英国で医療大麻が合法化 専門医が処方可能に

Cannabis plant Image copyright Gareth Fuller/PA Wire
Image caption 英国では1日から、専門医が特別な場合に限って医療大麻を処方できるようになった

英国で1日から、医療目的での大麻製品の利用が初めて全国的に合法化された。今後、他の治療薬の効果がなかった場合のみ、専門医によって処方される。

英国では、深刻なてんかんの症状を持つ少年2人が大麻油の利用を禁止されたことで抗議運動が起こり、今回の法の緩和が実現した。

しかし、ある慈善団体は、実際に医療大麻を処方される患者が期待していたよりも「ずっと限られる」のではないかと懸念を示している。

今回の法改正によって、珍しい型の深刻なてんかんを患う子供たちに恩恵があるとされる。

医療大麻を処方されるのは?

1日から大麻を使った製品の処方が可能となるが、病院勤務の専門医が認めた少数の場合に限られ、一般医師からは処方できない。

イングランドの医師を対象とした全国保健制度(NHS)のガイダンスによると、他の治療方法で効果が見られず、患者に利益があるという明確で発表済みの証拠がある場合にのみ処方されるべきとされている。

医療大麻が処方される可能性がある病例は以下の通り。

  • 珍しい型の深刻なてんかんを患った子供
  • がんの化学療法で嘔吐(おうと)や吐き気をもよおしてしまう成人
  • 多発性硬化症(MS)で筋肉が固まった成人

もしこれらの症状を持つ患者が専門医の診察を受けていない場合でも、かかりつけの一般医が適切と見なせば紹介してもらえる。

Image caption ビリー・カルドウェルくん(左)とアルフィー・ディングリーくんは、共に深刻なてんかんを患っている

処方される大麻は?

内務省は、処方される大麻は医療用に作られ規制の範囲内にあるものではくてはならないと定めている。

専門家によると、医療大麻は実際には錠剤やカプセル、油といった形で処方される可能性が高く、煙を吸入するものではないという。

処方薬には、大麻に含まれる2物質、向精神作用があり人々をいわゆる「ハイ」にするテトラヒドロカンナビノール(THC)と、薬効を持つ可能性があるとして科学者らが研究しているカンナビジオール(CBD)が、さまざまな量や比率で配合される。

また、医療大麻の備蓄については各病院の責任に委ねられる。

法改正の経緯

法改正以前、大麻を使った医薬品はほとんど全て、治療上の価値がないとされる「スケジュール1」に分類されていた。認可されていたのは、THCとCBDが含まれたがん疼痛治療薬「サティベックス(一般名:ナビキシモルス)」などいくつかの医薬品だけだった。

つまり、これらの医薬品は英国では合法的に処方できず、まれに内務省の特別認可が下りた場合にのみ使用が許されていた。

今回の法改正の発端になったのは、深刻なてんかんを患ったアルフィー・ディングリーくん(7)とビリー・カルドウェルくん(13)にまつわる出来事だった。

2人の家族は、彼らの症状が大麻油で劇的に改善したと話していた。当時、この製品は英国では合法的に入手できなかった。

当初、内務省はアルフィーくんがこの製品を使うための認可を取り下げた。

一方ビリーくんの母親シャーロットさんは、カナダで大麻油を購入したが、ヒースロー空港で没収された。

2人の家族の苦境を受け、英下院では医療大麻をめぐる「おかしくて残酷な」法律に批判が集まった。

その後、内務省は2人に対して医療大麻の使用を認める特別認可を出した。またサジド・ジャビド内相は6月、医療大麻にまつわる規制を見直すことを発表した。

2段階で行われた見直しの結果、医療大麻には治療上の利益があり、安全基準を満たした製品であれば医師による処方を可能にすべきだとの結論が出された。

7月にジャビド内相は、大麻を使用した医薬品の処方を専門医に認めると発表した。

法改正により、「適切な基準」を満たした医療大麻は、医療目的での使用の可能性があるとされる「スケジュール2」に分類された。

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Image caption カナダでは10月に娯楽目的での大麻利用が合法化されたが、英政府はこれに追随するつもりはないようだ

法改正への反応は?

ユニバーシティー・コレッジ・ロンドンのマイケル・ブルームフィールド博士は、法改正は賢明な判断だったと話した。

「最初のうちは、医療大麻製品を処方するのは難しいだろう。だがそれでいいと思う」

「あらゆる医薬品について、強い証拠がない場合は処方を難しくするべきだ。我々は、きちんとした証拠がある薬を処方するべきなのだから」

一方、英国の多発性硬化症支援団体「MSソサエティー」は、NHSが定めたガイダンスでは、医療大麻へのアクセスは「我々が信じていたよりもずっと限られたものになった」と懸念を表明した。

同団体のジェネビーブ・エドワーズ氏は、「我々はNHSイングランドに対し、早急にガイダンスを見直し、神経学の専門家と協力して、MS患者が適切な治療を受けられずに失望したままにならないよう務めてほしいと訴えている」と話した。

娯楽用大麻の合法化への一歩になるか

英政府は今回の法改正について、大麻全体の合法化への第一歩ではないと釘を刺している。

カナダは10月に娯楽用の大麻の所持・使用を合法化した。これはウルグアイに続き、世界で2番目の事例だ。

ジャビド内相は先に、「医療大麻は厳格に管理される。大麻の娯楽目的での使用を合法化する一歩では決してない」と述べている。

また、NHSの広報担当者は法改正によって「娯楽目的での定期的な大麻使用によって起こる身体的・精神的な健康リスクや懸念がなくなるわけではない」と話した。

(英語記事 Cannabis products available on prescription

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