第1次世界大戦の英雄は後のナチス協力者 マクロン仏大統領が称賛し物議

Philippe Pétain. Photo: August 1914 Image copyright AFP/Getty Images
Image caption フィリップ・ペタンは第1次世界大戦での功績から、フランスの国民的英雄と称えられた時期もあった

エマニュエル・マクロン仏大統領が、第1次世界大戦の終戦100年記念式典でナチスに協力した政治家を称賛したとして批判を浴びている。

マクロン大統領はフィリップ・ペタンについて、第2次世界大戦では「悲惨な選択」をしたものの、「すばらしい兵士」だったと語った。

ペタンは1916年に独仏が戦ったべルダンの戦いで司令官として功績を挙げたが、第2次世界大戦ではナチスに協力し、戦後に反逆罪で死刑を宣告された。

一部の政治家やユダヤ教指導者が、マクロン氏の発言を非難している。

マクロン大統領の発言

終戦100周年記念でフランス北部を訪れているマクロン氏はシャルルビル=メジエールでの演説で、「(第1次世界大戦で)フランスを勝利に導いた司令官たちに敬意を表するのは正しい」と述べた。

マクロン氏はペタンについて触れ、ナチス占領下のフランスで「悲惨な選択」をしたが、「彼はすばらしい兵士だった」と語った。

ペタンはフランス第3共和政最後の首相として、仏中部ビシーに置かれたナチスの傀儡(かいらい)政権を率いた。

マクロン氏はその後、自分の発言について弁解している。

大統領は「私は何かを許そうとしたわけではない。しかし同時に、我々の歴史から何かを消し去ろうともしていない」と述べ、ペタンは「重大な犯罪に加担した」と強調した。

さらに記者に対しては、「勝手に独りよがりな論争を作り上げている」と指摘した。

10日には、第1次世界大戦でフランス軍を率いた元帥8人を記念する式典がパリで行われる予定。この8人にはペタンも含まれている。

国内での反応は?

多くの政治家がマクロン氏を批判している。

Image copyright AFP
Image caption アドルフ・ヒトラー(右)と握手を交わすペタン(左)

極左「フランス・ アンスミーズ(不屈のフランス)」のジャン=リュック・メランション党首は、ペタンを「裏切り者の反ユダ主義者」だと呼び、ツイッターで「マクロン、今回はやりすぎだ! フランスの歴史はあなたのおもちゃではない」と非難した。

フランスのユダヤ人団体をまとめるCRIFのフランシス・カリファ代表は、マクロン氏がナチスに協力し、何千人ものユダヤ人を死に追いやった人物を称賛したことに「ショックを受けた」と語った。

「ペタンについて我々が記憶するのはただひたすら、1945年の裁判でフランス国民と国民的憤慨の名の下に有罪となったことだけだ」

フィリップ・ペタンとは?

1856年に生まれたペタンは20歳でフランス陸軍に入隊。第1次世界大戦最大かつ最長の激戦とされる1916年のベルダンの戦いで軍の士気を高め、国民の英雄となった。

その後、1918年には陸軍元帥となった。

1940年には、ドイツの侵攻が進む中、副首相に任命された。休戦を提案したことで「国家主席」となり、独裁者のような権力を手にした。

休戦によってドイツはパリを含むフランスの北部と西部を手中に収め、ペタンは残りの地域で政権を維持した。

表面的には中立を保っていたものの、ペタン率いるビシー政権はドイツと緊密に協力し、ユダヤ人を抑圧する法律を導入した。

第2次世界大戦後、ペタンは逮捕されて反逆罪で死刑を宣告されたが、後に高齢を理由に終身刑に減刑されている。

ペタンは1951年、95歳で亡くなった。

(英語記事 Row over Macron's Nazi collaborator remark

関連トピックス

この話題についてさらに読む