用の書類を取りにサウジ総領事館に入ったのを最後に失踪して間もなく、トルコ警察は、記者が館内で殺害されたと発表した。これに対してサウジアラビアは当初、記者が無傷で領事館を出たと反論していたが、19日になって初めて、館内で「殴り合い」の末に死亡したことを認めた。遺体の場所については言及していない。さらに、アデル・アル・ジュベイル外相は21日、米フォックス・ニュースに対して、記者が「勝手な計画」によって「殺害」されたと発言した。

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23日にはエルドアン大統領の演説だけでなく、サウジアラビアの首都リヤドで、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が主催する投資会議が始まった。サウジアラビアの経済改革と投資機会の拡大を世界の投資家にアピールするための、サウジアラビアにとって重要な会議だが、約40人の各国政財界要人が欠席した。

殺害の音声には触れず

エルドアン大統領は国会演説で、事件の経緯を説明した。それによると2日の殺害の前に、サウジアラビア人15人が別個にイスタンブールに到着。前日には数人が、総領事館に近いベルグラードの森を訪れたという。

トルコ警察は18日から、ベルグラードの森とその周辺を捜索し、記者の遺体を探している。

大統領によると、カショジ記者が2日に総領事館を訪れる前に、サウジ当局者たちは館内の防犯カメラや録画映像を建物から撤去したという。

さらに、カショジ記者の服を着て、同じようにメガネをかけたひげの男が、殺害当日に他の当局者と総領事館を出て、リヤド行きの飛行機に乗ったと大統領は演説した。

米CNNは22日、カショジ記者の服を着て、メガネをかけ、付けひげで変装したサウジ工作員が総領事館を出てイスタンブール市内を歩く様子の映像を放送している。

Image copyright CNN
Image caption CNN放送の防犯カメラ映像には、カショジ記者に変装したサウジ工作員(右)が映っていた

エルドアン大統領は、サウジアラビアで18人が逮捕されたと確認したが、トルコ警察が記者の殺害状況についてどのような証拠を得ているのかは明らかにしなかった。

トルコ・メディアは、カショジ記者が殺害される様子の録音や録画記録をトルコ警察が入手していると伝え、その残酷で詳細な内容を連日報道してきた。しかし、大統領は演説で、そうした録音・録画については触れなかった。

大統領は、サウジ政府が逮捕した18人は、イスタンブールを訪れた15人と総領事館職員3人だと説明。「イスタンブールで裁判にかける」よう要求し、その場合は「殺人に関わった全員」が罰を受けることになると述べた。

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サウジ政府を批判すると次々と消える 王子でさえも

サウジアラビアについては何を

エルドアン大統領は、事件の真相解明に独立委員会の設置を呼びかけた。さらに、サウジアラビアのサルマン国王に対応に全幅の信頼を置いていると強調した。

対照的に、大統領はムハンマド皇太子にはいっさい言及しなかった。

カショジ記者は、サウジ国内で特に大きな権力を振るう皇太子の強権政策を繰り返し批判していた。トルコ警察が、総領事館に入った「殺人部隊」と呼ぶ15人の中には、皇太子に近い立場の情報部関係者が複数いる。また、サウジ政府は、皇太子の側近2人を解任したと発表している。

イスタンブールで取材するBBCのマーク・ローウェン記者は、対決を嫌うような政治家ではないはずのエルドアン大統領が国会演説でサウジ政府批判を抑制し、入手している事件の証拠を詳細に明かさなかったのは、サウジアラビアとの外交関係を維持したいからか、あるいはサウジや米国から圧力を受けたからかもしれないと指摘する。

ロイター通信は21日、匿名サウジ政府関係者の話として、カショジ記者がリヤドへの強制送還に抵抗しようとた際に首を絞められて死亡したのだと伝えた。この消息筋によると、じゅうたんにくるまれた記者の遺体は、イスタンブールの地元「協力者」が処分したという。

エルドアン大統領は演説で、この人物の正体を明かすよう求めた。

ロイター通信はさらに、トルコやサウジの情報関係者の話として、皇太子上級顧問の職をすでに解任されたサウド・アル・カータニ氏が、記者の尋問に通信アプリ「スカイプ」を使い同席したと伝えた。それによると、カータニ上級顧問(当時)はカショジ記者と罵倒を交わした後、現場の工作員に「あの犬のクビをとってこい」と指示したと伝えた。

このスカイプ音声の録音を、エルドアン大統領は入手しているものの、米政府への提出を拒否していると、同通信は伝えている。

(英語記事 Khashoggi murder 'planned days in advance" - Turkey's Erdogan

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