英前財務相、EU離脱投票の引き金になった過ちを「後悔」と

ジョージ・オズボーン前英財務相は30日に出演したBBC番組「ニュースナイト」で、在職中の出来事について色々と「後悔」していると述べ、当時の政権の過ちが英国を欧州連合(EU)離脱に導いたと発言した。
オズボーン氏は2010~2016年、デイビッド・キャメロン前首相の下で財務相を務めていた。英国はキャメロン政権下で国民投票を実施し、ブレグジット(英国のEU離脱)を決定した。
オズボーン氏は、当時の保守党は移民政策で過ちを犯し、「国民投票で扉を開いた」と語った。
また、EU残留派がEU残留のメリットを説明するのが「遅すぎた」と指摘した。
一方で、自分は国益のために働いていたと強調した。
BBCのエバン・デイビス記者が司会を務める「ニュースナイト」でオズボーン氏は、「EUが難題と争いばかり仕掛けてきて、EUのやることは全て間違いだという論争に陥ったことが間違いだった」と語った。
また、移民に関する論議が、2016年6月の国民投票の結果において「極めて致命的だった」と付け加えた。
オズボーン氏は、当時の英政府が移民について「達成できない目標を約束し、それがどのように目標を達成するかという論争につながった(中略)我々は確実にこの議論に寄与していたし、移民の重要性を十分に説明できなかった」と話した。
「大きな被害をもたらした」
オズボーン氏は政界を引退し、現在はロンドンの無料夕刊紙イブニング・スタンダードの編集長を務めている。
同氏はその他の後悔として、金融危機直後に金融システムの修復に注力しなかったことを挙げた。
「結局のところ、キャメロン氏や私自身、ニック・クレッグ前副首相などはみな、巨大金融危機に直面し、宙づり議会で数々の難しい決断を迫られる中、できる限り公平に事態を直し、国益のために一生懸命働いたのだと思う」と話した。
「究極的には英国は成長し、雇用も増え、多くの欧州各国が当時経験した悲惨な状況を避けることができた」
自分の緊縮財政が、英国民にEU離脱を選択させたのではという意見については否定した。
しかし英紙ガーディアンのコラムニスト、ポリー・トインビー氏は番組内で、オズボーン氏が「英国に大きな被害と打撃を与えた」と非難した。
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オズボーン氏は先に、テリーザ・メイ首相が「細切れの肉になってうちの冷凍庫に保存保れる」まで安心できないと発言したとされ、物議をかもした。
ニュースナイトでこの発言について後悔していないか聞かれるとオズボーン氏は、「確かに私的な場でそのような、本来すべきはない発言をしたし、それについては謝罪した」と答えた。
「しかし、私は人生を賭けて保守党が国民に選ばれる政党になるよう働いてきた。その保守党が、支持を失うべきではない多くの地域で支持を失うのを見ているのはつらい。しかも、現状として健全とは思えない労働党に」
さらにオズボーン氏は、ジェレミー・コービン党首率いる最大野党・労働党の政策を真似しないようメイ首相に警告した。
オズボーン氏は、保守党が2017年の下院選で過半数議席を失ったのは「英国独立党(UKIP)以上にUKIP的」になろうとしたからだと述べた。そのため保守党が次の選挙で「コービン以上にコービンらしく」なろうとしても、勝ち目はないだろうと釘を刺した。
「現代の保守主義で国家主義のドラムを打ち鳴らしてもうまくいかないし、ライバル政党より多くお金を出したところで保守党の助けにはならない」